前回の第46回、五りん(神木隆之介さん)が行方をくらました理由は、志ん生(ビートたけしさん)の復帰を手助けしようとしたけれど、怖くなって逃げ出したからとのこと。
この先、五りんはどうするのでしょう…。
オリンピックは、政府の顔色を気にして歯切れの悪い事務局に、政治(阿部サダヲさん)が怒鳴り込み、事態が進みます。
聖火リレーの最終走者は、広島に原爆が落ちた日に生まれた18歳の坂井に決定。
テレビの生中継を利用することで、沖縄に日の丸を掲げることに成功しました。
前回の第46回「炎のランナー」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、最終回、第47回「時よとまれ」のあらすじと感想です。
開会式
いよいよオリンピック当日。政治は早朝の国立競技場のスタンド席に立っていました。予報は外れ、清々しい青空です。スタンドには金栗四三(中村勘九郎さん)も来ていました。昭和15年、嘉納治五郎(役所広司さん)が四三に送った手紙を政治に見せます。四三は「開会式の聖火ランナーを君に頼みたい。この大役、日本人として始めてオリンピックに参加し、黎明の鐘ばならした君を置いて他にない!」とスラスラ暗唱。政治は「悪かったよ、根に持ってるアンタ、絶対!」と申し訳無さそうにします。
東京オリンピックには、過去最多の94カ国が参加。午後1時30分、すべての国旗が上がり、開会式の準備が整いました。聖火の最終ランナー坂井(井之脇さん)は、人目を避けて競技場の近くにある水明亭というチャンポン屋で待機していまいた。四三は坂井を励まそうと、水明亭に押しかけます。坂井は緊張で膝までガクガクと震えながら「ただその日に生まれたというだけで、僕なんか何者でもないのに…なぜ僕が走るんですか?」と涙目で訴えました。四三は坂井にいきなり冷水をぶっかけます。「冷水浴たい、どぎゃんね!落ち着いた?」「なーんも考えんと、走ればよか!」と笑って励ましました。
午後1時58分、天皇陛下がご列席されます。90歳の可児(古舘寛治さん)は嘉納の遺影を持ち「はあー、やっと見られるよ、オリンピック!」と、野口(永山絢斗さん)、四三と並んで座ります。各国選手が入場。かつてここにあった明治神宮外苑競技場から、学徒出陣を見送った嘉納や政治ら戦争を知る人々は、今度は晴れ晴れとした笑顔で「ばんざーい!ばんざーい!」と選手達を迎えます。
いよいよ聖火を受け取った坂井が走り出します。高さ32m、163段の階段を力強く駆け上り、聖火台に火を灯しました。その時、5機のブルーインパルスが青空に5色の輪を描きます。
五りんと東京オリンピック
志ん生が乗ったタクシーが、日本橋で渋滞にひっかかります。空に描かれた5色の輪を見上げ、車も人も止まっていました。「始まった、オリンピック。じゃあ富久でもやろうかな」とつぶやくと、タクシー運転手(宮藤官九郎さん)が「おじいちゃん、落語家さん?」と話しかけました。そして浅草につくと、高座に上がって富久を演じます。
その2ヶ月前、美津子(小泉今日子さん)は五りんに、落語協会代表で聖火ランナーをやらないか?と持ちかけました。「来たら、詫びが叶うかも知れないよ~、しくじりが直るかも知れないよ~」と、富久に例えますが、五りんは「すみません」と断ります。その後、父からの絵葉書「志ん生の富久は絶品」を眺めながら、何かを決意しました。
10月10日、五りんは日の丸がついたランニングシャツを着て集合場所へ向かいました。そこには20名以上のランナーが集まっています。聖火リレーは正走者1名、副走者2名、随走者20名で1区間を走り、五りんは随走者としての参加だったのです。「聖火ランナーズじゃねえか!」と突っ込みながらも、トーチではなく五輪の旗を持って「スッスッ、ハッハッ」と笑顔で走りました。坂井へ聖火が渡されるところを見届けると、「水くれ!」と水明亭に飛び込みます。ラジオの声に慌てて外に出て木に登り、聖火が灯る瞬間を競技場の外から見届けました。「ジャジャ~ンと半鐘が鳴る。おーいトメさん、火事だ火事!」と、志ん生の演じる富久とオーバーラップ。聖火の炎と富久の火事をひっかけていますね。
五りんは「火事だ、火事だ~」と、荒い呼吸で「ダンナ!駆けつけて参りました。どっから、浅草安倍川町から!」と富久を演じながら走り続けます。すっかり暗くなったころ、志ん生のいる園芸小屋にたどり着きました。楽屋の外で志ん生を待ち「師匠、復帰おめでとうございます」と挨拶します。「どっからきたんだ」「浅草の安倍川…違った、国立競技場から」「忘れねえで来たんだな」「よし、出入りを許してやる」と、富久のように許しをもらいました。志ん生が「あのよ…志ん生の富久はどうだった?」と聞くと、「絶品でした!」と涙ぐんで答えます。
その後、美津子に「大変、浅草の病院から。知恵ちゃん生まれるって!」と言われ、「あ、予定日!」と、浅草まで走ります。生まれた子は女の子。富久をやっている間に生まれた智恵ちゃん(川栄李奈さん)の子なので、富恵と名付けられました。
ぐっちゃぐちゃの閉会式
四三はハリマヤ足袋店で長生きした辛作(三宅弘城さん)と一緒に、TVでマラソンを観戦しました。全宇宙システムが導入され、世界中で生放送の競技を見られるようになったのです。アベベがぶっちぎりの1位、日本の円谷は3位で銅メダルをもらいました。
10月23日、女子バレーボール決勝。大松監督(徳井義実さん)は控え室で「ええか?人道上評し難き女性の敵、鬼の大松は今日で卒業や。お前ら…勝って嫁に行け、いってまえ!」と激励し、「ハイ!」と威勢のいい返事と共に、試合に臨みます。日本は勝ち、金メダルを取りました。
五りんも高座に復帰し、「だいぶ駆け足でしたが、全競技終了しました」と『オリムピック噺』をします。そして10月24日の閉会式。北ローデシアが独立し、国名がザンビアに変わってしまいます。事務局は慌てますが、国旗担当・吹浦(須藤蓮さん)の活躍で新しい国旗を掲げて閉会式に参加することができました。
全競技を終えた開放感から選手は全く言うことを聞かず、肩を組む者、抱き合う者とぐっちゃぐちゃでスタジアムになだれ込みます。この国も人種も入り乱れたしっちゃかめっちゃかな行進は、世界から称賛されました。
東京オリムピック噺
政治が満足そうに閉会式を見届けて部屋に下がると、嘉納治五郎の柔道着が飾られた部屋で、また嘉納の声が聞こえます。「田畑、これが君が世界に見せたい日本かね?」と嘉納に聞かれると「はい、いかがですか?」と答えます。「面白い!実に面白い!田畑、私は改めて君に礼を言うよ、ありがとう」と言われ、涙ぐみました。
東京オリンピックから3年後、四三に1通の手紙がストックホルムから届きます、1912年のストックホルムオリムピックを祝う式典で、記録上行方不明の四三をゴールさせようというイベントが開かれるのです。55年ぶりのストックホルムに、スヤ(綾瀬はるかさん)と2人で降り立ちました。
そのころ政治は、日本水泳連盟の名誉会長として後進の育成に力を注いでいました。
76歳の四三がゴールテープを切ります。
タイムは54年と8かヶ月6日5時間32分20秒3。
当時の映像が流れ、志ん生が「いや~実に長い道のりでした。走っている間に妻を娶り、6人のこと10人の孫が生まれました。ありがとうございました!」と志ん生が下げて、これにてオリムピック噺、おしまいです!
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