前回の第15回では、井伊直弼(佐野史郎さん)が大老に就任。井伊は権力を使って、後継者を徳川慶福と定め、その上アメリカとの通商条約を勝手に締結してしまいました。
島津斉彬(渡辺謙さん)は、自分の夢が砕けたと嘆きます。
西郷吉之助(鈴木亮平さん)は京都に挙兵して圧力をかけ、幕府を改革しようと提案。斉彬は提案に乗り、挙兵に向けて軍事演習をしますが、その最中に倒れ亡くなってしまいました。
前回の第15回「殿の死」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第16回「斉彬の遺言」のあらすじと感想です。
水戸への密勅
京の薩摩藩定宿・鍵屋で、薩摩藩士が集まって前祝いの宴会を開きます。そこに勤王の僧・月照(尾上菊之助さん)が現れ「近衛様宛てに、急ぎの書状が薩摩から参りまして…」と書状を渡します。書状には、斉彬が逝去したという知らせが…。有村俊斎(高橋光臣さん)も「お殿様が!?まさか…!」と驚きます。吉之助はショックを受け、雨の中フラフラと庭に出て座り込み「ああーー!」と叫びます。
吉之助は近衛家を訪れ、有村俊斎、橋本左内(風間俊介さん)、月照と今後の相談をします。近衛忠煕(国広富之さん)は「毒やな」と言います。俊斎は「お殿様の弔い合戦じゃ!のう吉之助さぁ!」と息巻きますが、吉之助は「そげんこつどげんでんよか」と、冷静に返します。「命に代えてもやらねばならぬことがあるのだ!」と言った斉彬の意志を継いで、自分の使命を貫こうとしているように感じます。吉之助は、水戸藩と隠居した藩主・徳川斉昭(伊武雅刀さん)に挙兵してもらうべく、詔を取ってもらえないか、近衛に頼みます。
しばらくして、近衛は「まだ内々に聞いたことやけどな」と、近々水戸に勅命が下ることを教えてくれました。「あんな怒ってはる天子さんわしも初めてや」と、朝廷は大老・井伊を、激しく非難しているのです。
陰湿…井伊直弼
同時期、一橋慶喜(松田翔太さん)が江戸城に登城し、井伊に直接、朝廷の許し無く通商条約を結んだことに苦言を申し入れます。しかし何を言っても「恐れ入り奉ります」としか返さない井伊直弼に、慶喜は苛立ちます。「いつ何時も、こうして俺がにらみを利かしてることを忘れるな!」と、声を荒げて言い放ちました。
吉之助は、斉彬の言葉…「手となり足となれ」、「お前はワシになれ」という言葉を思い出しながら、天皇の密勅のことを伝えに、必死に江戸に向って走ります。
徳川斉昭と松平慶永(津田寛治さん)は、江戸城の井伊の元に乗り込みました。朝から夕方まで部屋で散々待たされた2人。やっと現れた井伊にアメリカとの通商条約について責めても、のれんに腕押しのごとく「恐れ入り奉ります」とばかり繰り返すのです。
斉興、慶喜の蟄居
江戸についた吉之助が徳川斉昭のいる水戸藩邸を訪ねますが、門前払いをされてしまいました。
一方、慶喜はまたも商人姿に変装、磯田屋で飯盛女たちに絵を描いて遊んでいました。そこに吉之助があらわれ、真剣な顔で「お願いがございもす」と、水戸への取り次ぎを頼みます。しかし慶喜は「今の水戸はそれどころじゃねえんだよ」と、斉昭が蟄居させられ、そして自分も近い内に蟄居させられるだろうと…。吉之助は諦めきれず「水戸が動かんとなら一橋様が立ってたもんせ!」と懇願しますが、慶喜は「薩摩守はもうおらんのだ」と諦めるようにいい、立ち去りました。吉之助は絶望し「ああ…」と声をあげて、その場に崩れ落ちます。
ふきは店を出ようとする慶喜を捕まえて「さっ行きましょう。私たち一緒に逃げるんでしょ?」と、明るく声を掛けてきました。「前から何か訳がある人だと思ってた」と言うふきに、「俺がまだ生きてたら、きっと迎えに来る。それまで待っててくれるか」と言い残して、店を去って行きました。
その後、大老・井伊は慶喜に蟄居を言い渡し、3年もの間邸内で謹慎することになります。
井伊は朝廷が密勅を出したことを察知します。家臣の長野主膳(神保悟志さん)は「ふらちにも天子様をたぶらかしまいらせた者たちを、召し捕るべきではありませんか」と進言。井伊も「うんそれしかないか」と意を決した様子です。
京に引き返した吉之助に、月照が「西郷さん、あんたさん薩摩へ帰って死ぬおつもりでっしゃろ」と、吉之助の心の内を見抜きます。「おいは殿のおらんこん世におっても、意味のなか人間でごわす」と言う吉之助に、月照は「生きるんや。生きてあんたさんが薩摩守様になりなされ!」といって、吉之助を説得します。
安政の大獄
詔を口実に、大老・井伊が幕府に歯向かう者を次々に取り締まっていきました。世に言う、安政の大獄です。幕府の追及の手は、月照にも伸びてきました。月照は回りに迷惑がかかることを恐れ出頭しようとしますが、吉之助は薩摩に逃げることを提案。月照も「分かりました。この命預けまひょ」と、逃亡を決意します。
鍵屋にて、月照は変装のために山伏の格好をしますが、優雅な佇まいのせいか逆に目立ってしまいます。仲居のお虎(近藤春菜さん)の指導でガニ股で歩いても、どこか不自然で…。結局普段の格好で行くことに。
佐内は「僕は医者ですが、この病んだ日本国の医者になりたいと思って生きてきた」と、吉之助に熱い想いを語ってくれました。この国の仕組みを変えることを、まだ諦めていないのです。吉之助と佐内は江戸での再会を約束。吉之助と俊斎、そして月照は船で旅立ちます。しかしすぐに左内を取り囲む追手が。井伊の家臣・長野らに捕まってしまいます。
吉之助たちは船をおりて陸路を進みますが、宿場にも手配書が回り、捕り方がたくさんいて身動きがとれません。俊斎が様子を見に行き、吉之助と月照は山中の廃屋で一夜を過ごすことに。
月明かりの下、ふらふらと外に出た吉之助は、斉彬のことを思い出しながら、「オイは、殿の元に参りとうございます」といいながら、斉彬にもらった脇差を抜きます。すると「何をしておる」と、斉彬の声が。振り返ると黒いマントを羽織った斉彬が立っていました。手を広げ待ち構える斉彬の胸に飛び込むと、その幻は消えてしまったのです。吉之助は「殿…おいは生きて、殿の思いを果たそうち思いもす」と、泣きながら誓ったのです。
次回17回は「西郷入水」。薩摩まで逃げた吉之助と月照ですが、斉彬の父・斉興に「思い上がるな!幕府に刃向かうなど言語道断である!」というセリフと笑い声。薩摩で月照を守ってもらえず、吉之助と月照は、錦江湾に入水するのです。それを止めようとした、正助の「吉之助さぁ死んじゃならんど!」という声が響きます。吉之助の人生のポイントとなる出来事、次回も見逃せない展開です。
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