第11回、オリンピックに初参加した日本選手団のプラカードは、四三(中村勘九郎さん)のこだわりによって「NIPPON」という表記になりました。
まずは短距離競技、しかし弥彦(生田斗真さん)は100m、200mで惨敗します。
しかし、自己記録は更新したので成功だと胸を張りました。
マラソン競技の日が近づき四三はモヤモヤしますが、それがプレッシャーというものだと知ると、気持ちが落ち着きます。
一方、東京では美濃部孝蔵(森山未來さん)の初高座が決まりますが、こちらもプレッシャーで止めたはずの酒を飲んでしまいました。
前回の第11回「百年の孤独」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第12回「太陽がいっぱい」のあらすじと感想です。
いざ、スタジアムに
7月14日、マラソン競技当日。四三の実家にスヤ(綾瀬はるかさん)とその夫・重行(高橋洋さん)がやってきました。どうしても四三に食べて欲しいと立派な鯛を持ってきましたが、スウェーデンまで郵送したら2週間かかって腐ってしまうと、実次(中村獅童さん)に断られます。スヤは「縁起物だけん、お目出タイだけん、ご近所さんも呼んで皆で食べて、四三さんば応援しましょう!」と提案しました。
大森監督(竹野内豊さん)は体調が悪化したままですが、無理をして四三のマラソンに付き添います。「行かないで!」と懇願する安仁子(シャーロット・ケイト・フォックスさん)を置いて、2人はホテルを出ました。
ここで、志ん生(ビートたけしさん)の語りが入ります。「ここからは、私、志ん生の『オリムピック噺』で…と言いたいところですが、私は私で、私が心配で…」と、初高座を控えた孝蔵の場面に変わりました。演目は『富久』に決めた孝蔵ですが、練習ではいつも同じところでつかえてしまいます。「車ひいて覚えたから、車ひかないと駄目みてぇだ」と、人力車をひきながら練習を始めました。
四三は市電でスタジアムを目指しますが、乗り継ぎに失敗。大森は咳き込んで座り込みます。途方にくれた四三は、子供の頃病弱な父と熊本に歩いて向かったことを思い出しました。そして、大森を背負ってスタジアムまで歩き出します。
マラソンスタート
嘉納(役所広司さん)はスタジアムの観客席で、オリンピックの創始者・クーベルタン男爵(ニコラ・ルンブレラスさん)と面会していました。男爵は4年前のドランドの悲劇がまた起これば、マラソン競技はできなくなるだろうと言います。嘉納は男爵の杞憂を晴らすように、暑い土地で生まれて暑さに強い金栗四三という選手がいて、彼はIDATENNなのだと説明しました。
大森を背負って歩き、やっとスタジアムに到着。スタート時間が近づいて、他の選手がスタジアムに行ってしまい、四三は慌てて着替えます。トラックに出てスタートラインで四三が足袋の留め具を付けていると、号砲が鳴ってしまいました。四三は最下位からのスタートです。
熊本では、金栗家で宴会が開かれていました。マラソンスタート時刻は、日本の真夜中でしたが、スヤは「頑張れー!」と応援し、自転車節を歌います。
気温は30℃、舗装路は熱気が跳ね返ります。沿道はたくさんの観客で埋まり、旗を振って応援してくれました。スッスッハッハッと呼吸をしながら、スタジアムを出たところで大柄な外国人選手をどんどん抜かします。
3マイル、4.8km地点。1位はフィンランド、2位はスウェーデン、3位はアメリカです。ラジオもテレビもない時代、順位は無線で伝えられ、スタジアムにそれぞれの国旗が順に掲げられました。嘉納、弥彦、田島(ダンカンさん)はスタジアムで、内田(井上肇さん)とダニエル(エドヴィン・エンドレさん)は沿道で見守ります。途中の給水所で打ち水を浴びて、スッスッハッハッと息をしながら、四三は快走を続けます。
暑さとの戦い
その頃東京では、高師の寄宿舎に可児(古舘寛治さん)や永井(杉本哲太さん)、生徒たちが集まり、嘉納からの電報を待ちながら応援歌を歌っていました。そしてストックホルムで走る四三にシンクロするように、孝蔵は人力車で走りながら富久を練習します。
四三はあまりの暑さに立ちくらみますが、自分で頬を叩いてまた走り出しました。9マイル、16km地点です。スタジアムに日本の旗が用意されましたが、順位が変わったのかアメリカの旗と交換され、嘉納たちはがっかりします。
フィンランドのコーレマンが倒れ、担架で運ばれました。息がはぁはぁと乱れ、四三は立ち止まります。子供の頃の自分(船元大馳朗くん)が現れ「呼吸をするときは、スッスッハッハッ、2回ずつばい」と言うと、四三は「そげんこつ、しっとるばい。ばってん…それができん」と言い返します。四三はやっと呼吸を整え、再び走り始めました。
ポルトガルのラザロ(エドワード・ブレダさん)が前方を走ります。折り返し地点の教会を通過、下り坂でスピードに乗り、野心がムラムラと沸き起こってきました。ラザロに追いつき、しばらく並走して追い抜きます。しかし木々の切れ目で日差しが照りつけると、四三は目がくらんで足がフラフラに。また幼い頃の自分の幻が現れ、森の中の分かれ道に座り込みます。なんとか立ち上がりますが、間違った道に進んでしまいました。後ろからきたラザロが「ノー!ノー!」と声をかけてくれましたが…。
マラソンの結果
マラソン競技は終了、結果は1位は南アフリカのマッカーサー、2位は同じくギッシャム、3位はアメリカ人でした。嘉納たちがスタジアムで四三の帰りを待ちますが、いつまでたっても帰ってきません。一体、四三はどこにいってしまったのでしょう…。
控え室、病院、コース上…どこを探しても四三はいません。夜になっても見つからず、東京へは『棄権』という結果だけ電報を打ちます。朝になって皆がホテルに戻ると、なんと四三は自分の部屋で寝ていました。田島は「この意気地無しが!日本人の粘りと闘志はどうした!大和魂をどこに捨てた!」と叱り飛ばします。大森は穏やかに「スタンドで待っていたんだよ」と言い、弥彦は肩を叩いて「まさか…先に帰っているとは。あはははは、見つからんわけだ!」と笑い飛ばしました。
四三は青ざめた顔で「すいまっせん…自分にも分からんばってん…」と頭を下げました。下り坂でスピードが乗り「いける」と思ったけれど、どうやってここに帰ってきたのか、どうしてここに寝ているのか、分からないと言います。そこに内田公使とダニエルが部屋に入ってきて、頭を下げました。日射病になって倒れた四三を、2人がここに連れて帰ってきたのです。四三は「すいまっせん…すいまっせん…すいまっせん…」と繰り返し、涙を流しました。
次回の第13回は、「復活」。
「カナクリ敗退」の一報が日本に届きました。ガイドのダニエルに案内されて、四三は日射病で倒れたときにお世話になった一家を訪ねます。
大森は「10年後、50年後の若者のために、今がある」と、語ります。
ストックホルムの地で、四三は頭を抱えていました。
完走できなかったことにショックをうける四三は、再び走ることができるのでしょうか。
そして孝蔵の初高座はどうなるのでしょう。次回も楽しみです。
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