第39回「父、西郷隆盛」では、明治37年に京都市長に就任した菊次郎(西田敏行さん)は、いままで口を閉ざしていた父・西郷隆盛(鈴木亮平さん)について語ります。
この回は、菊次郎の視点で物語が進みました。
明治2年、菊次郎は鹿児島にやってきました。
新政府では大久保利通(瑛太さん)が、周囲の反対を押し切って強引に政策を進めます。
政府への批判が高まり、薩摩藩士の横山安武(笠松将さん)は、命をかけて悪政を訴えました。
それをきっかけに多発した暴動や一揆を収めるため、西郷隆盛は新政府に呼び戻されることになります。
前回の第39回「父、西郷隆盛」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
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それでは、第40回「波乱の新政府」のあらすじと感想です。
鹿児島にて
利通と岩倉具視(笑福亭鶴瓶さん)の2人が、勅書を携えて鹿児島にやってきました。勅書には「久光はすぐに東京へ上り、政府に力を貸すように」という内容。隆盛は「あん国父様を東京に呼ぼうち、これはどげな企てでございもすか」と聞きます。言いよどむ岩倉に対し、利通は「日本全国の藩を、取り潰そうち思うちょる」と、ズバッと答えました。各藩がもつ税の徴収権を一気に集め、深刻な資金不足を解消しようと考えているのです。
しかしそんなことを実行すれば雄藩らが反乱を起こしかねないと、従道(錦戸亮さん)は言います。隆盛は「強か軍がいるのう。反乱を起こす気も失せるほどの、強か軍が」と、全国から精鋭を集めて皇軍を作ることを提案。利通はその案を了承し、「吉之助さ、よろしく頼むぞ」と託しました。
隆盛は、剣の鍛錬をする中村半次郎(大野拓朗さん)たちに、天子様をお守りするのが御親兵、民を守るのがポリスだと説明。「新しか世の侍の働く道じゃ」と、一緒に東京に来るように勧めると、彼らは「おー!」と喜び、意気揚々と剣の稽古を再開しました。
病気を装って東京行きを断る久光(青木崇高さん)を、利通は「国父様、今一度お考えいただけもはんか?」と説得します。「悪いようにはいたしもはん」という上から目線の物言いに怒った久光は「ワシはおまえらの指図など死んでも受けん、下がれ!」と怒鳴ります。しかし利通は「私はもう、島津家ではなく天子様にお使えしている身でございます。国父様にも新政府の席を設けてお待ちしているのでございます。それが私の恩返しです」と慇懃無礼に言い放ち、立ち去りました。
夜、隆盛と菊次郎(城桧吏くん)の2人が西郷家の縁側で、チラチラと降る雪を眺めていました。隆盛は「今の世の中は、大きく変わっちょう。これからは武士も百姓も同じ、島人も大和人も無か」「今はうんと学んで己を磨き、自分が何をしたいか時をかけて考えればよか」と、菊次郎へ思いを託します。
そして東京へ
明治4年、隆盛は熊吉(塚地武雅さん)1人を連れて、東京へやってきました。
大久保利通邸に招待された隆盛。後藤象二郎(瀬川亮さん)、伊藤博文(浜野謙太さん)、板垣退助(渋川清彦さん)、江藤新平(迫田孝也さん)、さらに三条実美(野村万蔵さん)ら、明治政府の要人が集まって会食が開かれました。築地の料理人が作ったというご馳走をみて、隆盛は「東京では毎日こんなご馳走を食うちょっとでごわすか」と、素朴に驚きます。
和やかに進む会食の裏では、廃藩置県を進めたい利通と、反対する木戸(玉山鉄二さん)や後藤らが対立。熾烈な主導権争いが繰り広げられていました。
皆が帰ったあと、2人で話す隆盛と利通。自分についてきて欲しいという利通に、隆盛は「わかった」と了承しました。隆盛は「じゃっどん…」と、タクアンをフォークで食べながらコーヒーを飲む利通を見て、「その組み合わせはうまかか?」と、思わずツッコミを入れます。
贅沢三昧の政府要人たち
やがて新政府のもとに、薩摩をはじめとする雄藩から御親兵が集まりました。これで廃藩置県の議論が熟すはずでしたが、木戸や後藤たちは、もし反乱が起これば銭がかかる…と言ってなおも反対します。東京に来ても長屋に住んで質素に暮らす隆盛は「簡単じゃ、そんなら今すぐ我らの給金を減らし、質素倹約に努めればよか」と正論を言いますが、広い屋敷に住んで豪勢な暮らしをする彼らは、目を反らして黙り込んでしまいました。
新政府の役人たちは、昼食は高級料亭からの仕出し、夜になればお茶屋通いという、贅沢三昧の生活。岩倉と三条は、芸妓遊びができなくなっては困ると、隆盛を何とかするよう利通に言いました。
利通はお茶屋を出て、その足で隆盛の長屋を訪れます。利通は「吉之助さ、みんなやりにくいち言っちょう」と、言いにくそうに切り出すと、隆盛は廃藩置県の前にやることがあるのでは?と返しました。しかし利通は「立派な屋敷に住むのも、贅を尽くしたメシを食うのも、異国に舐められんようにするためじゃ。こいは100年先の民の暮らしを考えてのこつじゃ」と反論。「頼んだぞ、吉之助さ」と言って、立ち去ります。隆盛は、利通との考えの違いを、どう感じているのでしょうか…。
廃藩置県
ついに廃藩置県の勅命が下されました。議論を棚上げにして強引に取り付けた勅命に、後藤象二郎ら土佐・肥前出身の役人たちは「だまし討ちと同じじゃないですか!」と怒ります。「こんな政府やっちょれるか」と、彼らが議場を立ち去ろうとする時、隆盛がやってきました。隆盛は皆を説得します。「薩長だけでできるはずなか。すべての民にこげなつまらん政府ち、思わせたらいかん」「オイたちの肩には、戊辰で死んでいった8000の魂が乗っちょったど。もう一度みんなが1つになって、存分に話し合いもそ」と、頭を下げました。こうして再び、廃藩置県についての話し合いの場が持たれることになったのです。
議会が終わり、テーブルには隆盛と利通の2人が残りました。利通は「もう来んかち思った」と言うと、隆盛は「すまん、実は迷っちょった。じゃっどん、やっと心を決めた」と答えました。うなだれる利通が「吉之助さ、オイは何か間違っちょったか」とつぶやきます。隆盛は「オハンはそいでよか。オハンが抱えきれんもんは、オイが抱えって」と、穏やかな表情で言うと、玄米のおにぎりを握らせました。2人とも「うまか」と言いながら、むしゃむしゃと頬張ります。
そして全国の藩の代表が集められ、廃藩置県が断行されました。こうして、日本はまったく新しい形へと生まれ変わったのです。
次回「新しき国へ」。
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隆盛は「気をつけての」と、利通の腕を握りながら送り出します。不平等条約改正を目指す視察団として、大久保利通や岩倉具視らが欧米に旅立ちました。
鹿児島の菊次郎も「オイも異国で学びとうございます」と、異国を夢見ます。
留守を預かり、政府を任された隆盛。
政府の腐敗に対する批判や、反対派の不穏な動きに、1人でどう対応するのでしょうか?
次回も楽しみです。
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