第8回、兄と学友が工面してくれたお金で、渡航費をまかなうことができた四三(中村勘九郎さん)。
一方、四三が密かに思いをよせていた春野スヤ(綾瀬はるかさん)は、庄屋の池部家に嫁いでいきます。
壮大な見送りと共に、四三、弥彦(生田斗真さん)、大森(竹野内豊さん)、安仁子(シャーロット・ケイト・フォックスさん)の4人はストックホルムへ出発。
反対していた弥彦の家族も、最後の見送りで激励してくれました。
前回の第8回「敵は幾万」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第9回「さらばシベリア鉄道」のあらすじと感想です。
日本からの旅立ち
嘉納(役所広司さん)は手続きをしていなかったので、一緒に出発できませんでした。文部省に掛け合いますが、お役所仕事は遅々として進まず。「そんなの待ってたら、オリンピック終わっちゃうよ!」という悲鳴が文部省の廊下に響きます。
四三と弥彦は、今や全国的大スター。列車が駅で止まると、2人を一目見ようと黒山の人だかりとなります。四三はこの旅を『盲目旅行国際オリムピック競技参加之記』という日記に残すことにしました。敦賀から船で2日、気温5度と寒いウラジオストックに到着。結局、嘉納は合流できませんでした。
いよいよシベリア鉄道、安仁子は女子寝台室へ。男3人の部屋には、残り1席に恰幅の良いドイツ人が座りました。ドイツ語混じりの英語でどこに行くのかと聞かれ、大森はオリンピックに参加する日本人選手団なのだと説明。ドイツ人は「ヤマトダマシイ!」と感激、ビールを飲もうと食堂車に誘います。節約のために安仁子が自炊するはずでしたが、断れませんでした。
食堂車で四三は、各国人の人相を観察します。『ドイツ人は堂々として動じず。ロシア人は粗大で実に大陸的。米国人の実に快活そうな気持ちの浅そうな趣き。フランス人は老獪にて分からず。日本人は…論外なり。』四三は西洋人のことを良く思っておらず、さらにそれを真似する日本人を心の中でバカにしていました。
シベリア鉄道
そのころ新婚のスヤは、早朝、夫の咳で目が覚めました。縁側で伸びをすると、中庭の向こうにいる義母・幾江(大竹しのぶさん)と目が合い、慌てて寝間着の合わせを整えます。幾江は「この家にもいくつか守ってもらわんといけん仕来りのあるとばい」と、嫁の仕来りを教えました。
シベリア鉄道2日目。4人は自室のテーブルで安仁子の作った朝食を囲みます。出汁の無い味噌汁を一口飲んで、四三と弥彦は顔をしかめましたが、大森は「美味しいよ、安仁子」と褒めちぎります。
5月20日、ハルピンに到着。途中下車をします。当時の満州は、ロシアと中国、日本の三国に狙われ、不安定な情勢。四三と弥彦は、町でいきなり6人ほどのロシア兵に囲まれます。「パスボル!」と言われ、弥彦が「パス、パスポート?」と言ってパスポートを出すと、日本人だと分かり解放されました。怖くなった2人は、用事を済ませてさっさと列車に戻ることに。
5日目、いよいよヨーロッパ領に。鈍った体をほぐすため、四三は廊下をぐるぐると走り、弥彦は洗面所で懸垂をします。それが終わるとやることがなく、四三は格子柄の浴衣で、弥彦は絹のパジャマで、自室でぼーっとします。
志ん生(ビートたけしさん)によると…「えー、人間やることがないと、どんなに気の合う同士でも四六時中顔を突き合わせてりゃ、ギスギスしてくるもんですな」と、いびきがうるさいと言い争いになる2人に、面白おかしくアテレコをしました。
孝蔵、正式な弟子に
申請して1週間たっても何の返答がなく、嘉納はイライラしていました。
若かりし志ん生こと美濃部孝蔵(森山未來さん)は、相変わらず弟子なのか車屋なのか宙ぶらりんでしたが、師匠の橘屋圓喬(松尾スズキさん)が「美濃部君、メシは好きかい?」「メシを食おうなんて了見じゃ、とてもダメだよ」と、5厘(1銭の半分)をくれました。
場面は変わって昭和35年。志ん生は、その5厘と1枚の紙を写真立てに入れて、大事に保管していました。紙には三遊亭朝太という名前が。孝蔵は送迎係を卒業、弟子として名前をもらったのです。志ん生は「つまり、噺家なんか水もんだ。のうのうと暮らせると思うな、食うことなんか後回しにして、芸の苦労をしなきゃいけねえって、その5厘が教えてくれたんだよ」と、師匠がくれた初任給・5厘の意味を、五りん(神木隆之介さん)とその彼女・知恵(川栄李奈さん)に教えました。
大森兵蔵の覚悟
大森は咳が止まらず、体調が悪化しているようでした。四三は大森に、監督を引き受けた理由を尋ねます。大森は経営を学ぶためにスタンフォードに入ったが、西洋人の肉体の強靭さに驚き、自分のように体が弱く脆弱な日本人の体格を向上させるため、YMCAに入り直したのだと言います。安仁子のギャラリーでハウスボーイをしていたときに気に入られ、大恋愛の末に結婚したのだとのろけました。
実は、大森は2ヶ月前から肺を患っていました。4年後は無理だろう、どうかオリンピックに行かせてやってほしい、と安仁子が嘉納に頼み込みました。大森は病気の体で、陸上運動競技法という論文をまとめます。嘉納は大森の覚悟を知り、彼を監督にしたのです。それを知った永井(杉本哲太さん)は「恥ずかしい、消えてなくなりたい!」と叫び、可児(古舘寛治さん)は「申し訳ございません」と頭を下げます。
いざ、ストックホルムへ
5月28日。大森の体調は回復せず、安仁子は自炊を中止します。四三と弥彦は食堂車で、シベリア鉄道最後の晩餐を楽しむことに。四三は練習の甲斐あって、ナイフとフォークをなめらかに操って肉を口に運びます。そして「エクスキューズ ミー!ワイン ツー、大至急!」と注文、ワインが運ばれてきました。
ワインでごきげんな四三は、弥彦が16歳から負け知らずだと知って「とつけむにゃあ!」と褒めちぎります。そして天狗倶楽部のアレをやってほしいとお願いしました。弥彦は大声で「我らはスポーツを愛し、スポーツに愛され、ただ純粋にスポーツを楽しむために活動する元気の権化!」、そして振りをつけて「フレー!フレー!か・な・く・り!」とエールを送りました。四三は喜び、周囲からも拍手が起こります。
やっとのことでセントピーターズバーグに到着。バルチック海を渡って、ストックホルムに。港では大使館の内田公使(井上肇さん)が出迎え、馬車でホテルに向かいます。ストックホルムでは大人から子供まで、みんながオリンピックを知っていて、1ヶ月後の開催を楽しみにしていました。スタジアムを案内された四三と弥彦は、その広さと美しさに感動します。
次回、第10回は「真夏の夜の夢」。
大森の体調が芳しくないため、四三と弥彦の2人で練習を開始。
欧米人の選手に「ジャパニーズ モンキーダンス、ボーイ」とバカにされるなど、世界は優しくありません。
トイレに座り込んで泣き出したり、窓から身を乗り出したり…精神的に追い込まれます。
日本人初のオリンピックとは、こんなにも過酷だったのか…そして嘉納はストックホルムに来ることができるのでしょうか?
次週も楽しみです。
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