前回の第41回「新しき国へ」では、鹿児島では島津久光(青木崇高さん)が政府の方針に反対し、地方で一揆が起こるなど、不安定な世情でした。
そんな中、政府は欧米との不平等条約改正を目的として使節団を派遣。日本に残った隆盛(鈴木亮平さん)は留守政府を預かります。
隆盛は天皇(野村万之丞さん)が日本各地を視察する、ご僥倖を計画。天子様の姿を拝見した久光は反乱の意思を改め、遠くから眺めた菊次郎(城桧吏くん)は幼いながらも留学を決意するなど、人々の心に様々な変化を与えました。
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それでは、第42回「両雄激突」のあらすじと感想です。
菊次郎の旅立ち
アメリカ留学が決まった菊次郎は、いとこの市来宗介(前川優希さん)と共に上京。2人は隆盛の長屋に暮らし、英語の勉強を始めました。鹿児島では、宗介の母・琴(桜庭ななみさん)が心配して留学をやめさせようとしますが、糸(黒木華さん)は「宗介さも菊次郎さも、立派な薩摩隼人じゃ。信じていかせてやりもっそ」と、どんと構えています。
菊次郎はアメリカで農業を学ぶと言われ「わざわざメリケンに行って土を耕すのですか」と不満をこぼしますが、隆盛は「国の土台は農業じゃ。国が富むちゅうこつは、みんなが腹いっぱい飯を食えるっちゅうこつじゃ」と、考えを正します。菊次郎は、隆盛に髪を切ってもらいスーツを着て、宗介と一緒にアメリカへと旅立ちました。
隆盛のもとに、ロンドンの利通(瑛太さん)から手紙が届きました。立派なひげを蓄えた利通の写真を見ると、隆盛は「ひげ、似合っちょらんじゃろ」とくすりと笑います。手紙には、アメリカには相手にされず、欧米との差は大きく愕然とするばかり、悩みすぎて頭の毛が抜けた…と記されていました。
留守政府の活躍
10ヶ月程で帰国する予定だった使節団でしたが、1年経っても戻りません。その矢先、長州出身・井上馨(忍成修吾さん)の不正が発覚。辞任を求めますが、太政大臣・三条(野村万蔵さん)は「長州のもんがおらんようになってしまう」と心配します。しかし隆盛は「もう使節団の帰りは待っておれん。これよりは政府内を一新して、オイたちは一枚岩となって政を推し進める!」と宣言。土佐の後藤象二郎(瀬川亮さん)、肥前の江藤新平 (迫田孝也さん)・大木喬任(町田幸雄さん)を参議として追加し、留守政府を動かし始めました。徴兵制、学校教育制度、地租改正…さらには鉄道や製糸場を作るなど、留守政府は大きな成果を上げていきます。
ある夜、東京城が火事に。天子様は無事でしたが、火は燃え広がり宮殿は消失してしまいました。明治6年5月5日のことでした。徹夜で対応し家に戻った隆盛は、そのまま倒れ込みます。2日後に目を覚ましますが、医者の見立てでは心臓が弱っているそうで、隆盛はしばらく療養せざるを得ませんでした。
2人の対立
そんな中、使節団よりひと足早く、利通が外国から戻ってきました。予定より8ヶ月過ぎていましたが、さしたる成果もなく肩身の狭い帰国でした。
議場に顔を出しますが、参議たちの反応は冷たいものでした。三条は土産話を…と席を進めましたが、江藤新平は「まことに残念ながら」と、莫大な税を費やした挙げ句、何の成果も挙げられなかったあなたの席は無いと言い放ちます。三条以外の皆が同じ態度で、利通は退せざるを得ませんでした。
その後、利通は隆盛の長屋を訪れます。お土産として、きれいな金色の置き時計を渡しました。隆盛は「よう戻ってきてくれたの」と、笑顔で歓迎。利通は「吉之助さ、オイはロンドンですごいものを見せつけられた」と語り始めます。蒸気機関で汽車を走らせ、あらゆるものを作り出す。それらを異国に売って富を築く。「見たものでなきゃ分からん。分からんから江藤も後藤も板垣も、オイをないがしろにできっとじゃ」と言って、参議をやめさせるべきだと訴えました。
隆盛は反対しますが、利通は「船頭が多すぎる、政にならん」と譲りません。議論は並行線で、利通は「オイにはゆずれん理想があっとじゃ」と主張すると、隆盛が「ほんじゃったら政府にはおらんでもよか、薩摩に帰ったらよか!」と、話し合いは決裂します。
数日後、隆盛は政府に復帰。そして朝鮮国という新たな問題が浮上します。朝鮮国は、釜山の官邸前に日本を非難する立て札を掲げ、貿易や入国を拒否すると通告してきたのです。軍艦を差し向けるべきだ、いや戦争はまずいと意見が出る中、隆盛は朝鮮国にいる2千人の日本人の安全確保が第一だと強く主張、自ら交渉にいくと提案します。しかし戦争を恐れる参議たちは反対。2ヶ月の論議の末、隆盛の朝鮮派遣が決定しました。
隆盛は東京の大久保邸を訪れ、おゆう(内田有紀さん)は「いつもすんまへん、ええもんばかりもろうて」と愛想よくもてなします。隆盛は謝罪がしたかったのですが、利通は体の具合が悪いと言って顔を出しませんでした。
使節団の帰還
そして、予定より1年遅れて岩倉使節団が帰国。岩倉(笑福亭鶴瓶さん)と伊藤(浜野謙太さん)は天子様に謁見し、成果がなかったことを報告します。「まことに、まっことに、お詫びの言葉もございません」と深々と頭を下げますが、天子様は「岩倉、おかみは失意しておる」とだけ答え、すぐに目を逸らします。岩倉と伊藤はショックを受け、膝から崩れ落ちました。
報告が終わると、伊藤はそのまま岩倉を宴席へと誘います。そこには木戸孝允を始めとした長州勢が揃っていました。彼らは、このままでは土佐と肥前の思うがままだと危機感を抱き、岩倉を抱き込もうとします。木戸は「すべてはお前らが欲に目をくらましたせいではないか」と否定的ですが、伊藤らは必死です。そこに利通も合流し、宴は仕切り直しとなります。
やがて10月14日、ようやく岩倉を交えた閣議が開かれました。岩倉は「これから大久保も参議に加わってもらうよって、よろしく頼むで」と、議会を無視して決定します。岩倉が朝鮮派遣を議題に挙げると、利通が立ち上がって「私は今一度考え直すべきだと思います」と発言。隆盛を真正面からにらみつけるその目は、もはやかつての親友の目ではありませんでした。
次回、「さらば東京」。
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鹿児島の西郷家にも朝鮮派遣のことは伝わり、糸は「だんなさまが朝鮮国に…」と心配そうにつぶやきます。
しかし議会では、隆盛が「見殺しにすっとか、一蔵どん」と叫ぶ場面もあり、隆盛と利通の2人は激しく対立。険しい表情で「憎め」と言う利通は、一体何を考えているのでしょうか…。
幼い頃から心を通わせ、さまざまな何台に取り組んできた2人に、決別の時が迫っています。
次回も見逃せません。
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