毎週日曜日20時から、NHK総合他にて放送中の大河ドラマ「おんな城主 直虎」。
2017年7月30日、第30話「潰されざる者」が放送されました。
今回の「潰されざる者」というサブタイトルは、1992年の第65回アカデミー賞作品賞受賞作のクリント・イーストウッドが監督で主演の「許されざる者」です。たぶん。
ちなみに、この映画ですが2013年に李相日監督により、渡辺謙さん主演でリメイクされています。このリメイク版には、龍雲丸として大活躍中の柳楽優弥さんが出演しているので、「おんな城主 直虎」ファン、柳楽優弥さんファンともに見逃せない1本ではないでしょうか?
前回は、井伊直虎(柴咲コウさん)は、武田と今川の戦を避けるため、徳川家康(阿部サダヲさん)に、「武田とではなく、上杉と結んだ方がいい」と進言する書状を送りました。
直虎としては、徳川と結びたいと考えていましたが、書状の内容が今川に味方する内容であったため疑われ、虎松(寺田心さん)の母である、しの(貫地谷しほりさん)を徳川へ人質として出すよう、逆に要求されました。
しのは、徳川の使者である常慶(和田正人さん)の実家である、松下家へ嫁ぐという形を取って、今川に疑われず徳川の人質となりました。
一方、駿府では、戦を避けてきた、今川氏真(尾上松也さん)でしたが、完全に武田と決裂。
氏真は、武田との戦支度のなか、寿桂尼(浅丘ルリ子さん)が残した井伊への策を実行しようと行動を始める、といったところで終わりました。
寿桂尼の置き土産とは何か?
前回の第29回「女たちの挽歌」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第30回「潰されざる者」のあらすじと感想です。
今川、方久を脅す
小野但馬守政次(高橋一生さん)は、駿府で寿桂尼が生前面会していた、水野が成敗されたことを耳にします。
直虎も同じく寿桂尼と面会しており、未だ無事なのは、怪しまれなかったからだろうと、鈴木重時(菅原大吉さん)、近藤康用(橋本じゅんさん)、菅沼忠久(阪田マサノブさん)から聞きます。
同じ席で、他の国衆へお酒を注ぎながら、商売の情報を聞き出していた、瀬戸方久(ムロツヨシさん)は、関口氏経(矢島健一さん)から、以前戦備えの為、気賀に蔵を作りたいと氏真に申し出ていた件で呼び出されます。
氏真は、蔵を作ることを認める代わりに、方久に以前、瀬戸と祝田の百姓たちが願い出ていた徳政令を受け入れるよう要求します。
今川氏真は、「武田との戦に備え、西から徳川が攻めて来た時、今川と徳川の国境である大事な井伊の土地を、信のおけない井伊に任せられない。」と言います。
そこで、井伊を今川の直轄地とする為、方久を通じて井伊に徳政令を受け入れさせ、借金のかたに方久が井伊の土地を奪えば、自ずと井伊は滅びるというわけです。氏真は井伊を取り潰すつもりなのです。
しかし方久は、井伊に、瀬戸と祝田を安堵されており、話を拒否しようとしますが、新しく今川から瀬戸、祝田の土地を安堵する書状を出されます。もちろん、気賀もです。
井伊が潰れても、今川から土地を安堵してもらえれば、方久の土地は方久のものに変わりありません。抵抗したところで今川に武力で滅ぼされるだけです。
方久は受け入れるしかありませんでした。方久は、氏真に「小野但馬守政次は、このことを知っているのか。」と聞きます。
氏真は、寿桂尼が生前、「直虎と政次は同じ穴のムジナと睨んでいた。」と言って、信用出来ないと、方久に口止めをするのでした。
政次が今川を騙していたことを寿桂尼はとっくに見抜いていたのですね。確かに最初は緻密に直虎の敵を演じていたのに、気賀を手に入れるぐらいから、政次は積極的に協力して、氏真に話すタイミングを計って、連絡したりしていました。
今川の情報を、直虎から方久に伝えた時などは、方久は「どこからその情報を?」と前から気にしていましたし、方久の前では油断しているような場面が今までに何度かありました。
直之と六左衛門には隠せていたと思いますが、方久は商売人ですし、勘がいいです。
方久、安堵状を必死に隠す
政次は、今川から井伊へ戦支度を命じる書状を届けにやってきていました。
奥山六左衛門(田中美央さん)と中野直之(矢本悠馬さん)は、今川に戦支度を見せかけるよう、直虎から指示されている手前、政次の前でどのように振舞ったらよいかわからず、戸惑っていました。
特に六左衛門は嘘が付けない為、政次に見つめられると目を閉じてやりすごそうとします。その様子が面白かったです。直之はもっとドンとしたキャラクターだと思っていましたが、六左衛門と一緒の反応をしていて、意外でした。
六左衛門は、戦をしないのだから、言われた通りしなくてもいいのでは?と提案しますが、直之は、井伊の備えは軽すぎるので、これを機会に戦道具を増やしておこうと言います。銭のかかることでありましたが、直虎は、そこは方久に頼むしかないと言うのでした。
井戸端で、直虎に政次は、寿桂尼との会話がどんなものであったか聞きます。寿桂尼は、内通の疑いがある者を洗い出していたという、噂を聞いていた為です。
直虎の、「家を守るという事は、綺麗事では達せられませぬ。」と答えた言葉を聞いて、政次は青ざめます。しかし直虎は、「時間も経っているし、疑いなしという事だったのでは?」とあまり心配していない様子です。ここでも対照的なふたりです。
一方、気賀の堀川城の方久は、氏真からの土地の安堵状を見つめながら、ため息をつきます。井伊への裏切りになるので、安堵状を城のどこかに隠そうと、色々動いてみるのですが、どうしようもありません。
何も知らない直虎は、直之を伴って気賀の町へやって来ます。町でモグラ(マキタスポーツさん)とカジ(吉田健悟さん)に会い、蔵を建てるための材木の話を聞きます。
蔵を建てること自体、直虎は聞いていませんでした。モグラは「そのうち方久様から話が来るだろうからその時はお願いします。」と言います。
方久から話がなかったことに、直虎は気に留めていません。
堀川城に向かった直虎と直之は、方久に会います。方久は最初、仮病を使って寝ているふりをし、追い返そうとします。
しかし、直虎は方久の体をあちこち触り、腰に手をかけられそうになったところを慌てて方久は起きます。
方久は、腰に安堵状を隠していたのです。起きた方久に、「戦支度をして欲しい。」と直虎は頼みます。
ところが、方久は「どちらと戦されるのですか?」と聞いてしまいます。「武田であろう。」と直虎は言い、直之も「ボケておるのか?」と言います。
今川から話を聞いている方久は、相手がどちらか分からなくなっているのでした。
その後も方久は直虎との会話にぎくしゃくしながら答え続け、なんとかその場をやり過ごします。勘の鈍い直虎は何も気づくことはありませんでした。
政次が今川の動きを探る
井伊に戻った直虎は、方久との会話を政次に話します。今川から蔵を建てるよう命じられていたことを、政次も知りませんでした。それだけではなく、今川の井伊に関わる事柄で、政次が知らないことが増えてきていました。
政次は井戸端で一人、直親(三浦春馬さん)に向け、「俺の考えすぎか?亀。こちらから仕掛けてみるか。」と話し、動き出します。
いよいよ、堀川城に関口が訪ねてきました。徳政令の件を、井伊に持ち掛けると方久に告げる為でした。関口は「そなたの身も狙われるかもしれないから、しばらく身を隠せ。」とさらに脅しをかけていきます。
その様子を物陰から龍雲丸(柳楽優弥さん)が見ていました。
関口が帰った後、方久を訪ねた龍雲丸に、「身を隠したい。」と依頼し、龍雲丸は「船を出すから、こちらの頼みも聞いて欲しい。三河の人がお忍びで会いたいと言っているので、会ってくれないか。」言います。方久はついていきます。
龍雲丸が連れて行った場所には、政次が待っていました。方久は腰に手をやります。龍雲丸がその様子を後ろから、しっかりと見ています。
方久は、龍雲丸と政次に、はかられたと気付きます。
「太守様から、おぬしを見張るよう言われている。」と言う政次でしたが、今川から、徳政令の話を、政次は聞いていないことを知っている方久は信じません。
そこで政次は、「井伊を取り潰す話から、私を外すと聞いているのか?私も同じ話をされている。井伊が潰れた後、私には気賀を任すという話になっている。」と、さも知っているかのような話しぶりでさらに方久を揺さぶります。
動揺した方久は、挙動不審で、ウロウロと動き回ります。
隙を見て龍雲丸が、方久の腰から書状を抜き出し、政次に渡します。今川からの、土地の安堵状を見た政次は、事の次第を把握しました。
龍雲丸は、「尼小僧様に取り立ててもらったのに!」と方久を責めます。しかし、方久は「今川に逆らえば、気賀もどうなるか。私がいなくなったら、大沢か浜名が入って来ましょう。それでもいいんですか!」と完全に居直ります。
今川の目的は、井伊の土地を直轄地にすること。徳政令を受け入れないとしても、どのみち武力で、井伊は取り潰されるのです。
政次は、方久にいつ徳政令が出されるのかを聞き出します。
政次は龍雲丸とも組んで、井伊を守る行動を表に出していますね。もう寿桂尼でなくても、政次の考えは丸わかりです。それだけ井伊の危機が迫っていて、なりふり構っていられないんです!政次の熱い思いが抑えきれず表に出まくりです。
徳政令発布の通達
関口は、井伊へ来て、徳政令を出すよう通達します。直虎たちは驚きます。「村は立ち直っていて、返済も進んでおり、百姓たちも今や徳政令を望んでいない。今ここで徳政を出さねばならない意味がわかりません。」と抵抗する直虎に、関口はため息をつきながら、「実は銭主が望んでいるのだ。」と言います。
「百姓への貸し付けを帳消しにする代わりに、全く進まぬ井伊からは、借金を取り立てたいと、方久が申し立てている。」と「方久が」を強調して、関口は言います。
「方久はそれをしない代わりに井伊の家臣となったのです!」と直虎は、なおも抵抗しますが、関口も引きません。続けて関口は、徳政を行う誓詞を書くよう要求します。
「せめて、考えるいとまを下さい。」と言うのが、やっとの直虎です。関口は、「明日まで」と期限を切り、帰ります。
井伊の屋敷に来ていた、百姓の甚兵衛(山本學さん)は、徳政の話を庭で聞いていました。
六左衛門は「方久に問いただそう。」と言いますが、直虎は「方久は、今川が井伊を取り潰そうとしていることを、おそらく知っている。」と言います。
直之も「潰しにかかると知っていたから、誰と戦うのかと聞いたり、材木を頼まなかったり、という事ですか!」と堀川城での会話を思い出します。
そこへ政次が入って来て、「戦を控え、三河との境目となるこの地を、信のおけぬ者に任せるのは危ういと、大方様がご判断なされたのでございます。こたび、徳政をはねつければ、力に訴えられましょう。かような形でのお取り潰しは、むしろ今川の温情かと。おとなしくお受けになりますよう。」と憎たらしく言いに来ます。
直之は「勝手なことをほざくな!銭で潰れたなど、末代までの恥さらしじゃ!」と立ち上がります。しかし、直虎は直之を制します。そして「なんとか道を見つけたい。」と考え込みます。政次は必死に調べ上げたことを、直虎に教えに来てくれたのでした。
南渓和尚(小林薫さん)に事の次第を説明した直虎は、「政次は勘ぐっていたのに自分は気づいていなかった。」と反省の弁を述べ、直親にもしのにも顔向けできないと泣きます。
南渓和尚は、昔も人質の件でそう言って泣いていたと笑い、「その時慰めに言った、明日には、太守様が倒れるかもしれないし、今川館が焼け落ちるかもしれない。と言った言葉が、今では本当になるかもしれない。」と優しく言います。
「井伊を取り潰した今川が、潰れてしまうとすれば…」南渓和尚の言葉を受け、また碁を打ちながら、直虎は考えます。政次も自分の屋敷で碁を打ちながら考えます。
「もし、井伊が徳政令を受け入れれば、井伊は潰され、今川の直轄とされる。そうなれば、井伊の民と百姓は、今川方の兵として戦うことになる。戦う相手は武田?いや、徳川?しかし、井伊はその徳川とは既に通じている。ならば、あえて、井伊を潰した上で、今川の懐に入る。そして関口の首を上げ、徳川に差し出せば、井伊はよみがえる!」
直虎と政次はそれぞれの碁の盤上で、策を練るのでした。
この直接会わなくても、碁の盤上で話し合うシーンは前にも、第24回「材木を抱いて飛べ」の時に徳川との密通を疑われた時にありましたね。危機が迫っている時です。
前の問題の時より事態は深刻です。
瀬戸と祝田の百姓が訴える
関口の寝所には、瀬戸と祝田の百姓たち、村長の甚兵衛ほか、八助(山中崇さん)、福蔵(木下隆行さん)、富介(木本武宏さん)らが座り込み、自分たちが出した徳政令を取り消すよう、座り込んで要求していました。
「徳政令を望まんに!」
そう何度も何度も声を揃えて訴える百姓たちを、駆け付けた六左衛門は止めますが、百姓たちは止めません。
たまらず関口の家臣は、槍の柄の部分で、八助をはじめ皆を打ち付けます。
しかし、直虎に恩を感じているので、血を流しながらも訴えを止めようとしません。六左衛門も一緒に、土下座して頼み込みます。
知らせを受けた政次も到着し、その様子を伺っています。
政次、直虎に刀を突きつける!
直之と共に関口の寝所に到着した直虎は、先に来ていた政次に声をかけた瞬間、政次に喉元に刀を突きつけられます。直之は、政次の家臣に押さえられていて近づけません。
そして政次は、他の人に聞こえないよう小声で、「俺を信じろ、おとわ。」と言うのでした。
今回はここで、続く!です。
え~!って感じです。こんな切羽詰まった状況で、まだ政次に策はあるのでしょうか?
次回の予告では、政次は「地獄は俺が行く。」と言っていました。虎松には矢が向けられ、命を狙われるようです。
なつ(山口紗弥加さん)も久々に登場します。
なつは、義兄の政次に惚れている様子ですし、政次とどこまでも一緒でしょうか?
ドラマではどうなるかわかりませんが、私が調べたところによると、小野但馬守政次は虎松の命を狙って、虎松に逃げられます。
次は井伊を乗っ取ろうとしたところを、井伊谷三人衆に追い払われて、子供とともに処刑されるとのことです。
ドラマでは政次に子供はいませんし、家族と言えば、なつと亥之助です。
ドラマの政次にはどんな展開が待っているのでしょうか?
井伊から追い出された後、家族と山へ逃げるという話もありますし、できれば処刑より逃げてくれる方がいいです。なつとうまくいって欲しいとも思いますが、どうなるんでしょう??
次回、第31回「虎松の首」です。副題からして嫌なことしか考えつかないです!