第3回の「冒険世界」では、四三(中村勘九郎さん)は東京高等師範学校略して高師に見事合格、東京生活が始まりました。
夏休みに熊本に帰ると、兄(中村獅童さん)から叱咤激励され、春野スヤ(綾瀬はるかさん)と東京の話で盛り上がります。
東京に戻る時、スヤが見送りに来てくれました。そしてマラソンと出会います。
移動手段以外で、ただ走るというスポーツがあると知り、四三の胸は高鳴りました。
前回の第3回「冒険世界」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第4回「小便小僧」のあらすじと感想です。
全校長距離走
第1回に嘉納治五郎(役所広司さん)が日本体育協会を立ち上げたシーンを覚えているでしょうか?それと同時刻、校庭では24kmの長距離走が始まろうとしていました。我らが四三も出場。しかし直前に小便をしたせいで、スタートに出遅れてしまいます。
大塚の高台にある校舎から、生徒たちが勢いよく駆け下ります。皆、足元はワラジ。統一の体育着は無く、長袖シャツに股引や、学ランの上や下、袴など、思い思いの格好でした。四三はスッスッハッハッとごぼう抜き、清々しい笑顔で走ります。そしてダントツ最下位のスタートから、全校中3位でゴールしました。
嘉納から3位のメダルを授与された四三。嘉納は「きみは、よかった」とニッコリ笑いました。師範学校は教職者を育てる学校で、本科は中学校卒業者が、予科は国民学校高等科卒業者が入る課程。予科の者が3位に入るのは、開校以来初の快挙でした。
四三は3位になったこと、憧れの嘉納先生に声をかけられたことを家族に知らせます。しかし兄と母(宮崎美子さん)からの返信は「学生の本分を忘れ、かけっこに現を抜かすとは」「6里の道を走るとは、なんと無謀なことを」と否定の言葉でした。四三はがっかりして、2度と手紙はかかないと誓います。
足袋との出会い
- 排便をしておくこと。
- わらじは好かん。
- スタミナ必要。
の3点を反省。「俺は今、走ることに熱中しとる。自分がどれぐらい走れるか、知りたか~!」と言いますが、美川(勝地涼さん)は「金栗くんはまっすぐだねえ。迷いがなくて羨ましいよ」と返します。美川は夏目漱石に憧れて高師(こうし、東京高等師範学校の略)に入ったものの、教師という人種がつくづく嫌いだと迷える子羊を気取っていました。
食堂で柔道日本一の徳三宝(阿見201さん)が肋木から落ちたのを見て、美川が「あっはっは」と甲高い声で笑いました。永井教官(杉本哲太さん)が「誰だ、今笑ったのは!」と注意し、怒った徳三宝が美川を殴りとばします。この一件で、美川は劣等生の烙印を押されました。
四三は徒歩部…今で言う陸上部に入り、本格的にマラソンに取り組みます。放課後は、部員の野口源五郎(永山絢斗さん)、橋本三郎(高橋周平さん)らと豚鍋を食べてスタミナをつけました。排便とスタミナを克服した四三にとって、残った問題は『わらじ』です。そんなとき、足袋の播磨屋の看板が目に止まりました。
四三は播磨屋の暖簾をくぐり、「足袋ば下さい」と店主・黒坂幸作(ピエール瀧さん)に声をかけます。店主は「タビバ?…ああ、足袋か」と答え、「ひでえ訛りだな。学生さん?生まれどこ?」とつっけんどんに聞きました。子供に足の大きさを測らせて『10文の並』の足袋を渡します。四三は足袋の履き心地に感動し、播磨屋の仕事場を行ったり来たりしながら「ああ…あああ、良かです!」と声を漏らしました。これが四三と播磨屋の、長い付き合いの始まりとなります。
オリンピック予選会
そして明治44年10月6日、オリンピック予選である大運動会の開催が発表されました。マラソンは25マイル、40km、つまり10里。それは四三にとって未知の領域でした。四三は「今までの練習法じゃダメばい」と、練習に精を出します。車夫の清さん(峯田和伸さん)も「いくぞストックホルム!」と張り切っていました。
四三は、明治から大正にかけて長距離走者に支持された『脂抜き走法』という練習法を見つけます。お茶も飲まず、味噌汁も具だけ。赤ゲットを被って走り、ひたすら汗をかきました。
また昭和35年。五りん(神木隆之介さん)とその彼女の知恵(川栄李奈さん)、志ん生(ビートたけしさん)の3人で、天丼を食べていました。これから高座だというのに酒を飲む志ん生は、稽古だと言って『芝浜』を話し始めます。
明治に戻って、三島家。三島弥彦(生田斗真さん)は兄・弥太郎(小澤征悦さん)にオリンピックに出るのかと聞かれ、一瞬戸惑ってから「まさか」と答えます。「来年は卒業だ。こんなものにうつつを抜かしている場合ではない」とスポーツを低く見る弥太郎。弥彦は「しかし兄上、嘉納先生の檄文にもあるとおり、これからはスポーツの時代がくるのです」と、兄に融資をお願いしますが、けんもほろろといった態度でした。
自然に従え
嘉納を訪ねて、ヒゲの紳士がやってきました。彼は米国YMCAでスポーツ指導を学んだ大森兵蔵(竹野内豊さん)。妻のアメリカ人女性・安仁子(シャーロット・ケイト・フォックスさん)を連れています。大森が「Wao、日本でオリンピックのqualifying round(予選会)を開催する日がくるとは。World record(世界記録)にregistrat(登録)するならworlds standard(世界基準)なstadium(競技場)を作るべきです」と流暢な発音で言うと、妻の安仁子がいちいち日本語に訳するという、ちょっと変わった夫婦でした。
大森の指揮のもと、日本初の本格的な400mトラックが作られていきます。嘉納は借金をして投資、日本にスポーツを根付かせようとしていました。「日本の体育、いや日本人の教育のために金が必要なんだ。私が借りてるんじゃない、日本が借りてるんだ。だから返す必要無し!」という持論を展開。しかし弥彦は出場を辞退、その上兄から融資を断られたと告げます。天狗倶楽部は運営側に回り、弥彦は審判として参加することになりました。
脂抜き8日目、他の部員は断念しますが、我慢を続けた四三が倒れてしまいました。飲んだ水が五臓六腑にしみわたり、ブレーキの壊れた四三は、徳三宝の氷小豆を奪ってかぶりつきます。この経験から「自然に従え」つまり、食いたいから食う、走りたいから走るという人間の欲求に従うべきだという教訓を学びました。
そして志ん生の落ちに。酔っ払って高座に向かい、娘の美津子(小泉今日子さん)に怒られた志ん生。暮れでもないのに『芝浜』を話し始めたかと思いきや、主人公は芝を通り越して羽田まで行ってしまい、日本初のオリンピック予選の話が始まります。そして、「おや、四三くんの姿が見えねえようですが…迷子になっちまいましたね、こりゃ」と、四三が芝浜の主人公のように芝に来てしまったという、落ちがつきました。
次回は、第5回「雨ニモマケズ」。
いよいよオリンピック予選である大運動会が始まります。
審査員だと宣言していた弥彦は、短距離走に飛び入り参加。
2つの競技で1等をとりました。
そして四三にとって未体験の距離である10里のマラソン競技がはじまります。
結果はご存知のとおりですが、いったいどんな困難を乗り越えてゴールに辿り着くのでしょうか、楽しみです。
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