第25回、沖永良部島の野ざらしの牢で、嵐に耐え生死をさまよった吉之助(鈴木亮平さん)。
座敷牢に移り、子供たちに勉強を教えます。一方薩摩藩では、行列を横切ったイギリス人を藩士が殺してしまい、世界の大国・イギリスと戦争をすることに。
吉之助や川口雪篷(石橋蓮司さん)は、島の防衛のためにハリボテの大砲を作り、島人や子供たちと絆が深まりました。
結局、イギリスとの戦争は2日で終り、吉之助には召還命令が出され薩摩に戻ることに…。
前回の第25回「生かされた命」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第26回「西郷、京へ」のあらすじと感想です。
幕末の英雄たち
1年半の島暮らしを経て、沖永良部島から帰還した吉之助。藩主・島津茂久(長田成哉さん)と対面後、すぐに大久保一蔵(瑛太さん)の要請で京に向かいます。
一蔵は、京である男に会いました。古びた羽織に坊主頭、庭で魚を焼いています。一蔵が「西郷が京へ参ります」と話しかけると、京訛りで「ああ、西郷吉之助か」と顔を上げます。うっかり黒焦げにしてしまった魚を持ち上げて「このままでは終わらへんで…」とニヤリ。彼は、幕末・明治に活躍する、公家の岩倉具視(笑福亭鶴瓶さん)です。
一方、とある旅籠で、ひょっとこの面を被って踊る男を、向かいで座って酒を傾けながら「おい、いい加減にしねえか。下手くそで見ちゃいられねえ」と叱ります。座った男は、早口の江戸弁で、総髪で髷を結っています。踊る男がお面を外すと肩まで伸びたくせっ毛が見え、土佐弁で「ちぇっ、また叱られたぜよ」と呟きます。この2人こそ、あの勝海舟(遠藤憲一さん)と坂本龍馬(小栗旬さん)です。
京へ
吉之助は京に向かう前に、実家に顔を出します。借金で家を手放し、借家に引っ越していました。「兄さぁ、申し訳ございもはん。生まれ育った家を守れんで…」と謝る吉二郎(渡部豪太さん)。弟の小兵衛(上川周作さん)は大きくなり、お役目に励むと言います。
夜には大山格之助(北村有起哉さん)たち郷中の仲間が駆けつけ、国の情勢について語りました。吉之助と村田新八(堀井新太さん)は大島や沖永良部島の有様を嘆き、イギリスとの戦争後、久光に物を言えるのが一蔵だけだと知ります。京では薩摩が嫌われているとの話題も…。
参与会議
合議によって政を行う、参与会議という制度が始まりました。朝廷、幕府、そして朝廷が指名した有力諸藩が参加。しかし幕府の代表である一橋慶喜(松田翔太さん)は、攘夷を支持したかと思えば、開国を進めようとしたり、会議を振り回すばかり。薩摩の島津久光(青木崇高さん)や、土佐藩の山内容堂(大鷹明良さん)らに責めらても、知らん顔で酒を飲みます。
京都における薩摩の定宿・鍵屋は「薩賊」と書かれた紙を貼られるなど、嫌がらせを受けていました。薩摩の味方をする仲居のお虎(近藤春菜さん)は「どっからでもかかってきなはれ!」と勇ましい様子。そこに、ひょっこりと吉之助と村田新八がやってきました。お虎は大喜びです。
すぐに一蔵がいる繁の屋を訪ねます。一蔵は宴会で、畳を持ち上げて手のひらで回転させる大技を披露。皆が帰ると、芸妓のおゆう(内田有紀さん)が、一蔵の手を冷やそうと濡れた手拭いを持って現れました。ただならぬ雰囲気の2人です。
一蔵は「国父様は泣いておられる」と、吉之助を京に呼んだ理由を話します。久光は会議の場で慶喜に芋扱いされ、供回りの者たちも頭を抱えていました。そのため、畳回しをして盛り上げ、皆の気持ちをつないでいたのです。「吉之助さぁ、そげな薩摩でもおはんの評判だけはとんでもなく大きくなっちょっ」と、吉之助を頼りにするほか無い状態でした。吉之助は「分かった。一蔵どん、新八どん。共に気張っど!」と気合を入れます。
久光との確執
吉之助は久光と対面します。吉之助を嫌う久光は一言もしゃべらず、ゆっくりと煙管に火を付け口に運びました。静寂を破るように、吉之助が「西郷吉之助、沖永良部島より立ち戻りもした。此度の御赦免…」と言い出しますが、久光は「黙れ」と遮ります。そして「わしはな。一橋も好かんがお前はもっと好かん!下がれ!」と怒鳴って煙管を投げつけました。吉之助は険しい顔で、何も言わずに退出しました。
吉之助はその足で一橋の京屋敷に向かいますが、慶喜のお付き・平岡円四郎(山田純大さん)に「殿は西郷吉之助という者など知らぬと…」と言われ、門前払いされます。
定宿の鍵屋に戻ると、薩摩から江戸に出て飯盛女をやっていた、ふき(高梨臨さん)が待っていました。思わぬ再会を喜ぶ吉之助に、ふきは「これをうちの人から預かって参りました」と、『牛男』と宛名書きされた手紙を渡しました。なんとふきは、慶喜の側室になっていたのです。
ヒー様、再び
とある遊郭で、遊女を侍らせ絵を描きながら、町人髷のヒー様スタイルで待ち構える慶喜。吉之助が「お久しゅうございます、一橋様」と挨拶すると「違うだろ」と、ヒー様と呼ぶように言います。慶喜は「勤王だか佐幕だか分からん。今の俺には、誰が味方で誰が敵かさえ分からんのだ」と嘆きます。さらに久光のことを「一人前に日本国を憂いているようで頭の中は己のことしか考えておらん」と酷評。政治の話はやめて飲もうと言う慶喜を、吉之助は「また逃げようとされておるのですか?」と鋭く指摘します。
2人は向かい合って座り、盃を傾けます。慶喜は「なぜ俺が、薩摩、土佐、宇和島…徳川の家臣風情と肩を並べられなくてはならんのだ」と本音を漏らしました。吉之助は「徳川も薩摩も長州も無い。今こそ手を取り合う時だ!そう、天下に号令をかけられるのはここにおります将軍後見職一橋慶喜様だけだとおいは信じております」と慶喜を説得。慶喜は納得し「分かった。芋に会ってやろう」と、会見を取り付けることに成功しました。
そんな中、慶喜を狙った刺客が現れ、平岡が身代わりとなって刺されてしまいました。慶喜は怯えます。
久光は一蔵の説得も無視して薩摩に帰ってしまいました。吉之助は「申し訳なき次第にございもす!」と、慶喜に頭を下げます。慶喜はどこか奇妙な笑顔で、久光に謝りたいと言い出しました。平岡が殺されたことを話し「こういう時だからこそ、心と心でつきあいたい強き者がおる。お前だ、西郷。お前の熱い心を俺にくれ」と、笑顔で吉之助の手を握りました。言葉とは裏腹に、慶喜の目の奥は不気味に光ります。
次回27話は「禁門の変」。
京都を舞台にした、長州藩対薩摩藩・会津藩の戦いです。
京都を追い出された長州藩の過激派がこっそりと池田屋に集まっていたところ、新選組に切り込まれ、多数の犠牲者を出しました。
追い込まれた長州藩の過激派は、京都で挙兵。薩摩藩、会津藩が迎撃し、京都は火の海に包まれます。吉之助は鎧兜で武装した薩摩藩士に檄を飛ばします。
この戦いが、吉之助の初陣になるのです。幕末の戦乱の幕開けとなる、見逃せない回になりそうです!
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