ウサギはペットとして世界中で愛されていて、日本でもたくさんの種類のウサギが飼われています。
そしてそれとは別に、日本には昔から生息している野生のウサギもいます。
皆さんは、日本の野生ウサギにはどんな種類がいるかご存知ですか?
種類は少ないですが、日本固有のウサギも存在するんですよ。
ここでは、日本にいる野生のウサギの種類と特徴を紹介していきます。
日本に生息している野生のウサギは、4種類
昔から日本に生息している野生のウサギは、次の4種類です。
- 北海道
-
エゾユキウサギ、エゾナキウサギ
- 本州、四国、九州
-
ニホンノウサギ
- 奄美大島
-
アマミノクロウサギ
聞いたことがある名前はありましたか?
ちなみにペットとして飼われているウサギの祖先は、アナウサギという種類です。
アナウサギは元々日本には居ませんでしたが、飼育放棄などにより野生化しているようです。
このようなアナウサギを野菜のウサギと言う人もいますが、ここではアナウサギ以外のウサギについて紹介していきます。
エゾユキウサギ
ウサギ目ウサギ科ノウサギ属ユキウサギの亜種。
体長50~60cm、体重2~4kg、尻尾5~8cm、耳の長さ7~8cm。
エゾユキウサギは北海道に生息しているウサギで、ユキウサギの亜種です。
ユキウサギの仲間は、スカンジナビア半島からシベリアまで広範囲に分布しています。
似たような名前で、エゾナキウサギという種類がありますが、全く違う種類です。
日本のウサギの中では最も大きな体格をしていて、オスとメスで体格差が殆ど無いのが特徴です。
エゾユキウサギのもう一つの特徴は、夏と冬で全く違う色になるということです。
夏の被毛は全体的に褐色をしていますが、冬になると真っ白に変化します。
周りの雪と同化して、見事な保護色となっています。
白くなるきっかけは日照時間とも言われています。
ユキウサギは巣穴を持たず冬眠をしないウサギなので、雪と同化することで外敵から身を守っていると考えられています。
他にもいくつかの特徴があります。
雪の多い地域に生息するため、体温が放出されるのを防ぐために耳が小さめです。
また足がとても発達していて大きく、足の裏には滑り止め効果のある毛が密集しています。
足の速さは日本の野生動物の中でトップクラス!
本気で走れば、なんと札幌市の市営地下鉄の最高速度より速いそうです。
エゾナキウサギ
ウサギ目ナキウサギ科ナキウサギ属。
体長10~20cm、体重60~150g。尻尾1cm、耳の長さ2cm。
1科1属の貴重な生物で、生息域は北海道の道央や道東エリアです。
北見山地、夕張山地、日高山脈といった、高山帯に生息しているウサギで、日本にやってきたのは1万年以上も前のことだそうです。
またシベリアと陸続きだった頃に日本に来ましたが、海面上昇により戻れなくなってしまいました。
日本の中で涼しい場所を探し、北海道の高山帯を生息場所にしたようです。
このことから、氷河期の生き残りとも言われている動物です。
アイヌの人々には、チチッチュカムイ(チチッと鳴く神様)と呼ばれていました。
体がとても小さく、掌に乗るようなサイズです。
そのうえ耳が丸くて小さいので、見た目がまるでネズミです。
ナキウサギは岩の隙間で暮らしているので、耳が長いと邪魔になるのでしょう。
その代わりヒゲが長く、これによって狭い場所や暗い場所でも上手に移動が出来ます。
エゾナキウサギも、夏と冬で毛色が違います。
夏は赤褐色で、冬は灰褐色に変化します。
エゾユキウサギは真っ白になりますが、エゾナキウサギは岩場で暮らしているので少し灰色っぽいです。
名前の由来ともなった鳴き声は、甲高くて鳥のように思ってしまいます。
警戒心が強く体の小さなエゾナキウサギを、目で探し出すのは困難です。
鳴き声を知っていれば、聞えた時に嬉しくなることでしょう。
ネットの動画でも鳴き声が確認出来るので、山に行く予定があったら聞いておくと良いかも知れませんね。
ニホンノウサギ
ウサギ目ウサギ科ノウサギ属。
体長45~54cm、体重1.3~2.5kg、尻尾2~5cm、耳の長さ6~8cm。
本州、四国、九州に広く分布しています。
オキノウサギ、サドノウサギ、トウホクノウサギ、キュウシュウノウサギの4つの亜種に分類する説もあります。
東北のウサギは雪が多い地域で、九州のウサギは雪が少ない地域に生息しています。
サドノウサギは佐渡島、オキノウサギは隠岐島(島根県)が生息地です。
農作物を荒らしてしまうので害獣として駆除されたり、開発で住む場所を奪われるなどして、生息数が随分減ってしまいました。
サドノウサギは準絶滅危惧種に指定されています。
群れを作らず、単独で生活しています。特定の巣も作りません。
草むらに、簡単なねぐらを作る程度です。
アマミノクロウサギ
ウサギ科アマミノクロウサギ属に分類される、絶滅危惧種です。
体長40~50cm、体重1.3~2.7kg、尻尾1~3.5cm。
日本固有の種で、奄美大島と徳之島に生息しています。
常緑広葉樹林を生息地としていて、単独で暮らしています。
ヨーロッパのアナウサギの祖先であり、掘ることが得意なのが特徴です。
走るのは苦手なため、あまり体温を放出する必要がなく耳が小さいです。
子育ての方法に特徴があり、赤ちゃん用のフタつきの巣穴を作ります。
授乳する時にはお母さんがやって来て巣穴のフタを開けて、お乳を与えます。
飲み終わったら赤ちゃんを巣穴に戻し、再びフタをします。
これを48時間ごとに繰り返します。
最後に
日本に住んでいる野生のウサギについて、種類と特徴を紹介しましたがいかがでしたか?
昔から日本で生息しているウサギは、北海道のエゾユキウサギ、エゾナキウサギ、本州・四国・九州のニホンノウサギ、奄美大島・徳之島のアマミノクロウサギです。
それぞれの環境で生き抜くため、みんな違った特徴を持っています。
懸命に生きる野生のウサギたちですが、人間による開発などで自然環境が変化し数を減らし続けています。
一方、ウサギによる農作物への被害が、2017年の農林水産省の調べでは6200万円になったとのこと。
林業にも深刻な被害が出ていると言われていて、その対策に追われているようです。
人間とウサギがどうやったら上手く付き合っていけるか、今後の大きな課題と言えるでしょう。
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