コロナの影響で、自宅でお酒を飲む人が増えています。
家で一人で飲むのが寂しくて、近づいてきた愛犬についついお酒を飲ませてしまう人がいるそうです。
ですが愛犬を相手に晩酌というのは、愛犬にとって大変危険な行為です。
ほんの少しの量でも、命に関わる危険もあるのです。
ここでは、犬にアルコールを与えてはいけない理由と、誤って飲んでしまった場合の対処法について紹介していきます。
犬にアルコールを飲ませたらダメな理由って何?
どうして犬にアルコールを飲ませたらダメなのでしょうか?
その理由は簡単です。
犬にはアルコールを分解する事が出来ないんです。
そのため、少量舐めただけでも体に異変が起こったりします。
致死量は犬の体の大きさによって違ってきますが、大体次の通りです。
- 小型犬(3~5kg) 致死量11ml
- 中型犬(6~15kg) 致死量55ml
- 大型犬(20~30kg) 致死量165ml
体重1kgに対して5~6mlが致死量となります。
ちなみにビールと焼酎の場合の致死量は、おおよそ次の通りです。
- 小型犬 ビール220ml、焼酎30ml
- 中型犬 ビール1100ml、焼酎150ml
- 大型犬 ビール3300ml 焼酎450ml
人間がアルコールを飲んでも大丈夫なのは、体内で分解する事が出来るからです。
肝臓のアルコール脱水素酵素で分解されてアセトアルデヒドとなり、それをアセトアルデヒド脱水素酵素が分解して無害なものとなるのです。
ですが、犬の体にはそれが出来ません。
無害化されないまま体に吸収され、アルコールの成分が体の中に長時間留まり続けます。
脳幹の機能が抑制された犬は、酔っぱらったような動きをするようになります。
それを見て面白がっているとしたら、とても恐ろしいことです。
命の危険もあるので、すぐに止めて下さいね。
直接アルコールを飲ませなくても、アルコールのウェットティッシュで体を拭いたりするのも危険ですよ。
犬が体に付いたアルコールを舐めてしまうからです。
アルコール中毒の症状について
犬にアルコールを飲ませた時に起こる、中毒症状についてお話します。
こぼれたお酒を舐めてしまったり、アルコールの匂いを嗅いだだけでも発症するケースもあります。
胃腸で吸収されたアルコールは、中枢神経に影響を与えます。
先ほども書いた通り、分解されないまま体内に残るので心臓や呼吸器官にも悪影響があります。
中毒症状が出て来るまでの時間は、摂取してから30~60分くらいです。
具体的な症状は、次の通りです。
- フラフラする
- ぐったりと動かなくなる
- ぼーっとする
- 嘔吐
- 呼んでも反応しない
- 呼吸が弱くなる
- 食欲が無くなる
- 体温が下がる
最悪の場合、昏睡状態に陥り死亡してしまいます。
異変に気付いたら、迅速に対処しなければなりません。
呼吸が弱まったり、呼んでも反応しない場合は、すぐに動物病院に連絡をしてください。
アルコールを誤飲した時、どうしたらいいの?
もし愛犬がアルコールを誤飲してしまったら、一体どうしたら良いでしょうか?
まずは気持ちを落ち着かせて、愛犬の様子を観察しましょう。
その時に、口の中を布で拭いたり、無理に吐かせようとするのは止めてくださいね。
吐いた物やティッシュなどが、喉に詰まる恐れがあります。
そして動物病院に、電話で連絡を入れて下さい。
誤飲した量や時間など、分かる範囲で伝えましょう。
獣医師から指示が出ると思うので、それに従ってください。
少量で症状が出ていない場合は様子を見る
ほんとに少し舐めただけなら、アルコール中毒の症状が見られない場合もあります。
ですがそういう場合でも、しっかり観察する必要はありますよ。
先ほど挙げたような症状が出ていないか、しっかり見ていてあげてくださいね。
すぐに症状が出ずに、何時間も経過してから異常が出る場合もあります。
子犬や老犬、持病のある犬は特に注意が必要です。
中毒症状が見られたら病院へ連絡
もし中毒症状が出て来たら、動物病院に連絡をしてください。
病院が開いていない時間帯の場合もありますので、夜間や休日診療の病院を探しておくと良いでしょう。
そして連絡する時には、次の事を伝えておきましょう。
- アルコールを飲んだ時間と量
- アルコールの種類と濃度
- 現在の様子
動物病院に行ったら、どんな治療をするの?
アルコールの中毒症状が見られた場合、病院ではどんな治療をするのでしょうか?
意識がある場合
犬の意識があれば、催吐処置が行われます。
嘔吐させる事で、アルコールが体内に吸収される量を減らします。
意識不明の場合
意識がない時には、次のような処置を行います。
- 胃洗浄
-
胃の中の毒物を管で回収する。誤飲してから1時間以内が効果的。
- 活性炭治療
-
物質を吸着する性質がある活性炭を使った治療。アルコールの吸収を減らしたり、毒物の排泄を促す効果がある。
- 点滴
-
温かい点滴をする。
呼吸困難、心肺停止状態
大変危険な状態です。人工呼吸や心肺蘇生を行います。
危ないのはお酒だけじゃない!こんな物にも気を付けよう
先ほども少し書きましたが、アルコール中毒の危険はお酒だけじゃありません。
例えば、化粧品や香水にも揮発性アルコールが含まれていたりします。
アルコールの除菌シートやスプレーも要注意ですよ。
特にコロナ禍で、アルコールで除菌する機会が増えました。
私も、結構頻繁にアルコールを使っています。
お酒より度数が強いので、犬の体は絶対に拭かないで下さいね。
ペット用の除菌シートを使ってあげましょう。
最後に
犬にアルコールを与えたらダメな理由と、誤飲した時の対処法について紹介しましたがいかがでしたか?
犬の体はアルコールを無毒化出来ないので、少量でもアルコール中毒を起こしてしまいます。
フラフラしている愛犬を見て、いつもと違う姿を面白がっている人はいませんか?
死に至る危険も充分あるので、犬には絶対にアルコールを飲ませないで下さいね。
自分が飲ませなくても、大勢人が集まった時には誰かが面白がって飲ませてしまう人がいるかも知れないので、注意が必要です。
アルコールのニオイを嗅いだだけでも反応してしまうので、みんなで飲む場には犬を入れないようにした方が良いでしょう。
もしアルコールを誤飲した時には、落ち着いて愛犬の様子を観察しましょう。
異変が見られたら、すぐに動物病院に連絡をして指示に従ってくださいね。
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