第14回、帰国した四三(中村勘九郎さん)は、次のオリンピックに向けて特訓を開始します。
その4ヶ月後に弥彦(生田斗真さん)が帰国。天狗倶楽部は解散となり、弥彦はアメリカ行きを決意しました。
そして嘉納(役所広司さん)が帰国しますが、大日本体育協会は借金問題で体制が変わり、永井(杉本哲太さん)が幅を利かせていました。
一方孝蔵(森山未來さん)は、円喬(松尾スズキさん)の元を離れて、全国ドサ回りの旅に出ることになります。
そして、兄・実次(中村獅童さん)に呼ばれて実家に帰った四三に、見合い話が持ち込まれました。
前回の第14回「新世界」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第15回「あゝ結婚」のあらすじと感想です。
突然の見合い
里に帰るといきなりの見合い話、その相手はほのかな恋心を抱いていたスヤ(綾瀬はるかさん)でした。
スヤの夫・重行(高橋洋さん)は、去年の夏に病死。そこで兄・実次は、四三が近々熊本に帰ってくるので、養子にしてぜひ跡継ぎにと、池辺家の女主人・幾江(大竹しのぶさん)に申し出たのです。理由は、四三が7人兄弟の6番目だということに加え、四三が池辺家を継げば、池辺家に売った田畑が四三のものになるという、合理的なものでした。
しかし四三は、チラチラとスヤを見ながらも断ります。スヤは傷つき「お義母さん、せっかくですがこんお話、やっぱり水に流してください」と言って、部屋を出ていきました。
養子にしてから嫁ではないかと困る四三に、幾江は「順番はこれでよか!」と言います。重行が死んでスヤは実家に戻り、孤独に耐えかねた幾江は死のうとさえ考えました。スヤに会いに行くと、スヤは庭で一心に鍋を洗っています。生きようとする姿を見て、幾江は「この人が、オルはこの人が好きだけん。この人と暮らしたか」と思ったのです。養子とスヤとの結婚は、幾江にとって切り離せないものでした。
金栗家に戻ると、すでに結婚は決まったとばかりに、祖母や甥っ子たちが喜びます。しかし四三は結婚しないと宣言。すると実次は「学校部屋に来い!」と、4畳半のお仕置き部屋に押し込んでしまいました。四三は、次のオリンピックで勝つには東京で練習しなくてはいけない、結婚はできないと一生懸命に説明。逆に実次は、池辺家の財産があれば金の心配なく走れると言います。それでも渋る四三に「四三!お前は!スヤさんのこつが好かんとか!?」と直球の質問を投げかけました。四三は目を見開き、答えに詰まります。
祝言
夜明け前、四三は冷水を浴びながらスヤのことを考えました。海軍兵学校に落ちた時に励ましてくれたスヤを思い出し「スヤさんのおかげでオルは誰よりも丈夫ばい!」と叫んで、昇った朝日を見つめます。次の日祝言が開かれ、四三は池辺家の養子となり、スヤという嫁をもらいました。
祝言の夜、四三はスヤと2人で寝室に入ります。2つ並んだ布団とスヤを見て、思わず逃げ出しますが、我に返って部屋に戻った四三。それぞれの布団に入り、天井を眺めました。2人は黙り込み、眠れぬままに朝を迎えます。
語り部の志ん生(ビートたけしさん)は、「何やってんだい、本当に。堅物の新婚初夜ほどじれったいものはねえですな」と、ツッコミを入れました。
四三は突然起き上がり、日本スポーツの向上のため雪辱を果たしたい、「そんために脇目も振らんで、何はさておきオリンピックたい!」と言うと、スヤは「だったら私も、何はさておきお義母さんです」と言い、2人はそれぞれの布団で眠りにつきます。
翌日、四三は東京へと帰りました。
浜松にて
孝蔵は浜松の勝鬨亭という演芸小屋で『付き馬』を演じていました。客席には居眠りや世間話をする人がいて、真面目に聞く客はいません。楽屋に戻ると、貧乏な博打好きの芸人たちが花札をしています。
勝鬨亭にはちいちゃん(片山萌美さん)という面倒見が良い美人が働いていて、孝蔵のお気に入りでした。夜になって楽屋で酒を飲んでいると、昼間客席にいた丸メガネの少年(山時聡真くん)がやってきました。近所の酒屋・八百庄の次男坊、まーちゃんです。彼は孝蔵の『付き馬』を、長い話を覚えたのは偉いが「面白かねえら」と、静岡弁でけなします。実はこのまーちゃん、後の田畑政治なのです。
孝蔵が「何だこの野郎!」と怒ると、新しい師匠の小円朝八十田勇一さん)が「お前の付き馬で客は湧いたかい?真面目に稽古した大ネタより、笑える前座噺だよ」と、孝蔵を煽りました。カチンときた孝蔵は「だったらお前の人情噺はどうなんだよ、このハゲ!」と取っ組み合いになり、「知ってんだよ、えっ、ちいちゃんに夜這いかけようとしてしくじったことはな!」「小円朝の小は、小物の小だ!」と罵詈雑言を浴びせます。小円朝は怒り心頭、「出てけ~!」と、クビにしてしまいました。
演芸小屋を追い出された孝蔵と兄弟子の万朝(柄本時生さん)は、行く当ても無く砂浜に座り込みます。すると褌姿で水泳帽をかぶった若者が、海からぞくぞくと上がってきました。
語り部が志ん生から五りん(神木隆之介さん)にバトンタッチ。ぎこちない語り口で、河童軍団について説明します。浜松の旧制中学の生徒たちは、自らを河童と呼ぶほど水に親しんでいました。当時の水泳は速さを競うものではなく、武士の修練を受け継いだもの。合宿では16kmの遠泳を行います。この河童軍団から、金栗、三島に続くオリンピック選手が誕生することになるのです。
マラソンのプロフェッショナル
春が過ぎて夏になりました。四三は日射病対策として、炎天下の砂浜で帽子もかぶらず走り続けるという練習を開始。砂浜を這うように特訓すること1ヶ月、ついに40kmを倒れず走り抜くことに成功します。
やがて冬になり、高師を卒業する時がきました。四三は池辺家に、熊本には帰らないという手紙を出します。幾江は怒り、金栗家に怒鳴り込んできました。
四三が教師にならないと知り、永井は官費で教育を受けたくせにと怒りますが、嘉納は「職にも就かずマラソンばかりやっているようなやつのことをなんと言うか知ってるかね?プロフェッショナルだよ!」と賛同し、四三の衣食住の面倒を見ると約束しました。
やがて幾江はスヤの説得により、四三の決断を承諾。離れて暮らす四三とスヤは、手紙のやりとりで思いを育んでいました。四三に冷水浴を勧められたスヤは「何事も経験ばい!」と冷水をかぶり、「ヒャー!気持ちよかー!」と笑顔で悲鳴を上げます。
次回の第16回は、「ベルリンの壁」。
プロフェッショナルとして次のオリンピックに向けて練習を重ねる四三。
しかしヨーロッパは第一次世界大戦が拡大して、二階堂トクヨ(寺島しのぶさん)は「オリンピックなどが開催できる状況ではない!」と言います。
しかし嘉納は「若者の夢を奪う権利は、誰にも無いんだよ!」と訴えました。
一方、熊本で暮らすスヤが、1人東京にやってきて…。
ベルリンオリンピックはどうなるのでしょうか、次回も楽しみです。
[br num=”1″]