第32回「独裁者」、東京招致にむけて委員会が作られ、委員には元国際連盟事務次長の杉村(加藤雅也さん)、元貴族院の副島(塚本晋也さん)に、水泳総監督として政治(阿部サダヲさん)が選ばれました。
政治は、見合い相手であり、新聞社で速記係もしていた酒井菊枝(麻生久美子さん)とめでたく結婚。
オリンピック招致はローマと東京の一騎打ちとなり、イタリアの首相ムッソリーニを説得に行こうとした矢先、嘉納(役所広司さん)が倒れます。
前回の第32回「独裁者」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第33回「仁義なき戦い」のあらすじと感想です。
イタリアへ
脊髄損傷で倒れた嘉納の代わりに、副島と政治がローマに行くことになります。政治は、オリンピックに関する特ダネを狙ってこいと、上司の緒方(リリー・フランキーさん)にイタリア同行を許されました。
1935年…昭和10年1月14日、副島と政治は雪の降るイタリアに到着。イタリア大使の杉村と合流しました。副島は「寒気が…いや、武者震いでしょうな」と、体調が悪いようです。いよいよムッソリーニ(ディノ・スピネラさん)と対面するとき、副島は倒れてしまいました。病院で風邪と疲労による肺炎と診断され、1ヶ月の入院が必要になります。
副島の病状は重く、太い注射を何本も打たれ、2週間後にやっと30分の外出許可が出ました。再び実現した対面では、ムッソリーニ自らが扉を開け「SAMURAI!Coming、SAMURAI!」と熱烈に迎え入れます。会見は15分で終了。交渉は成功し、副島とムッソリーニは固く握手を交わしました。ムッソリーニは「あなたは病を押して会いに来た。日本のサムライ精神が、私の心を動かしたのだ」と言います。
熊本では…
その知らせは新聞記事に載り、入院している嘉納も喜びます。そして「そろそろヤツを東京に呼び戻すときかも知れんぞ」と、ニヤリとしました。
熊本では、ヤツこと金栗四三(中村勘九郎さん)が弟子の小松勝(仲野太賀さん)と2人で走り込みをしていました。すると「ニューミカワ」と書かれた田舎に合わないハイカラな看板を見つけます。腐れ縁の友人・美川(勝地涼さん)がマスターをする喫茶店の看板でした。美川はちょび髭に丸メガネをかけてオールバックという独特の格好で、「浅草でブロマイド売ってて、関東大震災にあってさ。せやからヤクザの女と大阪に駆け落ちしましてん。じゃけん親分に見つかって、広島まで逃げたけえのう。遠くさ逃げッペって山形まで行ったっぺよう」と、方言を使ってこれまでの経緯を説明しました。
美川に夢を問われた小松は「オリンピックです!」と勢いよく答えます。1940年、コマツはちょうど21歳になるのです。マラソンで日本初のメダルを!と意気込む小松を遮り、美川は「大陸雄飛かな。満州だよ、これからは」と、自分の夢を語りだしました。
オスロ決戦
杉村はもう東京に決まったと楽勝ムードで、副島と政治をローマに残して単身オスロに乗り込みます。
IOC総会では、ラトゥール会長(ヤッペ・クラースさん)は「候補は、ローマ、ヘルシンキ、東京」と、辞退したはずのローマも読み上げ、「投票は3日後、3月3日」と伝えます。杉村は不安になりました。スピーチタイムが始まり、10年来私財を投げ売って招致に携わるイタリアのボナコッサ(フランチェスコ・ビショーネさん)が、自信満々に演説します。杉村の番となり、イタリアが辞退を申し出たことを説明すると、人々はざわめきました。ボナコッサは「その件は聞いている。だがスポーツに関しては、政府でも口出しさせない!」と、ムッソリーニの命令に背いていたのです。
杉村は政治にオスロに来るよう電報を打ちます。そしてボナコッサと一対一で話し合い、辞退するように説得しますが、ボナコッサは譲りません。イタリア語で話す2人に、五りん(神木隆之介さん)が杉村を、今松(荒川良々さん)がボナコッサで、『仁義なき戦い』風に吹き替えをする演出が面白かったです。
そして投票当日。ラトゥール会長は「政治的圧力を、IOCは認めるわけにはいかない」と、投票を延期したのです。杉村は慌て、東京にすべき理由を演説しますが、ラトゥール会長は「なぜカノーはこない?彼ならこんなことにはならなかった」と失望の色を見せます。他のIOC委員も口々に「カノー?」「ジゴロー…」と、ざわつきました。
ちょうど会議が解散したところに、政治が到着します。杉村は「総会に出席して思い知ったよ。日本への一票はカノージゴローへの一票だったんだよ」「おれは嘉納治五郎にはなれん」と嘆くと、政治は「なれないし、ならんでいいでしょう」と明るく返しました。杉村は「お前はなるよ」「嘉納さんは貴様を買ってる」と言って笑います。
ラトゥール会長おもてなし作戦
四三がスヤ(綾瀬はるかさん)に美川の話をすると、「美川に会いよっと?」「ゴキブリばい!」と怒りました。四三が喫茶店でそのセリフを伝えると「え?何その言われよう。美川が何をした?」と嫌な顔をします。「昔は可憐だったよね~」と言うと、四三は「美川くん、ウイスキーばもらおうかね」と暗い顔になります。そしてまだ飲んでないのに酔っ払ったようになり、招き猫のように番台にじっと座り続ける日々を愚痴って「よし決めた!おれは家出ばする!」と、東京の嘉納から手紙をもらったことを打ち明けました。
東京市庁舎の委員会では今後の作戦が話し合われ、嘉納が行くしかないという結論になります。そこに松葉杖をついた嘉納がきて「極論なんだけどね…」「東京に呼んだらどうだろう」「謝りついでに東京を視察してもらうんだよ」と、もうラトゥールに手紙を送ったのだと言いました。嘉納の直談判が功を奏し、ラトゥールは訪日の意向を示します。
政治は河野(桐谷健太さん)とマリー(薬師丸ひろ子さん)のバー『ローズ』にやってきました。河野はラトゥール訪日の裏にヒトラーの圧力があったのではないかと言うと、政治は「違う違う、オリンピックは運動会だよ、単なる」と怒ります。マリーは「田端さんがメダルをたくさん撮ったからじゃない?あれで一気に有名になって、日本人もやれる、東京にオリンピックを持ってこられるって思っちゃったのよ」と言い、河野も「いいじゃないか、東京オリンピックが決まれば、少なくとも軍の歯止めになる。あと4年は、戦争は起こらない」と政治家の目線で言いました。
その頃、孝蔵(森山未來さん)の暮らしもだいぶ良くなり、昭和11年2月26日にナメクジ長屋からの引っ越しが決まります。引っ越し当日は雪が降り、どこからか軍隊の行進する音が聞こえました。あの226事件の日でした。
次回は、第34回「226」。
「昭和維新断行!」という叫び声とともに、銃弾が打ち込まれました。
クーデターの兵士たちは、政治の新聞社にも押し寄せます。
そして招致の鍵を握るラトゥールへのおもてなしはどうなるのでしょうか?
ちらっと見えた白米に梅干しの日の丸弁当が気になります…。次回も楽しみです!
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