前回の第24回「地の果てに」で、吉之助は徳之島に流されました。
そこに愛加那が子供を連れてやってきて、親子4人で穏やかな日々を過ごします。しかし、さらに遠い沖永良部島に流されることに。
一方、江戸では久光と慶喜が対立。兄と違って芋だと馬鹿にする慶喜に、久光が憤慨します。
吉之助は、沖永良部島で壁のない吹きさらしの牢に入れられました。
薩摩に戻すという友の言葉を信じて、嵐の日もじっと待ち続け、生死をさまよう状態に…。
前回の第24回「地の果てに」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第25回「生かされた命」のあらすじと感想です。
死の淵から
島役人の土持らに助けられた吉之助。痩せこけた体と伸び放題のヒゲ姿で、土持の屋敷の布団に寝かされます。そのとき、庭にヤンチュ(家人)と呼ばれる下人の子供たちが呼び出され「何人もが、お前らが西郷様の食べ物を盗んで食うとこを見ちょっちゃじょ!」と怒られていました。吉之助は「許してやってくいやんせ」と、子供たちをかばいます。
吉之助が安静にしていると、川口雪篷が上がり込み「もう友を信じて待つのはやめ。次は死ぬど」と、忠告しました。
川口雪篷は、あのお由羅騒動で処罰され、この島に来ました。「友が呼び戻してくれるち信じておったどん、十数年たっても戻されることはなく、そのうち薩摩からの文も届かなくなりあげな飲んだくれに…」と、土持が雪篷の過去を話してくれました。
土持は、罪状が書かれた文書には『囲いに召し込み』とだけあるのだから、牢でなくてもいいと解釈、雨も風もしのげる座敷牢を作ってくれました。
吉之助は座敷牢で、子供たちに学問を教えることに。島の子も、ヤンチュの子も平等に集めました。「楼の上も、はにふの小屋も、住む人の心にこそは、高きいやしき」…御殿に住んでいても、粗末な小屋に住んでいようとも、人間の価値は判断できない…という意味の薩摩に伝わる日新公のいろは歌です。土持は涙を流して感動。子供たちは並んで座り、格子越しにいろは歌を歌います。
生麦事件
久光が江戸から薩摩に帰る途中、武蔵国の生麦村(今の神奈川県横浜市)でイギリス人が行列を横切ってしまいます。大名行列を横切ることは非常に無礼な行為とされ、その場で手打ちにすることも認められていました。海江田は1人のイギリス人を手打ちにし、さらに逃げる相手を追い詰めて止めをさしました。
その後、イギリスは幕府に30万両(今の価値だと、100億円以上)の巨額な賠償金を要求。幕府は対応に悩みます。一橋慶喜は「あの芋が…!」と怒り心頭です。
しばらくして、幕府の煮え切らない態度に業を煮やしたイギリスは、大艦隊を薩摩に向けて発進させました。薩摩の城では、戦か降伏か、決断を迫られます。一蔵は「国父様の命があれば、この大久保最後の一兵となっても戦う所存にございます」と、意気込みます。久光は「よう言うた!」と、反対する家臣の言葉を聞かず、戦いの準備に取りかかります。
海江田は責任を感じて、腹を切ってイギリスに詫びると騒ぎますが、一蔵はそれを止めて「今こそ薩摩が一つになる時じゃ!」と鼓舞。「やっど!」と皆が一つになり、イギリスに立ち向かう覚悟を決めました。世界の大英帝国と、日本の一藩に過ぎない薩摩が、戦争をすることになってしまったのです。
島を守る
沖永良部島では、雪篷が島を抜け出そうとして、浜辺で取り押さえられていました。イギリスが攻めてくるという一大事に、いてもたってもいられなかったのです。雪篷に「ある人が言うておられた。『今は異国の強さを学び日本を異国に負けぬ国にする時。決して異国と戦うてはならぬ』と」と言われ、斉彬を思い出した吉之助。戦いを止めるために薩摩に行こうとする2人を、島役人の黒原が牢に入れるよう命令しました。
土持は、イギリスが島に攻めてきたらどうする、薩摩は守ってくれないのかと黒原に詰め寄ります。黒原は「わしは知らんち言うちょっどが!」と無責任です。牢の中で聞いていた吉之助は「大砲を浜に並べっとじゃ」「本物じゃなくてよか。丸太でんないでん、大砲に見えればよか」と提案。雪篷も賛同します。黒原は「知らん!」と言って立ち去ってしまいました。
結局、吉之助、土持、雪篷の3人だけで、丸太を運びます。そこにヤンチュの子供たちが「西郷先生、わちゃにも手伝わしてたもせ」と集まってきました。さらに、他の子供たち一緒に手伝ってくれることに。子供たちはいろは歌を歌いながら、丸太に墨を塗って黒くします。
雪篷は休憩中の子供たちに、将軍でも殿様でもなかったナポレオンという男が、国を変えたという話をしました。吉之助は初めて聞く話に興味をもった様子。他の大人たちも集まり、手を貸してくれることになりました。
再び、薩摩へ
明くる日届いた手紙には、戦が終わったとの知らせが。薩摩は和解し、戦は2日で終わったのだそう。そして吉之助には召還命令が下りました。
雪篷は餞別だと言って本を渡し、立ち去っていきました。吉之助は敬意を表し、軽く黙礼。吉之助は、薩摩に帰るまでの残された時間で、自分の知識のすべてを島の人たちに伝えます。そして雪篷のくれた本には、ナポレオンのことが詳しく書かれていました。
薩摩から迎えの使者がきました。西郷信吾、吉之助の弟です。吉之助は信吾が無事だったことを喜びます。その夜、信吾は島の人たちにイギリスとの戦いの話をしました。スイカ売りに変装した信吾が、小舟に乗ってイギリス船に近づきます。ところが双方言葉が通じず、うまくいかなかった…と面白おかしく話してくれました。
次の日、浜辺で島の皆に見送られ、船に乗り込む吉之助と信吾。雪篷は高い崖から、「革命」と書いた大きな旗を振って見送ってくれました。
吉之助たちは沖で待つ蒸気船に乗り込み、途中、喜界島で村田新八も乗船。ふと吉之助が目を覚ますと、愛加那の姿が…。信吾が気を利かせて、大島に寄ってくれたのです。島の野原を2人で寄り添って歩きます。吉之助が薩摩にいってしまうことを謝ると、愛加那は「旦那様は、遠く離れていても、ここにいる」と自分の胸に手を当てました。2人は抱き合います。これが2人の今生の別れになってしまうのです。
次回は「西郷、京へ」。
西郷が来るという知らせを聞いた男たち。勝海舟(遠藤憲一さん)、坂本龍馬(小栗旬さん)、そして岩倉具視(笑福亭鶴瓶さん)の3人は、これからのストーリーのキーパーソンになりそうです。
そして江戸では、またもや一橋慶喜と島津久光が対立。吉之助の出番となったのです。
再び吉之助が、歴史の表舞台へと帰ってきます。
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