愛猫が腎不全になってしまったら、飼い主さんはとてもショックなことでしょう。
慢性腎不全の場合、年月をかけて少しずつジワジワと進行していきます。
気付いた時には、かなりの腎機能が損傷している状態なのです。
治療は対症療法となります。
腎不全と診断されたら、残された腎機能でいかに寿命を延ばすかが課題となります。
今回は、猫の腎不全についてお話をしていきたいと思います。
BUNとCREって何?
腎不全かどうかを判断する数値に、BUNとCREというものがあります。
BUN
血液尿素窒素。血中の老廃物がどれくらいかを知るための数値です。
腎臓が健康なら、老廃物や毒素は体外に尿と一緒に出ていきます。
ですから、この数値が高い程、腎機能が低下しているということです。
CRE
クレアチニンの数値。これは、筋肉を動かした時だけに限り、どれくらい老廃物が血液中に溜まるのかを判断する数値です。
腎臓の機能が正常なら老廃物は体外に出る筈なので、BUNと同様に数値が高いほど腎機能が低下しています。
CREは、筋肉を動かした時の状態だけを見ます。BUNと違って他のことに影響されないので、信頼性が高いと言えます。
4つのステージ
慢性腎不全は、進行具合によって4つのステージに分かれています。
ステージ1 CRE1.6mg/dl以下
腎不全の厄介なところは、初期症状が殆ど無いということです。
もしこの時点で気付けたなら、腎機能の大半を残すことが出来るでしょう。
ですが実際には、とても難しいです。
まだ腎不全までいかない段階で、慢性腎障害と呼ばれたりもします。
症状は無いものの、クレアチニン濃度がどんどん上昇していきます。
ステージ2 CRE1.6~2.8mg/dl
多飲多尿の症状が見られます。
尿を効率的に凝縮出来ず、たくさん水を飲む割に脱水が進んでいきます。
全身の症状としては軽度とされており、この段階で気付けば腎機能を33~25%程度残せます。
ステージ3 CRE2.8~5.0mg/dl
軽度~中程度の窒素血症となります。
ハッキリと分かる程の多飲多尿と、貧血や体重減少が著しく見られます。
この段階になると、腎機能の75%が損傷しています。
ステージ4 CRE5.0mg/dl以上
腎臓が殆ど機能していない状態、いわゆる末期です。
生命維持のために、積極的な治療が必要となります。
元気が無くグッタリしている、食欲が無い、酷い貧血といった症状が見られ、これらは尿毒症によるものです。
どんな治療をするの?
腎不全になってしまった場合、元通りに治ることはありません。
残された腎機能を、いかに上手く使っていくかが猫の寿命を決めるのです。
治療としては、脱水症状を防ぐための皮下輸液が有効です。
これにより、少しずつ水分を体に沁み込ませていくのです。
ステージ1や2の段階でしたら、皮下輸液の前に口から飲む水を増やすことが大切となります。
静脈点滴もあります。
皮下輸液は獣医師の許可があれば自宅でも可能ですが、点滴だとその都度病院に行かねばならず、猫に負担が掛かる可能性があります。
食事療法も大切です。
ステージ2以降は、療法食に切り替えることが奨められています。
最後に
猫の腎不全は、死因のトップにもなっているほど多く見られる病気です。
初期症状が無いので、気付いた時にはかなり進行していたりするのが原因でしょう。
少しずつ時間をかけて進行していくので、年に1、2回の定期検診を受けておくと安心ですね。