第14回「慶喜の本気」で、薩摩藩主・島津斉彬(渡辺謙さん)は建白書を提出して、幕政の改革や、次期将軍を一橋慶喜(松田翔太さん)にすることなどを提案。老中らに波紋を起こします。
そして篤姫(北川景子さん)の働きかけで、将軍・家定は次期将軍を一橋慶喜にすると宣言。一橋派と紀州派で争われていた将軍継嗣問題が、動き出します。
さらに、将軍になることを拒否していた慶喜本人が、西郷吉之助(鈴木亮平さん)の説得でついに覚悟を決め、将軍になることを決意したのでした。
前回の第14回「慶喜の本気」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第15回「殿の死」のあらすじと感想です。
詔を得る
吉之助と橋本左内(風間俊介さん)は京都の近衛家を訪れます。そこには勤王の僧、月照(尾上菊之助さん)もいました。近衛忠煕(国広富之さん)は「ほんまに苦労したわ」と言いながら、天皇から承った将軍家の跡取りについての詔(みことのり)を見せてくれました。そこには「世子は英傑・人望・年長の3件を備えたものを選ぶべし」と記されています。これを満たすのは一橋慶喜様だけだと喜び、2人は意気揚々と江戸に戻りました。
2人を見送りつつ月照が数珠を手に取ると、糸が切れてバラバラと飛び散ってしまいました。不吉な予感…。
斉彬は、一橋派が優位になったことで、欧米列強と対峙するために薩摩藩の軍事力強化を進めます。
病に倒れた家定
将軍・家定(又吉直樹さん)と篤姫は、心を通わせ仲睦まじく暮らしていました。今は春ですが、家定は大好きな柿の絵を描きながら「秋になったら御台と甘い柿を食べよう」と言います。篤姫は喜び「そうじゃ。幾島、薩摩からたる柿を取り寄せよ」と提案します。そのとき、家定が突然倒れてしまいました。
寝たきりで医師らに囲まれる家定。枕元の老中・井伊直弼(佐野史郎さん)に「筆と紙を…」と頼みます。遺書だと思った井伊は医師を外に下げます。ですが家定が描いたのは柿の絵。家定は「これを御台に食べさせてくれ。頼む」と言いました。声が大きかった「頼む」という言葉だけは、外に控えた医師にも聞こえました。
「頼む」という言葉を、幕政を頼むという意味だとして、井伊は大老となります。最高権力者となった井伊は、朝廷の勅許が無い状態で、アメリカとの通商条約を受け入れます。そして将軍の世継ぎを、一橋慶喜ではなく徳川慶福と決定。なんと、詔の「年長」の部分が消された文書に、書き換えられていたのです。篤姫は井伊に、「そなた、もしやご病気で苦しんでおられる上様に無理強いして迫ったのか!?」と疑いますが、医師らの証言もあり、おかしいと感じても何も出来ない状態。
斉彬の夢、砕ける
吉之助は、この事をいち早く斉彬に知らせるため、薩摩に向って走ります。城に着いてすぐ「次の公方様は…」と伝えますが、斉彬は「もうよい」と。書状には、集成館を廃止される命が近々下るという情報も…。
斉彬は城を出て馬を走らせ、吉之助は走って追いかけます。桜島を望む高台に着いた斉彬は「夢は砕けた」と、険しい顔に。「西郷、今日限り庭方の役目を解く」といいました。吉之助は呆然と立ち尽くします。
ぼさぼさの頭、伸び切った髭、汚れた服という出で立ちで、家に着いた吉之助。家族に「すまん、殿から役目を解かれてしもうた」と力なく伝えました。夜、縁台でぼーっとする吉之助。そこに幼馴染みの大久保正助(瑛太さん)が訪ねてきました。「江戸や京を駆けずり回って殿のお役に立っちょっち自分では思っちょった…。じゃっどん、何の役にも立てなかった」とうなだれる吉之助に、正助は「やっせんぼ!」と活を入れます。「たかが1つや2つの策が破れたっちおめおめ引き下がる吉之助さぁではなかとが。小さか頃からみんなが無理っちゅうこつを吉之助さぁだけは諦めんかった。だいも考えられんとんでもなかこつをやる男じゃった!」と、あきらめるなと説得します。
翌朝、髭を剃り、しっかりとした出で立ちで、朝食を食べる吉之助。御中教育として子供たちに読み書きや剣術を教え、家族と穏やかな時間を過ごしながら、心の中では何かを決意しているようです。
挙兵への決意
江戸では、将軍継承に勝利した大老・井伊が、幕府を意のままに動かし始めていました。そして大奥に家定の死が知らされます。しきたりで、将軍の死は1ヶ月伏せられるのです。もちろん大奥にも。さめざめと泣く篤姫。死が公表されたのは、アメリカとの通商条約と、慶福の次期将軍決定が決定した直後という、絶妙なタイミングでした。
吉之助は、誰もいない集成館を歩き、斉彬の夢に思いを馳せます。そして意を決意して城に押し入り「殿に お目通りさせてくいやんせ」と、殿の側近・山田(徳井優さん)の制止を振り切って「殿!殿!」騒ぎます。斉彬が現れ「離してやれ。どうした。西郷」と聞きました。吉之助は「殿!兵を挙げてたもんせ」と言います。
江戸ではなく京都に兵を送り、薩摩の決意を示す。そして天使様の詔を改めて頂き、幕府に改革を迫るというのです。斉彬も「井伊の独裁に不満を抱く者が多い」と納得、腹を決めたようです。吉之助は泣いて喜びます。斉彬は吉之助に「西郷!今から…お前は わしになれ」と意志を託し、先に京都に送り出しました。
京都に着いた吉之助は、薩摩藩定宿の鍵屋を訪れます。鍵屋の女将・お虎(近藤春菜さん)が、うっとりと吉之助を見つめているのが、少し気になりますね。今後も女将は登場するのでしょうか。部屋で待つ橋本左内と月照に、薩摩が挙兵することを伝えます。そこに、いても立ってもいられなかったという有村俊斎(高橋光臣さん)も駆けつけました。
薩摩では挙兵に備えて軍事演習が。斉彬はベストにズボン、皮のブーツと、洋風の出で立ちで、「撃てー!」と軍を指揮します。兵たちも髷に鎧の姿ながら、最新式の銃を持って行進、欧米の軍隊式を取り入れています。その最中に斉彬は倒れ、そのまま帰らぬ人となってしまいました。安政5年7月16日、あまりにも突然の事でした。
次回の第16回は「斉彬の遺言」。
斉彬の死にショックをうける吉之助を、月照は「生きるんや。生きて薩摩守様になりなされ!」と、励まします。吉之助は斉彬の意志を継ぎ、朝廷に働きかけますが、井伊直弼は幕府反対派を捕まえ処罰していきます。
月照や橋本左内らにも追手が。
あの有名な安政の大獄が始まり、次回も見逃せない展開になってきます。[br num=”1″]