第20回は、薩摩の大久保正助(瑛太さん)が中心でした。
斉彬の義弟・久光(青木崇高さん)は、正助の才を見出し重用。郷中の仲間たち・有村(高橋光臣さん)や村田(堀井新太さん)らが、大老・井伊直弼(佐野史郎さん)に天誅をくだそうと意気込みますが、正助の助言により、久光が彼らをなだめます。
文面の「精忠の士」から、精忠組だ!と盛り上がります。
しかし、有村俊斎の弟・雄介と次左衛門は脱藩し、井伊の暗殺を実行。時代は動き、吉之助(鈴木亮平さん)が薩摩に帰る日が近づきます。
前回の第20話「正助の黒い石」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第21回「別れの唄」のあらすじと感想です。
幸せな日々
愛加那(二階堂ふみさん)は、無事に男の子を出産しました。「愛加那、お手柄じゃ」と、吉之助は涙ぐんで喜びます。
子どもが生まれて7日目の朝に「イジャシハジメ」という儀式が行われました。お七夜のようなものでしょうか。「こん子には菊太郎ち名付けようと思いもす」と吉之助が言うと、佐民(柄本明さん)は「ならば…菊次郎と付けてくりしょり」と答えました。生まれた子どもは薩摩に行くことができます。吉之助はいずれ薩摩で本妻を娶り、子どもが生まれる。そのときにこの子が気まずい思いをしないようにと、佐民は考えたのです。愛加那も納得して、にっこりと笑います。吉之助は申し訳無さそうな顔に…。
富堅(高橋努さん)が弾く三味線に合わせ、愛加那が朝花節を唄います。「果報なくとぅあらしたぼれ汝きゃが先々~」と、のびやかで美しい歌声。『幸せなことがありますようにあなたの未来に』という意味の唄です。
正助改め、一蔵
薩摩では大久保正助や小松帯刀(町田啓太さん)ら、優れた若者に政治の中枢を担わせていました。幕府への不満が高まる今、国父・久光と藩主・茂久は、挙兵しようと動き始めます。小松は薩摩に残り、中山尚之助と大久保は京都に。堀次郎は江戸に向かいます。
正助は出世し、一蔵と名を改めました。そして、いよいよ吉之助の薩摩帰還の許可が出たのです。
久々の再会
島に鉄の輪が届きました。喜ぶ吉之助の耳に、聞き覚えのある懐かしい声が…。正助が島にやってきたのです。再会を喜ぶ2人。正助が名を一蔵に改めたことを伝えると「一蔵ち、名前まできらっきらしくないおって!」と、にこにこと喜びます。
その夜、吉之助の家に泊まった一蔵をご馳走でもてなします。一蔵は懐から書状を出して「殿の命にごわす。すぐ薩摩に戻ってきてくいやい」と告げました。吉之助は「そいはできん。おいはこん島に残る」と、きっぱりと断ります。一蔵は「薩摩といえば西郷じゃ!西郷吉之助がおらんないかんとじゃ!」と説得します。
吉之助はその場に愛加那を呼びました。愛加那は大きな目でまばたきもせずにこちらを見つめます。藩にある金はこの島の人々を苦しめて作られたもの。しかし島の人々は優しい。「おいは、ここで生きる力をもろうた。人の愛ちゅうもんを教えてもろうたとじゃ。おいにとってここは…極楽じゃ」と、吉之助は薩摩には帰らないと宣言します。
一蔵は「おいは待っちょっで。薩摩に必ず戻ってくいやい」と、吉之助に念を押しつつ、島を後にしました。
揺らぐ心
明くる日愛加那は、正助から預かっていた物を渡しました。それは、亡き斉彬からもらった、あの短刀でした。それを見た吉之助は「一蔵どんらしか」と、呟きました。
愛加那は、吉之助の表情に思うところがあったのでしょう。織物仕事を放り出し、赤ん坊を抱いて海を眺めます。近寄るユタ(秋山菜津子さん)に「こん子と生きていく」と言うと、ユタは「3人じゃ。あと1人、新しい命が宿っている。愛加那、強くおなり」と、お腹に手を当てました。
吉之助は藩主にこの島に留まりたいという手紙を書いていました。吉之助に催促され歌い始めた愛加那は、突然泣き出します。書きかけの手紙を破って「薩摩に薩摩に帰りんしゃれ」「もう旦那様の魂は、薩摩へ飛んでる」と叫んで、家を飛び出します。その日から愛加那は家に帰ってきませんでした。
佐民の家を訪ねると、菊次郎は家で元気にしている、愛加那はつわりがつらそうだ、と佐民が教えてくれました。愛加那のお腹に赤ん坊がいると、初めて知った吉之助。愛加那と話したいという吉之助に、佐民は「失礼ながら、迷うておられるのではありませんか」と、吉之助の心情を見抜きました。「ここにおられた3年の間、我々にたくさんの夢ば見せてくりょうた。ありがっさまりょうた」と言い、大きな声で「西郷吉之助様!」と叫ぶと「あなたのいるべき所はここではありょうらん」と、薩摩に戻るよう説得します。困惑の表情を浮かべる吉之助…。
別れの時
浜辺で愛加那を見つけて駆け寄り、後ろから抱きしめて「愛加那!」と連呼する吉之助。顔を向き直した愛加那に「必ず戻ってくる。おいの役目が終わったら、おはんと菊次郎とこん子に会うために戻ってくる!」と言います。愛加那は寂しそうな顔で、吉之助の手を自分の頬に当てて、細い声であの祝い唄を歌いました。美しい奄美の海が、2人を包みこみます。
そして旅たちの日がやってきました。吉之助は浜辺で村の皆に「ほいなら!」と挨拶をして、小舟に乗り込みました。船を見送りながら、愛加那と村の人々は、別れの唄を歌いました。
『行きんにゃ加那我きゃくとぅ忘れて行きんにゃ加那うったちゃうったちゃ行き苦しやお役目果たせば戻てぃもれ妻子ぬ元ちゃ戻てぃもれ』
「私のことを忘れて、あなたは去ってしまうのですね離れてみると心が苦しいのですお役目が果たしたら戻ってきてください妻子の元に戻ってきてください」という意味の、旅立つ人を見送る唄です。
吉之助がいなくなった島で、サトウキビを刈る愛加那。一瞬手を止めますが、また元気に「みんなー!あとちょうきばり(ひとがんばり)じゃー!」と皆に声を掛けて、また体を動かします。
次回「偉大な兄 地ごろな弟」は、薩摩に戻った吉之助が、上洛計画が無謀だと久光を諭すようです。
久光は「じごろち申すか」と、吉之助に凄みます。吉之助の弟・信吾が立派な青年となって初登場。
吉之助が京を訪れ、血気にはやる信吾を投げ飛ばし、喝を入れます。
美しい芸妓・おゆうは、これから薩摩藩士たちと、どうからんでくるのでしょうか?
薩摩に戻った吉之助の活躍が楽しみです。
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