第22回、孝蔵(森山未來さん)はなんとか真打ちに昇進。おりん(夏帆さん)という嫁をもらいますが、相変わらず飲んで打って買って好きに暮らしていました。
四三(中村勘九郎さん)が指導する竹早女学校は、スポーツ女子の代名詞というほど有名になります。
村田富江(黒島結菜さん)と梶原(北香那さん)はスポーツ界のアイドルになり、全国のテニス大会に招待されました。
岡山で、体格がよく運動神経抜群の人見絹枝(菅原小春さん)に出会います。初の女子オリンピック選手となる逸材です。
しかし竹早の父兄から、四三を免職させようという運動が起こりました。
前回の第22回「ヴィーナス誕生」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第23回「大地」のあらすじと感想です。
四三の免職を賭けて
四三を免職させようとする父兄に対し、生徒はボイコットを起こします。机でバリケードを作り、窓に張り紙をして、教室に立てこもりました。「パパを辞めさせるなー!」と騒ぐ女生徒たち。教室前の廊下に来た四三は「村田ー!梶原ー!腹ば減っとらんかい!」「今出てきたら、先生が豚鍋ばおごるばい!」と、食べ物で釣る作戦に出ました。女生徒たちが目を輝かせますが、そこに「富江ー!富江ー!親に恥をかかせる気か!」と、村田富江の父親・村田大作(板尾創路さん)がやってきます。すると、校舎の窓を叩く音が。播磨屋の奥さん(佐藤真弓さん)が「うちもさ、辞められちゃ困んのよ、金栗さんに」と、おにぎりと武器になるモップやバットを差し入れます。
「おなごは運動などせんでいい」という村田大作に、シマ(杉咲花さん)は「女の体は男が思ってるほどやわじゃありません!」と反論。「どんなに鍛えても女は男に敵わん」と言われ、父と娘で徒競走の勝負をするよう提案します。富江が廊下の窓から顔を覗かせ「私が勝ったら、金栗先生をクビにしないでくれますか?」と言うと、大作は「おう」と、了承しました。
女生徒たちが教室から出てきて、日が沈んで暗い中、100m走の勝負が始まります。四三の合図でスタートしますが、鍛えた富江の足は速く、4本連続で富江の勝利。悔しがる父親を、娘が連れて帰りました。四三はクビを免れ、生徒たちは「ばんざーい!」と喜びます。
関東大震災
その頃孝蔵は、家賃を溜め込んで一度目の夜逃げをしました。おりんは、毎日酒を飲んで家には一銭も入れない夫に「あー騙された。芸人の女房なんてこりごりだ」と、小梅(橋本愛さん)に愚痴ります。孝蔵をかばいきれない小梅は、『厩火事』という落語のように「亭主の前でわざと転んで大事にしてる瀬戸物割って、女房の心配するか、瀬戸物の心配するか、試してみな」と言いました。
夏休みが終わった始業式の日、シマと女生徒たちは午後から浅草十二階にオペラを見に行く約束をしました。娘のりくを播磨屋に預け、「夕方には戻りますから」と、でかけていきます。
四三と嘉納(役所広司さん)は、建設中の神宮スタジアムの見学にやってきました。嘉納は「ほら金栗くん、とつけむにゃあだろう!」と言うと、四三は言葉も忘れてそのスケールに感動します。嘉納は「メインスタジアムに1万5000人、この芝生席に4万人、計5万5000人収容できる」と胸を張りました。
大正12年9月1日、その日は雨が降ったりやんだりと蒸し暑い日でした。給料日前の孝蔵は家で暇を持て余し、シマは待ち合わせの浅草十二階に到着。四三と嘉納がスタジアムの真ん中で夢を語り合うその時、地面が大きく揺れました。関東大震災です。「午前11時58分、どこの家も昼飯の支度をしている頃合いでした。裸電球がこう、天井に向かってガチャンガチャン。こりゃ大変だ!」と、志ん生(ビートたけしさん)のナレーションが震災の凄さを伝えます。
厩火事
孝蔵の家ではメザシを焼いていた七輪が倒れ、おりんが火を消そうとします。揺れが襲っておりんが倒れそうになった時、孝蔵が「危ねえ!」とかばいました。ところが孝蔵は倒れた酒瓶を見て、「東京中の酒が、地面に吸われちまうぞ」と、財布を持って近くの酒屋に飛び込みます。酒屋の主人に「銭なんかようござんす、好きなだけ飲んでくだせえ」と言われ、樽から直接酒を飲み、ヘベレケに酔っ払って一升瓶を2、3本抱え、フラフラと家に戻りました。
家ではおりんが目を吊り上げて「酒と女房、どっちが大事なんだい!」と怒鳴ると、孝蔵が酔っ払いながら「そりゃ、女房に決まってんじゃないか」と言います。『厩火事』ですね。「そりゃ本心かい?」とおりんが聞くと「女房に怪我でもされてみろ、明日から遊び呆けてお酒が飲めない」という理由…。おりんは怒って「あたしゃ身重なんだよ!」と叫ぶと、孝蔵は手に持った酒瓶を落とすほど驚きました。
スタジアムで地震に遭遇した四三は、慌てて播磨屋に戻ります。播磨屋夫妻、息子のかっちゃん(阿久津慶人さん)、預かっていたりくは無事でした。日が落ちると、遠くの空が赤く染まっています。大変なのはここから、浅草から日本橋、芝までが大火事で焼けていたのです。夜中に増野が播磨屋にたどり着き、無事にりくと再会しますが、シマは帰ってきません。
関東大震災では、地震そのものより火災の被害が甚大でした。四三はシマを探して走ります。浅草まで来ると、村田親子に会いました。開業医の大作は、倒壊した病院から物資を運び出して怪我人の手当をしています。富江からシマと十二階で待ち合わせしていたと聞き、四三がその方角を見ると、通称・浅草十二階、凌雲閣は、8階のところでポキリと折れ、その下は焼けていました。四三は呆然とします。「浅草の町が、たった2日で消えた」…ナレーションの志ん生がつぶやきました。
シマと五りんの関係
次の日、増野はりくをおぶってシマを探します。人々は皆、煤で真っ黒になり、辛い顔でうつむきながら歩いていました。四三も一緒に探しますが、増野は泣き崩れます。地震のあった日の朝、ご飯が固いと文句を言ったことを後悔しているのです。四三は「ぬしがそぎゃんこついいよるけん、りくちゃんだって泣いとるばい!」と、励ましました。
そこに車を引いた清さん(峯田和伸さん)がきて「あ~よかった!」四三と抱き合って喜びます。座り込む増野を見て「悪いな、喜びは喜びで、思いっきり声に出さねえと。明るいニュースが少ねえからよ」と謝り、一緒にシマを探しました。
昭和36年、地震話を披露した志ん生が帰宅。地震の話は40年経っても力が入って笑いの方に引っ張れないと、クビをひねりました。1万人もの人が行方不明になった大地震。五りん(神木隆之介さん)は祖母が被災したと言い、懐から写真を出します。それはシマの結婚式の記念写真でした。なんと五りんは、シマの孫だったのです。
被災したシマは助かったのか、どうなのか…謎を残したまま、次回「種蒔く人」に続きます。
次回の第24回は、「種蒔く人」。
建設中の神宮スタジアムは、避難場所として被災した人々を受け入れ、村田富江たち女学生が怪我人の救護を手伝います。
孝蔵は落語で人々癒やし、四三は、スポーツで人々元気づけるため、東京中を駆け抜けました。
シマがどうなったのか、とても気になる状態で…次回も楽しみです。
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