第18回、二階堂トクヨ(寺島しのぶさん)は、女生徒に動きやすい洋服とダンスによる身体表現を導入。
男子スポーツに遅ればせながら、日本の女子スポーツも歩みを始めます。
四三(中村勘九郎さん)は富士登山競走などに出場、さらに下関から大阪まで1200km、東京から日光まで駅伝と対決など、日本中を走り回りました。
熊本に帰る暇も無い中、スヤ(綾瀬はるかさん)は無事に男の子を出産します。
一方の孝蔵(森山未來さん)は、ドサ回りから帰ったものの、ヤクザ者に目を付けられ東京を離れることに…。
前回の第18回「愛の夢」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第19回「箱根駅伝」のあらすじと感想です。
箱根駅伝の着想
日本中を駆け抜けた四三が次に考えたのは、アメリカ横断でした。さすがに距離が長いので駅伝で走ることに。そこにマラソン足袋を買いに来た明治大学の学生・沢田英一(矢崎広さん)が「予選会を開いてはどうでしょう?」と提案しました。ロッキー山脈を想定して、コースは東京から箱根に決定。今ではお正月の風物詩となった箱根駅伝は、アメリカ横断駅伝の予選会として開かれたものだったのです。
場面は変わって昭和36年のお正月。志ん生(ビートたけしさん)の家には、たくさんの人々が年始の挨拶に訪れました。五りん(神木隆之介さん)の彼女・ちーちゃん(川栄李奈さん)もパーマ頭に彼女らしく振り袖を着こなして、挨拶にやってきます。志ん生はお節をつついて「黒豆が無いな」とつぶやいていました。
正月らしい企画ということで、志ん生と兄弟子・今松(荒川良々さん)、五りんの3人で、1つの話を駅伝することが決まりました。しかし五りんが古典落語を覚えられず、五りんの創作落語『箱根駅伝』を演じることに。初の箱根駅伝は、志ん生たちの駅伝落語でナレーションする演出となるようです。
久々の里帰り
四三は箱根駅伝の計画を、体協に提出しました。嘉納(役所広司さん)はクーベルタン男爵からの親書を見せ、8年ぶりのオリンピックがベルギーのアントワープで開催されるという朗報を伝えます。「なんと立派じゃないか!規模は縮小されるだろうが、重要なのは大きさじゃない、今オリンピックをやる、戦地で。この気概だよ!」と嘉納は熱くなりました。
四三は息をするのも忘れるほど興奮しますが、嘉納の「駅伝にオリンピックか、こりゃあ正月返上で頑張らんといかんな!」という言葉に、一気に頭が冷えます。オリンピックには金がいる。今回もどうせ自腹だ。池辺家の財産を当てにする他無い…。四三は練習を中断して、正月に里帰りすることを決断しました。
四三は突然帰ってスヤを驚かせ、初めて息子・正明の頭をなでました。池辺家の奉公人たちも「旦那さん!」と、大歓迎します。
正月ということで、兄・実次(中村獅童さん)や奉公人を含めた池辺家一同が揃います。幾江(大竹しのぶさん)が四三に新年の挨拶をするよう促すと「えー皆さま、旧年中は大変お世話になりました。第一子も生まれ…。あ、それから、驚かないでください。8年ぶりにオリンピックが開催さるるとが決まったとです!」と笑顔で報告しました。実次は拍手しますが、奉公人たちはどよめき、幾江も渋い顔です。
その頃、体協では緊急の理事会が開かれていました。マラソンがオリンピック競技から外されたのです。アントワープの街は戦争によってあちこちに瓦礫の山があり、とてもマラソンをできる状態ではありませんでした。
四三が9日には東京に帰ると言うと、幾江は「玉名にはいつもどられますかねえ?」と切り込んできます。「うちはどぎゃんでん構わんばってん、スヤが不憫でなぁ~」と皮肉たっぷりに言うと、実次が「オリンピックば立派にやり遂げたら、帰ってきます!」と返答し、四三も勢いで「はい」と答えました。
次回オリンピックでは、渡航費を体協が用意してくれることに。会議室に四三がやってきて、駅伝の練習で次々と好記録が生まれたので、マラソンの枠を6人に増やしてほしいとお願いします。嘉納はマラソン競技が外されたことを言えず「わかった!検討しよう!」と、請け負ってしまいました。
箱根駅伝スタート
昭和36年、志ん生一門の『箱根駅伝落語』が始まりました。志ん生が「運営を任された四三くん。まずは足の早そうなやつを探さなきゃいけないってんで…」と語り始めます。
結局集まったのは、高師、明治、早稲田、慶応の4校。東京から箱根までを5区間に分け、2日間かけて往復すると決まりました。しかしお偉いさん…永井教授(杉本哲太さん)の逆鱗に触れ、午前中は学業に励み、午後1時スタートになります。
語り手は、五りんに交代。「有楽町報知新聞社前には黒山の人だかりが…と言いたいところですが…」第1回なので、観客はまばらでした。四校の選手が並び、スターターの四三がパン!と号砲を鳴らします。
ここで語り手は、兄弟子の今松に。選手の走りを面白おかしく演じて、笑いを取りました。控え室に、志ん生の長男・清(森山未來さん)がやってきます。若かりし志ん生役の森山さんが演じているので、見ている人はアレ?と一瞬びっくりしたかもしれません。清も落語家で、金原亭馬生を名乗っていました。志ん生が「ちょうどいいや」と言って、4人目は清になります。清はしっとりとした上手い語り口で、権太坂や不動坂あたりの激走を演じました。4区の順位は、1位明治、2位高師、3位早稲田、4位慶応です。
次男の強次(森山未來さん)も訪ねてきます。落語と役者を掛け持ちし、古今亭朝太と名乗っていました。これも演者は森山さん。5人目として、明治の選手が箱根で抜け道の目印を探す場面を、勢いのある軽妙な語り口で演じました。志ん生は控え室で、またもやお節に黒豆が無いとブツブツ言います。
感動のゴール
午後からのスタートで、箱根に到着する頃には日が暮れて真っ暗に。午後8時頃、明治が1位、8分後に高師、10分後に早稲田。慶応は道に迷い、1時間22分遅れで到着しました。夜の内に雪が降って2日目、箱根は一面の銀世界。それでも競技は続行します。落語の方は、8人目が今松、9人目が五りんです。
いよいよ復路がスタート。車のエンジンが凍りついて動かず、四三は走って伴走。選手よりも元気です。平塚では再び降り出した雪に、沿道の人々が傘でトンネルを作ります。雪を蹴り上げながらのデッドヒート、最終区で明治の選手が足を痛め、高師が抜き去ります。ゴールにはたくさんの観衆に加え、体協メンバー嘉納、岸(岩松了さん)たちが待ち構えていました。15時間5分16秒、高師がトップでゴール。転倒した明治の選手を観衆が応援し、興奮した岸が近寄って「もう少しだ!」と励ましました。
初めて長距離走を見た岸は感動し、「マラソンをアントワープでやるべきだ!」と訴えます。その後押しもあり、嘉納はクーベルタン男爵にマラソン開催を直訴する手紙を送りました。
一方の駅伝落語。五りんはサゲを考えていませんでした。酔っ払った志ん生が舞台に出て「マラソンの無いオリンピックなんて黒豆の無いお節みたいなもんです」と強引にサゲて、観客は大爆笑。冒頭からちょくちょく出た黒豆が、今回のオチになるとは…思いもよりませんでした。
次回の第20回は、「恋の片道切符」。
いだてん2度目のオリンピックは、大型客船に乗ってベルギーを目指します。
四三を始め有望な選手たちで選手団が組まれ、嘉納らが引率。久々に三島弥彦(生田斗真さん)が登場、暑苦しさは健在のようです。
スヤは熊本で「金メダルたい!金栗四三は金メダルたい!」と張り切って応援します。
2度目こそ、メダルに届く活躍をすることができるのでしょうか?次回も楽しみです。
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