前回の第33回は、坂本龍馬(小栗旬さん)の暗殺未遂事件から始まりました。
傷を負った龍馬は、妻のおりょう(水川あさみさん)と一緒に薩摩に。療養をしつつも、おりょうとの温泉旅行を楽しみました。
一方、薩摩藩はイギリス公使パークス(セイン・カミュさん)と交渉を開始。宴会ばかりで話が進まないことにイライラしたパークスは交渉を打ち切ろうしますが、吉之助(鈴木亮平さん)が単身で軍艦に乗り込んで、交渉が進展しました。
そして一途に龍馬を愛するおりょうに触発された糸(黒木華さん)は、吉之助に自分の思いを打ち明けました。
2人の夫婦仲は深まり、糸は子を身ごもったのです。
前回の第33回「糸の誓い」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第34回「将軍 徳川慶喜」のあらすじと感想です。
長州再征伐
長州勢は最新武器で奇襲をしかけ、数で勝る幕府軍から次々と勝利を収めます。戦いの最中、将軍・家茂(勧修寺保都)が病で亡くなり、幕府は休戦に持ち込まざるをえない状況になりました。
京の洛外、岩倉具視(笑福亭鶴瓶さん)の家に一蔵(瑛太さん)と勝海舟(遠藤憲一さん)が集まります。岩倉と勝は、家茂の正室・和宮が輿入れしたときからの知り合いでした。岩倉は「よっしゃ、これで幕府の威光も地に落ちたな」と喜びます。一蔵は「徳川も、もはや諸藩を束ねる力を失ったのでしょう」と冷静に分析、勝は「徳川の世はお終いだ」と、自嘲気味につぶやきます。
そこに庭から大きな物音が。吉之助はまた罠にかかり、大きな体が網にくるまれて空中に揺れます。勝は長州再征伐において、長州軍に単身乗り込んで、休戦協定を結ぶという大役をやり遂げた直後でした。
亡くなった将軍・家茂は病弱で跡継ぎはおらず、慶喜(松田翔太さん)が次期将軍候補となります。しかし慶喜は将軍職を固辞しているとのこと。しかし吉之助は「いや、オイは慶喜公が将軍になると思いもす」と、静かにつぶやきます。
慶喜、幕府の頂点に
慶喜は孝明天皇(中村児太郎さん)に参内します。天皇は「慶喜、将軍となりこれからも朕のそばにいておくれ…」と、か細い声で囁き、慶喜の手を握って「頼む」と言います。天皇の後押しもあり、慶喜は15代将軍となります。吉之助の読みは当たりました。
そして孝明天皇は崩御。突然の死でした。岩倉は敬愛する天皇の死に、取り乱します。一蔵が「これまで懇ろだった幕府と朝廷を引き離す好機かと」と助言すると、岩倉は気を取り直しました。岩倉は朝廷を、吉之助と一蔵は雄藩諸侯を抱き込もうと動き始めます。
吉之助たちの呼びかけに呼応した土佐、越前、宇和島。さらに薩摩の代表・久光(青木崇高さん)と将軍・慶喜が、京の二条城に集まります。会議を始めようとすると、慶喜は「今日という日の記念に、御一同のフォトグラフを撮ろうと思う」と、写真技師を部屋に入れます。久光は抗議しますが、「長州の話は先送り、神戸港のことならもう皆に話はついておる」と言い、他の三方も「はっ」とかしこまります。慶喜の巧みな根回しにより、久光以外の雄藩諸侯は、すでに懐柔されていたのです。
吉之助の覚悟
慶喜はイギリスなど諸外国の公使を招待し、日本の最高権力者は幕府だと世界に宣伝します。そしてフランスは、幕府に武器などの援助をする代わり、薩摩の土地が欲しいと要求。慶喜は、どうでるのでしょうか…。
世の中は打ちこわしなども多く、不安定な情勢。家を無くした人々が路上に座り込む街中を、吉之助は鍵屋のお虎(近藤春菜さん)、村田新八(堀井新太さん)と3人で歩きます。すると偶然にも、かつて薩摩で出会い、今は慶喜の側室となったおよし(高梨臨さん)に出会いました。およしは、慶喜が近頃盛んに異国の人と話し込んでおり、その話に時折「サツマ」と聞こえてくるのが不安でしょうがないと言います。
イギリス通事のアーネスト・サトウ(スティーブ・ワイリーさん)が、吉之助に会いにやってきました。フランスが幕府への援助と引き換えに、薩摩の土地を要求していることを、イギリスは掴んでいました。そして、イギリスは薩摩に援助をする用意があると申し出ますが、吉之助は「日本のことは日本人で解決せねばなりません」と、毅然とした態度で断りました。
慶喜が薩摩を売ろうとしていると確信した吉之助。日本を切り売りする慶喜のやり方に対し、武力をもって徳川を討つのだと、覚悟を決めます。吉之助は岩倉に、討幕の勅命を取るよう依頼しました。一蔵は長州、芸州と、討幕挙兵の盟約を交わします。京の薩摩屋敷には続々と武器が集まり、戦の準備が進みます。
大政奉還
一方、土佐の坂本龍馬は、藩主の山内容堂(大鷹明良さん)に薩摩へつくよう勧めますが、山内は怒って部屋を出ていってしまいます。しかし龍馬は「妙案があるがです。戦をせずに、幕府を取り潰せる策が」とニヤリと笑います。
その頃、日本中で「ええじゃないか、ええじゃないか」と歌いながら、派手な格好で踊り歩く騒ぎがおこっていました。不安定な世情を反映した目的の無い騒動だとも、世直しを訴える民衆運動の一種だとも言われる騒動です。
慶応3年10月13日。突然、二条城に10万石以上の藩の代表が集められました。慶喜は「心して聞け、余は恐れ多くも天子様に、家康以降260年以上お預かりしてきた政の大権を、返上願いたてまつる所存である」「これより天下の政は、天子様の朝廷と諸藩が手を取り合い、執り行うものとしていきたい」と、まさかの大政奉還を宣言したのです。
鍵屋にいる吉之助を、龍馬が訪ねてきます。龍馬は大政奉還を「げにまっこと立派なご決断をなさったがやね」と評価します。それを聞いた吉之助は「やはり坂本さあじゃったな」と、大政奉還は、土佐藩つまり龍馬の建白書をもとにした行為だったと見抜きました。龍馬は「これで日本も新しくなるがか」と前向きですが、吉之助は鋭い眼差しで「これでは何もかわらんど」と言います。慶喜が大政奉還をしたのは薩長の武力行使から逃れるためであり、幕府は今後も実権を握り続けると推測。「もう、武を持って徳川を叩き潰さにゃ、何も変わらん」と、吉之助の決意は揺るぎません。
今回は、慶喜が将軍になり、さらに大政奉還して将軍を退くという、怒涛の展開でした。
次回は「戦の鬼」。
龍馬と吉之助は、討幕をめぐり対立します。
そんなタイミングで龍馬は暗殺されてしまいます。
おりょうは薩摩屋敷に乗り込んで「あんたが殺したんや」と吉之助に怒りをぶつけます。
吉之助は強い決意を持って、武力行使の準備を進めます。
戦の鬼と化した兄を、弟の信吾(錦戸亮さん)は「兄さはどうなってしもたんか」と心配します。
戦を避けようとすることの多かった吉之助ですが、武力行使やむを得ずと変化しましたね。
日本を切り売りしようとする慶喜への怒りが、そうさせたのでしょうか。
次回も楽しみです。
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