第13回は、ストックホルム編最後の話でした。
敗北した四三(中村勘九郎さん)は、コースを歩いてレース中の記憶をたどります。
日射病で倒れ、民家の庭で寝ているところを発見され、ホテルに戻ったことを思い出しました。
四三はマラソンの技を磨き、再びオリンピックを目指すと誓います。
一方、東京の孝蔵(森山未來さん)は初高座に挑みますが、酔っ払って失敗。
しかし円喬師匠(松尾スズキさん)は孝蔵の才能を信じ、クビにはしませんでした。
前回の第13回「復活」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第14回「新世界」のあらすじと感想です。
四三の帰国
五りん(神木隆之介さん)が舞台の上で「あれ?」と言いながら座布団をひっくり返していると、志ん生(ビートたけしさん)が出てきて扇子でパチンと頭を叩きました。そして「えー、我らが主人公、いだてんこと金栗四三と痛快男子・三島弥彦(生田斗真さん)。日本人が始めて出場したストックホルムオリンピック、庶民は一体どうやってオリンピックを体験したんでしょうか?」と、オリムピック噺が始まります。
1912年の、ラジオもテレビも無い時代。庶民はニュース映画というものでオリンピックに触れました。オリンピックから2週間後、映画館には白黒の映像が映し出され、弁士が小気味よく解説を入れます。東京市民は大興奮でした。
大正元年9月、4ヶ月ぶりに四三が帰国します。四三はお土産として、日本では知られていない、やり投げや砲丸投げの道具を持ち帰りました。寄宿舎に帰ると、すぐに皆が集まって報告会が始まります。四三は壇上でお詫びをしますが、四三の努力を知る生徒たちは温かい拍手を送りました。しかし、壁際にいた丸眼鏡で髪をきっちりとまとめた女性(寺島しのぶさん)が「敗因は何だと思われますか!?」と、四三に迫ります。四三は、敗因は1つではないがどれも言い訳に過ぎず、胸の奥にしまっているのだと言いました。丸眼鏡の女性は二階堂トクヨ。永井教授(杉本哲太さん)の教え子で東京女子師範学校の助教授です。
ストックホルムの悔しさを晴らすため、粉骨砕身してマラソンの技を磨くと宣言した四三は、『今度こそ勝つために』と題したノートに作戦を書きこみます。ヨーロッパに多い舗装路への対策。そして西洋人に負けないスタートダッシュを身につけるために、電信柱練習法という電柱4~5本分をダッシュする練習を開始しました。
留守の間
嘉納が留守の間、何があったかというと。永井は小学校に肋木を作って、スウェーデン体操を広めます。しかし強引なやり方で、行く先々で問題になっていました。今でも学校の体育館になぜか肋木があるのは、その影響なのでしょうか…。そして永井のまとめた学校体操教授要目は、気をつけや屈伸などの体操に多くのページを使い、バスケットやサッカー、マラソンなどは遊戯だと決めつける偏ったものでした。
さらに隠れていた嘉納の借金が発覚して、大勢の借金取りが学校に押し寄せたのです。可児(古舘寛治さん)は追い込まれ、窓から飛び降りて左足を骨折してしまいました。
可児は借金問題だけでなく、スポーツ普及の仕事もしていました。円形デッドボールという球技をイギリスから導入。この球技はのちにドッチボールとなり、全国の児童に親しまれることとなります。
ドサ回りの旅
円喬は唐突に、孝蔵に「旅にでも出てみないかい?」と言います。席亭…寄席の支配人が、小円朝(八十田勇一さん)という落語家がドサ回りに連れて行く若い者を探しているのだと説明してくれました。円喬に「行ってくれるね」と言われて断れず、23歳の孝蔵は全国ドサ回りの旅に出ることになったのです。
孝蔵は清さん(峯田和伸さん)にもらった着物を着て髪をまとめ、いつになくさっぱりとした格好で新橋駅に向かいました。円喬は人力車に乗りそこね、走って新橋駅に見送りに向かいます。円喬は、小円朝に「フラがあんだかんよ、フラが。こいつは大化けすんだからよ。立派に育てねえと、承知しないよ」と頼み込みました。敷島という高級タバコを3箱も餞別に渡され、孝蔵は泣き出します。立ち去る円喬の足はフラフラで、孝蔵は「俺がフラならアンタはフラフラじゃねえか…」と泣きながら呟きました。
それぞれのオリンピック後
ヨーロッパ視察と語学の勉強を終え、半年ぶりに弥彦が帰国。駅では天狗倶楽部や女性ファン、記者たちが出迎えました。洒落た酒場で天狗倶楽部が宴会をしますが、メンバーは「俺たちは天狗ではなく、人間に戻るんだ」と、静かにビールを飲みます。時代は大正に変わり、メンバーも30歳台になり、天狗倶楽部は解散することになったのです。
野球を害毒だと決めつける政府に、弥彦は「なんという偏見!」と怒ります。アメリカが強い理由を見極めるため、兄に頼んで横浜正金銀行のサンフランシスコ支店に行くと宣言。弥彦の勢いに、メンバーも上半身裸になって「テ・ン・グ~!」と盛り上がります。スポーツを通じて雑誌や新聞を賑わせた天狗倶楽部の、幕が閉じました。
そして3月。嘉納と安仁子(シャーロット・ケイト・フォックスさん)が帰国します。大森(竹野内豊さん)はカリフォルニアで病死、安仁子は大森の意志を継ぐために、日本に戻ってきました。
嘉納が高師の校長室に入ると、様子が変わっていました。肋木が設置され、嘉納の写真や荷物が乱雑に端に寄せられています。嘉納が作った借金を弁護士の岸(岩松了さん)が整理し、日本体育協会は新体制に変わっていました。困惑する嘉納に、永井は「時代は変わったんですよ、嘉納さん」と言い放ちます。
四三と弥彦は、浅草十二階に上って景色を眺めながら、オリンピックの思い出や今後の進路について語りました。四三がオリンピックが幻だったように感じるのだと言うと、弥彦は「確かめに行くかね」と、オリンピック活動写真に誘います。2人は映画館で、ちらりと映る自分たちの姿を指差して興奮します。2人の心に、ストックホルムでの戦いの日々が蘇りました。
四三は兄・実次(中村獅童さん)に熊本へ呼び戻されます。実家に到着すると、四三は「こん度は俺の力不足で…」と、実次に頭を下げました。しかし実次はそれを遮って「悪いようにはせん」「何も言うな」「俺に任せろ」とだけ繰り返して、四三をある屋敷に連れてきました。そして「今から見合いばしてもらう」と言うと、襖が開いて春野スヤ(綾瀬はるかさん)が現れます。四三は「ばばばば~!」と驚き、「なーし、スヤさんが…?」目を丸くしました。
次回の第15回は、「あゝ結婚」。
夫を病気で亡くしたスヤは、池部幾江(大竹しのぶさん)の勧めで四三と見合いをすることになったのです。
四三は「マラソン一本でいこうと思ってる」と宣言。
そして孝蔵は浜松で、カッパ軍団と称して水練をする若者たちと出会います。
プロのスポーツ選手という概念が浸透していない明治の日本で、四三はどのような進路を選ぶのでしょうか。次回も楽しみです。
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