毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「おんな城主 直虎」。
2017年9月17日、第37話「武田が来たりて火を放つ」が放送されました。
今回の「武田が来たりて火を放つ」というサブタイトルの元ネタですが、「来たりて」ってところで反応して、横溝正史の長編小説、名探偵「金田一耕助」が大活躍する「悪魔が来りて笛を吹く」でしょうね。この「悪魔が来りて笛を吹く」ですが、2度映画化され、4度テレビドラマ化されています。ちなみに、主役の金田一耕助役ですが、映画版は片岡千恵蔵さん、西田敏行さん、テレビドラマ版は古谷一行さん、片岡鶴太郎さん、稲垣吾郎さんとバラエティ豊かな方が演じられています。是非、この機会に見比べてはいかがでしょうか。
前回、井伊直虎(柴咲コウさん)は井伊家再興を諦める決断をし、虎松(寺田心さん)を、母、しの(貫地谷しほりさん)の嫁ぎ先である、松下源太郎(古館寛治さん)へ養子に出すことにしました。
守り役の奥山六左衛門(田中美央さん)は、そのまま虎松についていく事にし、なつ(山口紗弥加さん)と亥之助(荒井雄斗さん)もしのを頼って、一緒に付いていきました。
中野直之(矢本悠馬さん)は、井伊と小野の郎党の一部を引き取り、井伊領でなくなっても井伊谷で暮らし、守っていきたいという思いから、近藤康用(橋本じゅんさん)に仕える事にしました。高瀬(高橋ひかるさん)も身分を隠して近藤のもとへ行きました。
それぞれ行き先が決まり、直虎は還俗して、龍雲丸(柳楽優弥さん)と一農婦として、瀬戸村で暮らすことになった…というところまでが前回でした。
前回の第36回「井伊家最後の日」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それぞれ新しい生活が始まりました。そして、武田信玄(松平健さん)の西への進撃は、井伊へどのような影響をもたらされるのか?
それでは、第37回「武田が来たりて火を放つ」のあらすじと感想です。
中村屋が龍雲丸を堺へ誘う
祐椿尼(財前直見さん)は龍潭寺に身を寄せ、瀬戸方久(ムロツヨシさん)は、薬の行商を始めていました。方久の髪型が、昊天(小松和重さん)に弟子入りした時は、辰(山本圭祐さん)と一緒に頭を丸めていたのに、今回は戻っていました。前回から4年経ったという事みたいなので、修業は終わったということでしょうか。
方久は行商の後、龍潭寺であやめ(光浦靖子さん)の刺繍を見て惚れ込み、新野屋敷に押しかけ、「新野の婿にもらっていただけませぬか。あやめ殿からは方久の、この世で一番好きな香りが致しまする!」と刺繍で儲けようとしているのか、方久らしい野心に満ちたプロポーズをし、結婚することになりました。
あやめが望んでいた、「嫁ぐ」ことにはなりませんでしたけど、嫡女ですし、婿を取るというのは、ある話ですね!よかったです。
話は逸れますが、ムロツヨシさんは「LIFE!」というウッチャンのNHKのコント番組にレギュラー出演されています。私は、その中の「ムロ待ち」というコントが好きです。シソンヌじろうさん演じる「自称ムロを育ててきた女」黄金原さんが、ムロさんに近付く人達を蹴散らすコントです。ムロさんの心の内を勝手に推測して話し、ムロさんを愛しているのは、自分の方だと言うのですが、完全に暴露です。ムロさんは毎回「そんな事ない!」と否定しますが、結構芯を突いているみたいで、面白いです。
最近は月1回の放送になっていて、放送曜日もバラバラです。次回は10月9日放送だそうです。
直虎は、八助(山中崇さん)や角太郎(前原滉さん)をはじめとした、村の者たちの相談に乗ったり、すっかり村に馴染んでいました。龍雲丸とは、家を構えて二人で暮らしていました。龍雲丸は、話していても上の空の時があり、直虎は心配していました。
そこへ龍雲党にいた少女、たまき(染野有来さん)が、気賀の商人中村屋(本多博太郎さん)の船で逃げ延びていて、龍雲丸に中村屋からの便りを届けます。
「堺での商いを一緒にやらないか。」というものでした。直虎は龍雲丸の性に合っていると背中を押します。
龍雲丸は、直虎も一緒に行こうと誘いましたが、直虎は井伊を離れる事を良しとせず、断ろうとします。しかし、祐椿尼が「直虎の孫を抱きたい。」と堺へ行くことを後押し、直虎は堺へ行くことに決めるのでした。
龍雲丸が、たまきとの再会に喜び、抱き合っているのを物陰から直虎が見て、後で追及するシーンが、普通の夫婦喧嘩っぽくて笑えました。直虎が、取ってきた山芋を、龍雲丸に投げつけて、折ってしまっていました。
これを観るまで、話し方も殿の時代と変わらないし、龍雲丸の事をまだ「頭」と呼んでいるし、夫婦っぽくなかったのですが、直虎が前に「第三の女」で、直親(三浦春馬さん)に向かって怒っていたのと違って、ちゃんと女の人になっていて、夫婦らしいなと思いました。
直虎の髪も、今までの尼時代は、毛量の多いおかっぱで違和感がありましたが、還俗後は髪を伸ばして違和感がなくなってきました。龍雲丸の柳楽さんと並んでみると、改めて、美男美女だと実感します。
高瀬に近藤殺害の指示
井伊谷城の近藤のもとにいた高瀬も、近藤から優しく接してもらい、穏やかに過ごしていました。そこへ行商人が訪ねてきます。その男の顔を見て、高瀬は顔色を変えます。そして二人になった時「近く武田が攻め込んでくる。」と男は伝えます。
「しかし井伊はもう潰れてしまいましたし。」と高瀬が言うと、男は「分かっておる。ゆえに今の城主を殺して欲しい。」と言い、「しくじれば命はあると思うな。」と毒を渡すと何事もなかったかのように去っていきました。高瀬は困惑した表情です。
特に何も説明がなかったので、よく分からなかったのですが、高瀬は間者で、初めは井伊を潰す為、潜り込むよう命じられていたのではないでしょうか。
高瀬の働きによってか、結果的に井伊は潰れた。そこで高瀬は役目を終えて、穏やかに過ごしていたところを、「近藤を殺せ。」という新たな命令が下った。といったところでしょう。命令を下しているのはやっぱり武田でしょうね。小野但馬守政次(高橋一生さん)も、武田の間者かも、と第20話「第三の女」で言っていました。
武田の遠江侵攻
元亀3年(1572年)10月3日、武田は駿河、信濃の2方面より遠江の徳川領に攻め入りました。同時に織田領内にも攻め入っていて、遠江への援軍を望むのは難しい話でした。上杉も一向一揆に手間取っており、徳川は裸同然で武田を迎え撃つことになりました。
龍潭寺に、堺へ行く報告をしに来ていた直虎と龍雲丸は、武田の遠江侵攻の知らせを直之から受けます。直之は、近藤から城に守りを固めるよう指示を受けていたのでした。
龍潭寺の面々は、早速作戦会議です。南渓和尚(小林薫さん)は、もう領主でない直虎と龍雲丸に堺へ逃れるよう指示しますが、直虎は拒否します。
龍雲丸も「俺も行きたくないでさね。ここが戦場になっちまうかもしれねえって事だろ。だったら今度こそ、皆を無事に逃がしてぇ。」と言います。南渓は「なるほど。」と納得します。
そして直之に「事の次第によっては近藤に刃向かう事になるが、どうする?」と聞きます。直之は「それがしが近藤殿に仕えているのは、井伊の民を守る為です。」と言い、直虎たちの話に乗ってくれることになりました。
武田と徳川の雲行きを見て、逃げる方が得か、戦う方が得かという事を判断することになり、早速傑山(市川隼人さん)が戦場へ視察しに行くのでした。
徳川が有利ならば近藤に任せ、不利な場合は、近藤が武田に帰順を申し出る事が望ましい。直虎は、近藤が帰順を申し出るよう、仕向ける事を考えるのでした。
三方ヶ原の戦い
武田は、鬼神のような強さで遠江の城を次々と攻め落とし、井伊谷に近づいてきていました。飯田城が落ち、犬居の天野氏、山香郷の奥山氏も武田になびきました。二俣城は武田の大軍に取り囲まれ、水の手が断たれたという状況です。数も2万を超えていて、徳川軍の倍でした。織田からの援軍も望めないとあって、徳川家康(阿部サダヲさん)は、「遠江を武田に割譲し、和睦を結ぶ。」と言い出します。酒井忠次(みのすけさん)は「織田に勝手に和睦したと言われる。」と反対です。
家康は「武田は、織田をも滅ぼすつもりなのであろう。上方の織田に反する大名衆も既に、武田に与している。ならば織田を切り捨て、武田につく方が先々の事を思えば良いのではないか。」と考えを述べます。酒井は「織田に知れたら…。」と弱気です。「武田に事情を伏せてもらうよう頼もう。」と言うと、家臣たちが納得しかけました。
しかしその時、織田から重臣、佐久間信盛(坂西良太さん)が援軍に駆け付け、本多忠勝(髙嶋政宏さん)は「もう戦うしかございませんな。」と言うと、その場にいた全員が肩を落とすのでした。
徳川と織田連合軍は、三方ヶ原で武田に大敗。家康は恐ろしさに脱糞してしまいました。家康の、有名なしかめっ面の肖像画と同じ姿を阿部サダヲさんがしていました。
井伊谷城開城から気賀の戦いまで、ずっと嫌な感じだった酒井が、家康の脱糞の臭いを消そうと「かがり火を焚け!」と家来に指示するシーンがありました。本当は恐ろしい戦いだったはずなのですが、このドラマでは少し笑えるように描かれていました。
遠江侵攻で力を見せつける、弱い者いじめのような戦い方をしていた徳川軍が、逆にものすごく強い武田に、コテンパンにやられる姿は正直スカッとしました。
龍雲党も、政次も犠牲になりましたからね!
井伊の民の逃散
傑山は、龍潭寺の人たちに三方ヶ原での戦を報告し、武田の恐ろしさを知ります。
しかし近藤は、徳川の一員として戦うつもりでいて、城を枕に討ち死にするくらいの勢いです。話を聞いた直虎は、作戦を実行しようと決断します。
龍雲丸は村へ行き、八助に伝えます。八助は「皆、行くぞ。」と声をかけ、村の皆も指示に従います。近藤の家臣が村へ着く頃には、村の皆は全員いなくなっていました。
近藤は、怒り心頭で龍潭寺へ「井伊の尼はおるか!百姓が人っ子ひとりおらぬようになったのじゃ。食い物も道具も全て持ち去られ、村はもぬけの殻じゃ!かような事をするのは、あの尼に決まっておる!」と直虎を探しに行きます。
昊天は「私の見たところ、百姓たちは戦いたくなかったようでございましたがな。逃散は百姓の得意の手ですし…。」と言うと、南渓和尚が「武田の破竹の戦いぶりは聞こえてきておったしの。」と同調します。「何が言いたい。」と近藤は聞きます。
「近藤殿。ここはいっそ、武田に与してしまわれてはどうじゃろうの?それでは満足に戦う事すら出来ぬであろうし、武田はもう、そこまで来ておる。」と南渓は、近藤の怪我した足を見ながら言います。そして「百姓を連れ戻す暇はございますまい。」ととどめの一言を言いました。近藤は、百姓を諦めて城に戻るのでした。
百姓たちが逃散する事で、直虎は近藤に武田との戦を思い留まらせようとしたのでした。民たちは、隠し里に逃げてきましたが、弥吉(蔵本康文さん)が、高瀬がいないことに気づきます。その頃武田は、井伊谷目前にまで迫って来ていました。
直虎と龍雲丸は、荷物を運ぶ格好で井伊谷城に潜り込みます。直之は門で荷物をチェックするふりをして二人を中へ通します。二手に分かれて龍雲丸は高瀬を探します。
高瀬は井伊谷城で、食事の準備をしていました。近藤に出すお椀の中に、行商の男からもらった毒を入れ、近藤に差し出します。そうとも知らず近藤は「高瀬、気持ちは嬉しいがここは危ない。そなたはすぐにここを去った方が良い。今までまことに、ようやってくれた。礼を言う。」と高瀬に優しく言います。
そして毒の入った汁を口に運ぼうとした瞬間、「武田がこちらに向かってきました。」と知らせを受け、お椀を置きます。高瀬は膳を下げるのでした。
直之が、武田の兵の数が2万である事を近藤に伝えます。「それでもまだ、戦われますか?」兵の一人として、潜り込んでいた直虎が言います。
近藤は「どこから入った!叩き出せ。」と言いますが、直之が近藤の背後に回り、刃を近藤の喉元に突きつけ、「近藤様、どうかお話をお聞き下さいませ。」と言います。
「近藤様、此度の戦いに到底勝ち目はございませぬ。あたら命を散らすなど、惜しいと思われませぬか。」と直虎が言うと、「そなたが小細工をせねば、勝ち目はあった!」と近藤が言います。
「ございませぬ!井伊の兵はせいぜい500。二俣城は2000で守れど落とされたと聞きます。それとも井伊にだけは奇跡が起こると?この上はどうか、武田に帰順し、開城の使者をお立て下さいませんでしょうか。そのお命は我ら寺で救うたもの。何卒、大事にはして頂けぬでしょうか!」と直虎は必死に訴えます。
「「三十六計、逃げるに如かず。」…か。よかろう。そなたの言う通り、皆と共に逃げよう。但し、帰順はせぬ!城に火を放て!死んでも武田に城は渡さぬ。これ以上は譲れぬ!」と近藤が言うと、兵たちは次々と火をつけます。
直虎は慌てますが、直之は「ここらが落としどころにござりましょう。我らも早く逃げましょう。武田もやって参ります。」と言うと、直虎は、高瀬と龍雲丸を探しに城に入り、近藤らを隠し里に逃がすよう、直之に指示しました。
高瀬は、火が回った城の中で逃げる事もせずじっとしているところを、龍雲丸に見つかります。二人で逃げるところに直虎も加わり三人で城を出て、門の所で直之と合流しました。
井伊谷城は焼けましたが、焼け死んだ者は一人もいなかったといいます。
と、ここで話は終わりです。
高瀬は近藤殺害に失敗し、そのまま自害のつもりで火の中にいたのでしょうか。今回も謎が明かされるまではいきませんでした。謎はまだ続きますね!
次回は、第38回「井伊を共に去りぬ」です。
予告で虎松が、寺田心くんから菅田将暉さんに代わっていました。
どんな虎松なのでしょうか?ドラマの雰囲気も変わりそうですね。
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