前回の第45回では、隆盛(鈴木亮平さん)は私学校を若者に任せ、開梱できる土地を探したり、大島から菊草(八木優希さん) をひきとったり、平和に暮らしていました。
しかし、廃刀令と金禄廃止により士族が追い詰められ、九州や中国地方で士族の反乱が相次ぎます。
私学校にはスパイが送り込まれ、スパイを捕まえた者たちが暴発し、政府の武器庫を襲いました。
隆盛はその勢いを止められず、政府の政を正すという名目で東京へと進軍を開始したのです。
前回の第45回「西郷立つ」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第46回「西南戦争」のあらすじと感想です。
西南戦争、開戦
1万3千の兵とともに、隆盛は東京を目指しました。情報はすぐに、東京の政府に伝わります。利通は、西郷隆盛討伐の勅を天子様に賜るよう、三条(野村万蔵さん)と岩倉(笑福亭鶴瓶さん)に伝えました。
西郷軍は熊本の川尻まで北上。すると、熊本城の天守や城下の各所から火の手が上がり、町は炎に包まれます。2日後、隆盛たちが賊軍であるという高札が町に出されました。政を正すという名目は崩れ、戦わずして熊本を通ることは難しい状況です。隆盛はもう戦うしか道はないと判断し「例え政府がオイたちの声に耳を貸さずとも、もはや進むべき道は唯一つじゃ。行く手を阻むち言うなら押し通る。引き留めるもんは振り払う。それしか道はなか」と宣言。皆も「おー!!」と声を上げました。
福岡方面からやってくる8千の兵に対し、西郷軍は熊本の田原坂と吉次峠で、政府軍を迎え撃ちます。竹の柵を作って鉄砲を構え、突撃してきた政府軍を撃ちますが、政府軍も鉄砲で応戦。田原坂と吉次峠では、激しい戦争が繰り広げられます。
政府の兵は、揃いの西洋軍服に最新の銃でしたが、西郷軍は袴姿もいれば、着物にズボンなど、皆バラバラの格好でした。政府軍の警視抜刀隊は元薩摩藩士によって編成され、かつての同士や兄弟が殺し合うという悲劇が起こります。戦いは十数日間に及び、警視抜刀隊と幕府の最新式大砲により、ついに田原坂が突破されました。かつて盟友であった桐野利秋(大野拓朗さん)と川路利良(泉澤祐希さん)が、遠目で睨み合います。
東京にいる従道(錦戸亮さん)は「こげんこつなら、オイも兄さあの元に帰って、共に戦いたか」とうなだれますが、妻の清(上白石萌音さん)は「そいだけはやめてくいやんせ。私はだんなさあまで賊軍になって欲しくなか」と、頭を下げました。
追い詰められる西郷軍
戦場には、敵味方の死体がいくつも転がります。菊次郎(今井悠貴さん)たちが進んでいると、隠れていた政府軍に狙い撃ちされてしまいました。菊次郎は右足を負傷し、仲間に引きずられて物陰に隠れます。助けた小兵衛(上川周作さん)も撃たれますが、立ち上がって「西郷隆盛が末弟、西郷小兵衛じゃ!」と名乗りをあげたところ、狙い撃ちにされます。小兵衛は「兄上…すまん」と言って、絶命しました。
本陣には多数の死者・負傷者が運び込まれます。隆盛は、小兵衛の亡骸を見つけると、涙を一筋こぼして顔をなでました。
島津久光(青木崇高さん)の元に、天子様からの勅使がやってきて、隆盛を止めるように依頼します。しかし久光は「私は時勢に取り残された薩摩の芋侍でございもす。じゃっどん、道理の通らんこつだけは、断じて承服するこつはできもはん」と、己の意地を貫いて政府に手を貸すことはありませんでした。
田原坂を突破された西郷軍は、北上を断念して人吉へと南下します。
利通の思い
そのころ、木戸孝允(玉山鉄二さん)が病に倒れます。臨終の折、「西郷、いいかげんにせんか」と、最後まで隆盛を案じながらこの世を去っていきました。
鹿児島県令の大山(北村有起哉さん)は、隆盛に協力した罪で捕まり、東京の監獄に閉じ込められます。髭が伸び薄汚れた大山に、利通が会いにやってきました。大山がなぜこんな事になったのかと問いただすと、利通は「西郷とその一党を討ち滅ぼす。こいを、日本で最後の戦にするために」と答えました。唖然とする大山を尻目に、利通は立ち去ろうとします。大山は「オハンだけ極楽に行こうちしちょったら、足首がっちりつかまっちょって、ずりーっと引きずり落としちょって。あっはっはっは…」と悪たれ口を投げつけました。
隆盛の自宅に政府の軍人がやってきました。隆盛は賊軍であるため、その家族を保護するのだといいますが、糸(黒木華さん)はもちろん家族全員が拒否。「私達は西郷隆盛の家族。敵の世話にはなりもはん」と言って、追い返してしまいました。軍人たちが立ち去ると、農夫の格好をした男が庭に入ってきます。ほっかむりを取ると、桂武久(井戸田潤さん)でした。桂武久は、小兵衛が死に、菊次郎が足を負傷したことを伝えます。
菊次郎は延岡の包帯所(野戦病院)で治療を受けます。菊次郎が目を覚ますと、側で見守っていた熊吉(塚地武雅さん)が「よかった、よかった」と泣いて喜びました。菊次郎の右足は、スネの下半分が切断されていました。「お命を助けるには、こげんするしかなかったとでございもす」と、熊吉が言います。
糸、菊次郎との別れ
圧倒的な政府軍の兵力の前に、西郷軍は1万3千から3千5百までに減ります。宮崎の俵野まで撤退し、寺を借りて休息を取りました。農家の人々は西郷軍を応援、おはぎなどを差し入れしてくれました。隆盛は連れていた猟犬のツンとゴジャ「達者での」と、野に放ちます。
「政府軍に一泡吹かせてやりもすぞ」と兵士たちの士気は衰えません。隆盛は兵士たちを集め、「オハンら、ほんのことよう戦った。じゃっどん、ここまでじゃ」と解散を言い渡します。皆を驚きますが、隆盛は「生きたかもんは降伏してから生きよ。死にたかもんは死にやんせ。皆、自分の欲するところに従ってくいやせ」と、穏やかな顔で言いました。兵士たちはうなだれます。
その夜、隆盛は自分に区切りをつけるために軍服を燃やしました。そこに、桂武久がこっそりと、糸を連れてきました。びっくりしますが、糸を寺に連れていき、熊吉と菊次郎にも会わせます。菊次郎は右足を失っても隆盛についていく気でしたが、隆盛は「オハンらの頭には、新しかこつが詰まっちょう。生きてこいからの日本国を作ってくいやい。こいは命令じゃ」と、投降を命じました。
隆盛の部屋に、糸がやってきて座ります。糸は「だんなさあが、西郷隆盛じゃなかったら、どんなによかったか」と目を潤ませました。隆盛が糸を抱き寄せ、糸も隆盛の背に手を回します。2人は抱き合って、嗚咽を漏らしました。
次回は、いよいよ最終回。
「オイが死ねば、日本国順の士族たちがようやく別の生き方をみつけようとすっとで。オイの死と共に、新しか日本がうまれっとじゃ」と穏やかな顔で、兵士たちに言う隆盛。
銃弾を受け、崩れる隆盛。
村田も、桐野も、この戦に命を捧げます。
そして、利通にも暗殺の魔の手が…。
いよいよ「西郷どん」、感動のクライマックスです。
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