第26回、第2部スタート!東京帝大を卒業した水泳好きの田畑政治(阿部サダヲさん)は、朝日新聞社に入社。
体協の陸上優先体質を責め、独立して「水連」として活動開始します。
政治は子供の頃体が弱く、バーのママ(薬師丸ひろ子さん)に占いで「30で死ぬ」と言われ、死ぬ前に日本水泳を世界レベルにしようと前のめりです。
体協にアムステルダム渡航の予算が無いと言われ、大物政治家・高橋是清(萩原健一さん)に直談判。
見事予算をもぎ取って体協理事に札束を見せつける様を、孝蔵(森山未來さん)の『火焔太鼓』とオーバーラップさせたコミカルな演出でした。
前回の第25回「時代は変わる」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第26回「明日なき暴走」のあらすじと感想です。
オリンピック予算の確保
政治は高橋是清に、金が必要だと直談判。高橋是清は怖いもの知らずの政治を気に入った様子です。「それはお国のためになるのかね」と聞かれると、政治は「なりません。しかし若い者の励みになります。日本の若者が世界の舞台で飛んだり跳ねたり泳いだりして、西洋人を打ち負かす。その姿を見て、おれも、私も、彼らのように頑張ろうと立ち上がる。その若者の力を、国を豊かにするために、生かすも殺すも先生方次第…でしょうな」と、まくしたてました。それを聞いた高橋是清は、若者のために予算を確保したのです。
水連では自由形高石(斎藤工さん)、平泳ぎ鶴田(大東駿介さん)など代表11人が決定します。政治は監督としてアムステルダムに行く気でしたが、上司の緒方(リリー・フランキーさん)に「行けるわけないだろ」とあっさり却下されました。そこに実家から『アニキトク』という電報が届き、政治は急いで浜松に向かいます。
「1928年のオリンピックを語る上で欠かせない選手がおります。この人見絹枝(菅原小春さん)さん。今晩は日本人初の女性オリンピック選手・人見絹枝物語にお付き合い下さい」と志ん生(ビートたけしさん)のナレーションが入ります。今回はアムステルダムオリンピックがストーリーの中心です。
絹枝の躍進
絹枝は関東大震災の翌年に二階堂体操塾に入り、50m、槍投げ、三段跳びで日本新記録を打ち立てます。世の男性からバッタ、妖怪など心無いヤジを飛ばされて心を痛めますが、二階堂トクヨ(寺島しのぶさん)に励まされ国際大会へ出場。総合優勝という素晴らしい結果を残し、さらに国内大会で100m走の世界記録を出しました。
ついに女子陸上がオリンピックの正式種目になります。ところが陸連では、野口(永山絢斗さん)が女子の参加に意義を唱え、四三(中村勘九郎さん)も「オリンピックの何がきつかと言えば、国民の期待とそれば裏切ってはならんというプレッシャーばい。とても女子に耐えられるもんじゃなか」と反対。すると嘉納(役所広司さん)が「人見絹枝は負けん!必ず勝つ!」と、机をたたきました。「オリンピックを夢見てこの世を去った、シマくんの意志を継いどるんだよ!」と言われ、「そんじゃあ決まりじゃんね!人見絹枝決定!」と政治は声を張り上げました。
オリンピック出場が決まった絹枝に、トクヨが銀色のシンプルな髪留めを贈ります。「精一杯、あくまで女性らしく戦ってきなさい」と、激励しました。
アムステルダムオリンピック
そして昭和3年6月、日本選手団はシベリア鉄道でアムステルダムを目指します。絹枝はアネゴと呼ばれ、男子選手の洗濯や縫い物などの世話をしたそうです。現代からみればおかしなことで、志ん生も「ひでえ扱いですな」とツッコミをいれます。
7月28日、アムステルダムオリンピック開幕。時差は8時間、現地の記者が書いた記事は、モールス信号で新聞社に送られ、泊まり込みの記者が解読しました。政治は暗い夜中の暗号室社で「何だかな~これがおれのオリンピックか~」とぼやきます。
開会式が終わり、いよいよ陸上競技が始まります。しかしメダル確実と言われた絹枝は、100mで4位に終わりました。絹枝は放心状態で控室に座りこみます。絹枝は「私、このままじゃ帰れません。明日800m出てもよろしいでしょうか?」と、泣きながら監督の野口に頭を下げます。野口は「800なんか一度も走ったことないだろう」と止めますが、「男は負けても帰れるでしょう、でも女は帰れません」と言って「お願いします!やらせて下さい!」と何度も何度も頼み込みました。野口は「もういい、分かった。だが死なせるわけにはいかん。作戦を立てよう」と了承します。
絹枝の日記には『私の体にどうか明日、1回走る力を与えて下さいませ』と、書き込まれていました。絹枝はトクヨにもらった髪留めを付け、レースに臨みます。インコースからのクラウチングスタート、トップに躍り出ました。応援する野口、小田幹雄(松川尚瑠輝さん)と南部忠平(池田倫太郎さん)から「アネゴ下がれ!そんなにとばしちゃ持たねえよ!」と指示を受け、慌てて速度を落とし6位に。2周目に入ると足が重くなりますが、野口たちの「腕振れ!」という助言でスピードを上げます。そして最終コーナーで追い抜き、2位に躍り出ました。トップの背中を追って、走る、走る、走る…。絹枝は見事銀メダルに輝きました。2分17秒4の世界新記録です。
絹枝のメダルで皆に闘志に火が継いたのか、織田幹雄が三段跳びで日本初の金メダルを獲得! 6日後、鶴田が平泳ぎで金、さらに男子4人の800mリレーで銀、そして高石が自由形で銅と、メダルラッシュに湧きました。
絹枝の残したもの
緒方は興奮する政治をバー・ローズに誘います。日本選手団が計5個のメダルを獲得したにも関わらず、政治は「気に入りませんな~あ~気に入らない」と、アメリカが強い水泳界の現状を嘆きます。緒方が「なぜそう結果を急ぐんだ」「結婚して家庭でも持てば、少し落ち着くんじゃないか」と言うと、政治は「嫁はいらん」と答えました。「兄が死にました。肺病です。33でした」とつぶやきます。「どうせ30までしか生きられねえんだ、せめて若者のためにやれることはやろう。それを邪魔する年寄りは、政治家だろうが軍人だろうが、噛み付いてきますよ、おれは!」と決意を語りました。
3週間後、日本人選手団が帰国。絹枝はラジオに出演し、「皆さん、勇気を出して走りましょう、跳びましょう。泳ぎましょう。日本の女性が世界に飛び出す時代がやってきたのです」と、女性に呼びかけます。街頭ラジオでその声を聞いた増野(柄本佑さん)は感激して「人見絹枝、ばんざーい!」と大きな声で喜びました。
絹枝は誰よりも先にトクヨにメダルを見せます。トクヨに「あなた、ご幸福ですか?」と聞かれ、自信を持って「はい」と答えた絹枝。「では次は結婚ね」と促されますが「もうしばらく走ります。私の走る姿を見て、勇気づけられる人がいる限り、人見絹枝は世界中を駆け巡ります」と、誇らしげに言いました。
しかし…3年後、絹枝は24歳の若さでこの世を去りました。
次回の第27回は「替り目」です。
四三の兄・実次(中村獅童さん)が亡くなり、四三は熊本に帰ることになります。
「さようなら」と、東京を去る四三。時代が変わっていきます。
政治が「次のロスではメダルをじゃんじゃん取ってやろうじゃんね!でも元祖オリンピックは三千世界ひろしと言えど、金栗四三ただ1人!」と、四三について語りました。
日本のスポーツ界がどのように変わっていくのか、次回も楽しみです。
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