第28回「走れ大地を」、日米対抗水泳大会が日本で開催され、結果は40-23と日本の大勝利でした。
日本水泳チームは、高石(斎藤工さん)や鶴田(大東駿介さん)らベテランがタイムを落としますが、若手が力を伸ばします。
オリンピックを東京に招致しようと話が出ますが、日本は満州事変で世界から孤立、さらに五・一五事件で軍国主義が台頭します。
そのような情勢の中、ロサンゼルスオリンピックに向けて選手団が日本を出発しました。
前回の第28回「走れ大地を」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第29回「夢のカリフォルニア」のあらすじと感想です。
いよいよロサンゼルスへ
昭和36年、五りん(神木隆之介さん)は二つ目に昇格。「でも、オリムピック噺は続けていいんですよね?」と聞くと、志ん生(ビートたけしさん)は「当然だよ、何だったらオレと変わってやろうか?」と冗談を言います。
1932年6月23日、大型客船龍田丸がハワイ、サンフランシスコを経由してカリフォルニアを目指します。131人の選手団は、開催国のアメリカに次ぐ規模でした。
ロサンゼルスのダウンタウンにあるリトルトーキョーで、黄色いバスにのった選手たちがパレードし、たくさんの日系人が日の丸を振って歓迎します。選手村という宿泊施設は、このロサンゼルス大会から本格的に導入されました。世界37カ国、2000人が選手村で生活を共にします。「I love you, Land of Sunshine, half your beauties are untold~」…I Love You, Californiaという陽気な歌にのって、日本人選手たちがミュージカルのように踊る演出のあと、政治(阿部サダヲさん)が「オリンピック最高!」と叫びました。
朝食後、黄色いバスでプールに移動。しかしプール敷地の門で、門番が門を開けないという嫌がらせをします。日系人に職を奪われ、怒っている労働者が多いのだと運転手が教えてくれました。ようやくプールに到着し、日本人選手が次々飛び込みます。日本代表の枠を賭けて、1ヶ月の現地練習が始まりました。
日本人への差別
昼食を兼ねて日系人の経営するレストランで歓迎会が開かれました。店主は「私たち日系人は、プールに入れないんです」と、有色人種への差別があることを訴えます。「だから田畑さん、勝って私たちの鬱憤を晴らしてください!」と、熱く応援しました。
午後の練習では、アメリカの監督キッパスが政治のところにやってきて、固い表情で「メダルは1つも譲らない。我々の前に平伏し、屈辱と手土産に日本に帰るがいい」と、過激な宣戦布告をします。政治は世界各国の記者に囲まれ「いいか、四の五の言わずにこう書け。『米国恐るるに足らず』とな!」と威勢よく答えました。水泳の日米チームで火花が散ります。
日本の体協本部では、嘉納(役所広司さん)や野口(永山絢斗さん)らが政治の記事に活気づいていました。そこにロサンゼルスの岸(岩松了さん)から手紙が届きます。手紙を読んだ嘉納は「アメリカ、フランス、ドイツのIOC委員が、もし東京がオリンピックに名乗り出るなら、必ず支持すると声明を出したそうだ!ははははは!」と、大喜びして事務所の外に走り出しました。東京オリンピックが現実味を帯びてきたのです。
この頃、志ん生は…相変わらずの貧乏暮らしでした。タダだからと引っ越した長屋は、蚊、蝿、ネズミなど衛生害虫のオンパレード。とくにすごいのがナメクジで、毎日艦隊のようにゆっくりと部屋の仲間で押し寄せてきました。始めはおりん(夏帆さん)もキャーキャーと怖がっていましたが、そのうち慣れて大きなナメクジを素手でつかめるようになります。
高石の孤独
日々練習をする日本水泳チーム。夜になるとカクさん(皆川猿時さん)、コーチの野田(三浦貴大さん)、キャプテンの高石が練習メニューを練ります。カクさんは高石に気を使って「ごめんね、勝っちゃん」と謝ります。高石は「タイムを見れば自分の限界も一目瞭然ですわ」と自嘲しました。その後、高石は1人でこっそりと練習をしますが、なかなかタイムは伸びません。
その後、女子チームが合流。男性陣は盛り上がります。女子の宿泊は繁華街のホテルですが、練習は合同でした。女子選手がプールサイドで準備運動すると、多横田(林遣都さん)が張り切って自己ベストを出してしまいます。カクさんは「女子が見てるからって!」と、諌めました。
若くはつらつとした女子選手たちがはしゃぐ姿はかわいらしく、現地での人気も相当なものでした。振り袖姿でパーティーに駆り出されると、政治は怒って「寝間着に着替えて番茶でも飲んで寝ろ!バカモノ!」と怒鳴ります。
高石はその夜も、1人で練習をします。練習から戻ったところに鶴田が声をかけ、2人で外を歩きました。鶴田は「今回ばかりは、本当に来るんじゃなかったよ」と、ぼやきます。高石も「オレもや」「明日の選考会は絶望的や。何がノンプレイングキャプテンや~!」と叫び、鞄を投げつけました。
政治はレストランで給仕している日系二世のナオミ(織田梨沙さん)に「どっちに勝って欲しい?」と話しかけます。ナオミは不機嫌そうに「ビッグトークやめた方がいい」と言いながら、皿を片付けました。政治は立ち上がり「勝つんだよ!おオレたちは。毛唐を倒すために日本から来たんだよ!」と大声を出し、アメリカ人を指差しました。ナオミは「ソーリー、ソーリー」と、アメリカ人に謝ります。
出場選手、決定
カクさんは政治に、高石を出場させられないか直談判しますが、政治は即座に却下します。高石は、それを部屋の外で聞いていました。カクさんは憤慨しながら「なぜそんなにメダルに拘るんですか?」と聞くと、政治は神妙な顔になり「日本を明るくするためだ」「犬養さんが撃たれてから、新聞の紙面が暗い」「スポーツで日本を明るくするんだよ、たった数日間だけど、スポーツで国を帰ることができるじゃんね!!」と、自分の思いを語りました。カクさんは「そうか…疑ってごめん」と、納得します。外で話を聞いていた高石は、遠い目をしていました。
そして7月24日、運命の代表選考会。まずは平泳ぎ、僅差で小池(前田旺志郎さん)が勝ち、鶴田は2位に。背泳ぎは清川が1位になります。そして運命の自由形…みんなが高石を応援します。しかし宮崎との差は広がるばかり。政治も思わず「勝っちゃん!ありがとう!おつかれ!」と応援しました。結局、高石は最下位となってしまいます。
そして出場選手の発表…鶴田は宮崎と共に代表に選ばれましが、やはり高石は落選してしまいます。カクさんが締めの一言を高石に促されると「えーーーー…」と言いよどみ、「今日は練習は休みにします!」と言うと、みんながうわー!と喜びました。その後、政治と高石はラジオの取材を受けます。高石の「アメリカとて敵ではございません!」という強い言葉が、日本中のラジオに響きました。
次回は、第30回「黄金狂時代」です。
7月30日、10万5000人の観客が見守る中、ロサンゼルスオリンピックが開幕します。
そして水泳競技が開始され、世界初の実感放送が日本のラジオで行われました。
しかし、水泳チームの選手たちが「痛い、痛い」と言ってうずくまります。
一体選手たちの身に何が起きたのでしょうか?メダルの行方はどうなってしまうのでしょうか、次回も楽しみです!
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