第23回では、久光(青木崇高さん)の言いつけを破り、京都に来て他藩の志士と交わった吉之助(鈴木亮平さん)に切腹命令が下ります。
郷中仲間と鰻取りをして酒を酌み交わした後、潔く役人に捕まる吉之助。
小松帯刀(町田啓太さん)や大久保一蔵(瑛太さん)が久光に助言し、切腹から島流しになり、なんとか命は助かりました。
その後、大山たちは藩命に従い、脱藩した有馬たちを説得しますが、決裂して切り合いに…。
親しい仲間同士が殺し合うというこの悲惨な事件は、寺田屋騒動と呼ばれました。
前回の第23回「寺田屋騒動」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第24回「地の果てに」のあらすじと感想です。
親子4人で過ごす日々
一蔵は、寺田屋騒動を止められなかった責任を感じ、自ら謹慎を願い出ました。
そして吉之助は徳之島に、村田新八(堀井新太さん)は喜界島に、それぞれ流されます。前回の島流しと違い、扶持は無く食べ物は自分で手に入れなくてはいけません。農作業をしていると、大声で「だんなさまー!」と呼ぶ声が。愛加那(二階堂ふみさん)が息子と赤ん坊を連れて、吉之助に会いにきたのです。生まれた女の子は吉之助によって「菊草(きくそう)」と名付けられました。「なんと愛らしか顔をしちょっとじゃ」と吉之助は可愛がります。薩摩に帰る日まで、2人は一緒に過ごすことに。
久光と慶喜
一方、久光は京での働きを朝廷に認められ、江戸の幕府に勅使を遣わすことに成功。幕府が弱体化する中、将軍・家茂は朝廷の意向を無視できません。そして安政の大獄で追放されていた一橋慶喜(松田翔太さん)と松平春嶽(津田寛治さん)が、政治の場に復帰。慶喜は将軍後見職に、春嶽は政治総裁職に任命されました。
久光は大久保たちを連れて、慶喜、春嶽と対面します。久光は「こいからは私が兄上に成り代わり、お二方と共に手を取り合って、こん日本を異国に負けん強か国にしていきたいとそう願っております」と、意気込みを話します。慶喜は「はっはっは…」と笑った後、「軽々しく日本などと口にするな」とぴしゃり。久光は憤慨し、今回の任命は自分が天子様に願い出たいおかげなのだと言いますが、慶喜は薩摩訛りをからかって「お主は兄とは似ても似つかぬ、ただの芋じゃねえか」と言い放ちます。
一蔵はきつい目で慶喜をにらみ、春嶽は困惑したような難しい表情。最後に「俺と腹を割って話したければ、西郷を連れてまいれ。芋では話にならん」と言って、部屋を出ていってしまいました。久光はこぶしを噛んでくやしがります。
沖永良部島
吉之助一家は、穏やかで愛に満ちた時間を過ごしていました。しかし薩摩から役人が来て、さらに遠くの沖永良部島に流されることに…。愛加那は「なんで!?」とショックを受けますが、吉之助は「逃げも隠れもせんで」と、すべてを受け入れたような穏やかな表情です。「夢のように楽しか5日間じゃった」と愛加那に別れを告げ、役人に連れられていきました。愛加那は泣き崩れます。
沖永良部島は薩摩から最も遠い島の1つ。『遠流の上、囲いに召しこみ』という罰は、異例の重い刑でした。浜辺に建てられた、丸太の格子だけで壁のない小さな牢に入れられます。それを見て「ひどかなぁ。一体何をやらかしたらあげな罰を受けっとじゃ…」と呟きながら、ひょうたんに入った酒をあおる謎の男(石橋蓮司さん)がいました。
牢にやってきた土持政照(斎藤嘉樹さん)が、「先生!」と罪人の吉之助に丁寧に挨拶をしました。土持は沖永良部島で生まれ、薩摩で学び、島に戻って役人をしている男です。薩摩にいたとき、西郷吉之助という大人物の噂を聞いていたのだと言います。母親の鶴(大島蓉子さん)と一緒に、吉之助にご馳走を持ってきました。
かつての友
藩命により牢から出ることを禁じられた吉之助。土持の役目は、吉之助を監視することでした。謎の男は川口雪篷という罪人で、薩摩から流され島で10年も暮らしているのだそう。
吉之助宛の文を雪篷が奪い、勝手に読み始めました。1通は海江田俊斎からで、久光が京に平穏をもたらし、名を天下に轟かしていること。一蔵は寺田屋の騒動後、素早く翻って久光につき、今や側近として寵愛を受けて出世の階段を登っている…と一蔵への憎しみが混じった文です。
もう1通は大山格之助から。「有馬を失った悲しみも癒えぬうちに、よく国父様にかしずけるものだ」と大山が罵倒すると、一蔵は薄く笑って返したのだそう…。薩摩はもうバラバラで、早く吉之助に帰ってきて欲しいという内容でした。
吉之助は、なぜ俊斎も大山も、友人である一蔵の心が分からないのか?と嘆きます。しかし雪篷は、本当は日に一度、わずかな麦と塩だけ与えるよう申し渡されているのだとばらして「最初からわいを殺そうとしておるのじゃ!国父様もわいが友と呼ぶ一蔵とやらも!」と、吉之助をあざ笑います。
牢の中の吉之助
吉之助はそれを知って以降、土持たちが持ってくる食事に手をつけず、一日に一度だけ麦と塩を食べて過ごすようになります。何日も何日も、ただ座禅を組んで動かず、一蔵を信じて待ち続けました。
島に嵐がやってきました。弱りきった状態で雨に濡れた吉之助は、床に倒れ込みます。「一蔵どん、すんもはん。ここまでかもしれん」と死がよぎった時、愛加那と2人の子供の姿が心に浮かびました。「おはんにしかできんこつがまだあっとじゃ。生きろ。まだじゃ」と考えながら、3つの貝殻を握りしめます。強く生きる意志が、心の奥に湧いてきたのです。
雨がやみ、光が差してきました。雪篷は吉之助が倒れているのを見て、牢を壊して中に入ります。口移しで水を与えると、吉之助は「う…」と呻きました。生きていることを確認すると、雪篷はその場を去ります。その後、土持と村人が駆けつけ「たとえ薩摩に背くことになっても、先生は死なさんど」と言って、吉之助を牢の外に運んでいきました。
次回、「生かされた命」。
吉之助は座敷牢に移され、子どもたちに学問を教えることに。そして雪篷の「エゲレスと戦になる前に止めんにゃならん!」というセリフ。生麦事件が起こり、薩英戦争へと流れ込む展開に…。一蔵は「今こそ薩摩が一つになる時じゃ!」と皆を先導しますが、慶喜は「あの芋が…」怒り心頭。吉之助が島にいる間に、薩摩は大変なことになってしまうようです。次回も見逃せない展開です。
[br num=”1″]