第9回「さらばシベリア鉄道」で、出国許可が下りない嘉納(役所広司さん)を日本に残したまま、ストックホルムに向けて出発。
船で日本海を渡り、長いシベリア鉄道の旅が始まりました。
四三(中村勘九郎さん)は欧米人の様子に面食らい、日本人は日本人らしくあるべきだと考えます。
トレーニング以外やることがない四三と弥彦(生田斗真さん)は、ケンカしつつも打ち解け、オリンピックでの活躍を誓いました。
一行は、いよいよストックホルムへ到着します。
前回の第9回「さらばシベリア鉄道」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第10回「真夏の夜の夢」のあらすじと感想です。
孤独な練習
スウェーデンは夜10時でも太陽は沈みません。到着から一夜明けて、四三はガイドの地元青年・ダニエル(エドヴィン・エンドレさん)と一緒にマラソンコースを下見します。四三はいつものように白いシャツと短パン、黒い足袋。美しいストックホルムの町を通って、森を抜けて教会を折り返すコースです。
弥彦と四三は取材を受けました。「なぜ日本はロシアに勝てたのか?」という質問に、弥彦が「大和魂だろうね」と英語で答えます。アジアの小さな島国が、北の大国ロシアに勝利したことは、世界の注目を浴びる出来事でした。
四三は学校に宛ててハガキを出します。当時北欧から日本への郵便は2週間かかりました。そのハガキが届いた頃、やっと嘉納に出国許可が下りたのです。
6月4日、本格的に練習を始めます。監督も仲間もいない2人は、それぞれ孤独と戦いながらの練習です。ホテルに戻ると、弥彦と安仁子(シャーロット・ケイト・フォックスさん)が「フォーティスリー!」と呼ぶ声が。四三→43なのでしょう。四三はマラソンと10000mに、弥彦は100、200、400mに出場することになりました。
次の日、大森(竹野内豊さん)の体調が悪く、弥彦に指導メモが渡されました。マラソンは専門外で、四三への指導はありません。次の日も次の日も、大森の体調は回復せず、2人は孤独な練習を続けます。
カーペンターシューズ
控え室でポルトガルのマラソン選手・ラザロ(エドワード・ブレダさん)が四三に話しかけてきました。四三は足袋を脱いで「ディス イズ 足袋」と、身振りで大工が履くものだと説明。大工と聞くと、ラザロは自分も大工で、貧しくて電車に乗れず毎日走っていたところ、スカウトされたと言います。四三が「あ、オレも!おんなじたい!」と意気投合。足袋をプレゼントされ、ラザロは「カーペンターシューズ!」と喜びました。他の選手にカーペンターシューズが欲しいとせがまれた四三は、「大至急 足袋 送れ」と、播磨屋に電報を送ります。
電報を受け取った店主(ピエール瀧さん)は「夜なべして縫わなきゃ、オリンピック終わっちまうわ」と悪態をつき、清さん(峯田和伸さん)が「とかいってうれしそうじゃねえか」と、からかいました。清さんは友人が噺家に弟子入りしたので、着物を作って欲しいと金を出します。
その友人こと美濃部孝蔵(森山未來さん)は、圓喬(松尾スズキさん)の弟子として一緒に寄席を回ります。控え室で前の演者の「垂乳根」という落語を聞いていると、圓喬が嫌なタイミングで「ははははは」と笑いました。
昭和35年、弟子の五りん(神木隆之介さん)と銭湯に来た志ん生(ビートたけしさん)。「半端な芸やってっと、兄弟子だろうが師匠だろうが、わざと変な間で笑ったり咳こんだりして邪魔すんだい。で、その後に当てつけみてえに同じ噺やって、場ぁさらっちまうんだ。それがまた絶品だから誰も文句は言えねえ」と、湯に浸かりながら師匠について語りました。五りんが冷水浴をして「ひえっ」と声を出します。
異国でのプレッシャー
場面は明治のストックホルムに。四三は冷水浴のやりすぎで、部屋の水道を止められてしまいました。
練習開始12日目。大森と安仁子も、弥彦も部屋から出てきません。弥彦の部屋をノックしても返事が無いので扉を開けると、酒瓶を抱えた弥彦が生気のない顔で座っていました。「もう耐えがたい。練習などしちゃおれんよ。雲をつくような西洋人に混じって、木の葉のように揉まれて走る屈辱…」と、精神的に追い込まれた弥彦。
どうにかせねばと、四三は大森に助けを求めます。無理やり部屋に入ると、大森は咳き込み、やつれて弱りきった状態。四三は『この度の大会が、日本人にとって最初で最後のオリンピックになるでしょう。黎明の鐘は鳴りません』と、絶望します。
嫌な予感がして四三が扉を開けると、弥彦がふんどしにガウン姿で窓から飛び降りる寸前でした。「三島さーん!」と窓から引きずり下ろし、ベッドに押さえつけて「ワシらの一歩は日本人の一歩ばい。早かろうが遅かろうが、我らの一歩には意味のあるんたい!」と、説得。弥彦は正気に戻って「すまん」と謝り、2人は抱き合いました。
嘉納治五郎、到着
翌日から大森の指示で、四三が弥彦の練習に付き合います。大森のメモ通りに腿上げトレーニングをしていると、外国人選手に「Japanese monkey dance? Boy.(日本のダンスかい?)」とからかわれますが、弥彦は「Could be.(そうかもね)」と返し、痛快男子ぶりが戻ってきます。安仁子はスタートの写真撮影に協力、大森も回復してきました。アメリカ選手を参考にスタート姿勢を改善すると、タイムが縮んで調子も上がってきます。
四三の練習に、ダニエルが自転車で伴走します。四三は森の中で道を間違えました。これで2度目。四三は「こっちね、イッツ オッケーばい」と呑気ですが、見ている方は本番でも間違えるのでは?と嫌な予感がします…。
6月23日、とうとう夜が完全になくなりました。夏至祭で、スウェーデン市民は一晩中踊り明かします。うるさくて眠れない四三と弥彦が、文句を言いに広場に下りました。「すいまっせん!」と声をかけますが無視され、ごきげんな婦人に歌をリクエストされます。四三は少し外れた音程で君が代を歌い始め、弥彦も一緒に歌いました。西洋とまったく違うリズムの歌に周囲は戸惑いますが、歌い終わると拍手と歓声が起こりました。そこに嘉納治五郎が、やっと到着したのです。
ホテルに入り、嘉納は播磨屋から預かった足袋を四三に渡します。内田公使(井上肇さん)が、オリンピックについて細々なことを嘉納に相談。プラカードの話になると「英語で、JAPANと」という大森に対して、四三は「日本でお願いします」「そうでなければ、おるは出ません!」と強いこだわりを見せました。
ダニエルやラザロの役は、スウェーデンでオーディションを行ったそうです。スウェーデンロケの美しい風景も見どころでした。
次回いよいよオリンピック開催、第11回の「百年の孤独」。
743番のゼッケンをつけた弥彦がトラックを走ります。
日本の三島邸に電報が届き、弥彦の母・和歌子は「心配せんでよか」とシマに言いました。
一体、弥彦の身に何が起こるのでしょうか?
一方、孝蔵も本格的に落語に取り組みます。
第11回の「百年の孤独」という悲しいタイトルが気になりますが、次回も楽しみです!
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