第36回「慶喜の首」、いよいよ戦争が始まりました。
「錦の御旗」を掲げることで相手の戦意を削ぎ、鳥羽伏見の戦いに勝利した新政府軍。慶喜(松田翔太さん)は戦を恐れ、家臣を置き去りにして江戸へ逃げます。
そして勝海舟(遠藤憲一さん)に全権を一任し、上野の寛永寺で謹慎。勝海舟は降伏を受け入れてもらうため、新政府側に山岡鉄太郎(藤本隆宏さん)を使者として送り込みます。
山岡の熱意に打たれ、吉之助(鈴木亮平さん)は進軍を中止。数人の藩士と江戸に乗り込んだ吉之助は、篤姫(北川景子さん)と再会します。
前回の第36回「慶喜の首」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第37回「江戸城無血開城」のあらすじと感想です。
篤姫の思い
会議の末、江戸城への総攻撃は3月15日と決まりました。吉之助は秘密裏に江戸城へと招かれ、篤姫と再会しました。篤姫は慶喜の助命をするかと思いきや、「慶喜の首一つで、この戦を終わらせてくれ」と予想外のお願いをします。
かつて慶喜を将軍にするために動いた篤姫と吉之助の2人が、今度は慶喜を亡き者にしようとしている…篤姫は「時の移り変わりとは、非常なものでございますな」と、寂しそうにつぶやきます。篤姫は慶喜が死んだあと自害する覚悟で、徳川家だけは救って欲しいと頭を下げました。
「じゃっどん、この戦を止めることはできもはん」と、吉之助の考えは変わりません。篤姫と幾島(南野陽子さん)に江戸城から逃げるように忠告しますが、篤姫は「徳川の名にかけて、私も命をかけて戦う覚悟です」と決意を示します。
最後の将軍
江戸城総攻撃の前日、江戸の薩摩藩邸に勝海舟がやってきました。吉之助は、羽織に総髪の髷を結い、下はズボンという、和洋折衷の機能的な格好です。対して勝は幕臣らしく、渋い色合いの羽織袴。煙管を吹かせながら、吉之助を待ち構えました。
勝の手元には刀があり、中村半次郎(大野拓朗さん)と川路利良(泉澤祐希さん)は次の間に控え、緊張が走ります。勝は単刀直入に「こちとらこの江戸で、戦で火の海にするのはやめてもらいてぇのさ」と言って、降伏条件を記した書状を渡しました。しかし吉之助は受け入れません。勝は「西郷どん、江戸百万の民に塗炭の苦しみを舐めさせて作る国に、この先どんな望みがあるってんだ。西郷どんが背負う新しい国ってのは何だい?」と悲しげな瞳で訴えます。
吉之助は、薩摩の農地のことや長州征伐で戦を避けようと策を練ったことなど、自分が民のためにと頑張った過去を思いだします。そして「分かりもした」と総攻撃の取りやめを中村半次郎たちに指示しました。
勝はポロポロと涙を流しながら笑顔で「よかった」と喜びます。吉之助が「じゃっどん、一つだけお願いがありもす」と言うと、勝は「会いに行けばいい、お前さんたちのケンカはおまえさんたちでカタをつけるんだ」と、慶喜に会えるよう約束してくれました。
吉之助は夜半、一人で寛永寺を訪れます。慶喜は真っ白な羽織袴で辞世の句をしたためていました。2人は正座で向かい合います。慶喜が口を開き「西郷、おれを殺しに来たんだろう」「どうした早くやれ」とけしかけます。吉之助は短刀をおいて「慶喜殿、何故戦わずに逃げられたのですか」と疑問をぶつけました。
慶喜は観念したように話し出します。「おれはロッシュ殿から逃げたのだ」…フランス公使のロッシュは、幕府に援助する代わりに、薩摩をよこせと要求。戦が長引けばイギリスも巻き込み、イギリスとフランスの勝ったほうが日本を乗っ取るだろう。最悪の事態を避けるため、慶喜は逃げることを選択したのでした。
吉之助は慶喜の判断力に感服し、穏やかな眼差しで「徳川最後の将軍としてのご覚悟、この牛男しかとみせていただきもした」と、手をついて頭を下げました。慶喜は感極まり涙を流します。
江戸城、明け渡しの日
京にやってきた吉之助は、勝との会談で慶喜ら徳川家を残すことが決まったと報告。大久保(瑛太さん)、岩倉(笑福亭鶴瓶さん)たちは了承しますが、長州の桂小五郎(玉山鉄二さん)は反対します。「慶喜公の首をはねなければ、我ら長州の屈辱を晴らすことはできません」「薩摩はまた、長州を欺く気か!」と語気を強めます。大久保が「我らはもう、薩摩と長州ではなく、天子様の軍です」と説得しますが、「いずれまた戦になる」と反論。吉之助が「その時はオイが慶喜公を討ちもす」と断言して、桂はしぶしぶ了承しました。
慶喜は水戸家預かりの身分となります。江戸城は無血開城され、銃砲が官軍へ引き渡されました。
篤姫も江戸城を去ります。吉之助が会いにくると、篤姫は徳川家が守られたことにお礼を言い、徳川家が260年かけてまとめた大量の書物を渡しました。天下を治めるために役立つ知識が記された書物を見て、吉之助は喜びます。篤姫は「幾島、この西郷が作る新しい国というものを見てみたくなった」と、老いた幾島の手を引いて部屋を後にしました。
その場で書を開き、そのまま寝てしまった吉之助。弟の信吾(錦戸亮さん)が「ようやく眠れたんじゃ、兄さ。おやっとさん」と微笑みました。
彰義隊
江戸城は明け渡されましたが、上野の寛永寺には新政府に不満を持つ者たちが集まります。彼らは「大義を彰かにする」という意味の、彰義隊を名乗りました。さらに旧幕府軍の会津藩や東北の諸藩が蜂起。軍艦引き渡しを拒否した榎本武揚らは、江戸湾から脱走して北へと逃げたのです。
山岡鉄太郎が解散するよう説得しますが聞き入れず、彰義隊の討伐が決定します。吉之助は戦は長引くと予想しますが、謎の男が現れ「1日、いや半日で片付きます」と断言。その男こそ、長州の天才戦術家・大村益次郎(林家正蔵さん)でした。
彰義隊は江戸庶民から支持され、酒や食べ物などの支援が集まります。その様子に勝は「せっかくの無血開城が台無しだ」と嘆き、「西郷どん、龍馬が夢見た新しい国を作ってくれ」と、吉之助に希望を託しました。
次回「傷だらけの維新」。
「オイの役目は終わった」と言う吉之助。
それに対して大久保正蔵は新政府の役職につき、新たな政治活動を開始します。
彰義隊との戦いである上野戦争はすぐに終結しますが、会津藩など東北諸藩は収まらず、新政府は東北へ軍を出すことに。そんな中で、戦に参加した吉之助の弟・吉二郎(渡部豪太さん)が撃たれたとの知らせが入ります。
目的の無い戦に、吉之助の心は揺れ動きます。
次回も、大きな歴史舞台が描かれる一幕、楽しみです。
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