食虫植物というのは、実にさまざまな方法で虫を捕らえます。
葉を閉じて捕まえるもの、袋の中に落として閉じ込めるもの、ネバネバの葉にくっつけるもの、根っこの袋に吸いこむもの。食虫植物の分類は、そういった虫の捕らえ方に注目して行われています。
今回は「根っこの袋に吸いこむ仲間=ウトリクラリア」について、ご紹介をしていきたいと思います。
ウトリクラリアとは
食虫植物の中で、根っこにある袋に小さな生き物を吸いこむタイプのものは「ウトリクラリア」という名前で分類されています。日本語では「タヌキモ属」。そしてその中でも、地上に生えて土中の生き物を捕まえる仲間を「ミミカキグサ類」、水草のように水中に生息して水中の生き物を捕まえる仲間を「タヌキモ類」と分類しています。
ミミカキグサ類もタヌキモ類も、共通しているのは根っこ(地下茎)や茎にある小さな袋で虫を捕まえるということです。この袋は「補虫嚢(ほちゅうのう)」と呼ばれていて、虫を捕まえると蓋がしまって逃げられない構造になっています。可愛らしい花を咲かせるものが多く、小さくても存在感があります。
ウトリクラリアの仲間にはとてもたくさんの種類がありますが、ここではその中からいくつかピックアップしてご紹介します。
ミミカキグサ類
うさぎ苔
特徴的な花が大人気!丸い体から2本の耳が出ているように見えて、その姿はまさに可愛らしいウサギ!とても丈夫で、日本の気候で良く育ちます。
リビダ
丈夫でどんどん増えるので、食虫植物初心者でも栽培できます。白くて小さな花がたくさん咲きます。
ワーブルギー
淡い紫の小さな花は、よく見るとクリオネのような形をしています。とても可愛らしく、女性にも人気があります。
ロンギフォリア
小さな葉っぱが多いミミカキグサですが、こちらは葉っぱの長さが10cmにもなります!花も大きめで、まるでランのようです。
タヌキモ類
タヌキモ
北海道のレッドデータブックに載っている希少種。黄色の小さな花を咲かせる。
ノタヌキモ
一年草。3本に枝分かれした葉は、水から出すと筆のようにしぼむ。
イヌタヌキモ
多年草。葉は2本に枝分かれしていて、水から出してもしぼばない。
オオバナイトタヌキモ
とても丈夫で、どんどん増える。密集させるようにすると、黄色い花をたくさん咲かせる。
栽培方法
地上に生えるミミカキグサ類なら、常に土を湿らせた状態にするため「腰水」という方法で育てるのが基本です。深めの受け皿に常に水を張っておくという方法です。
水中のタヌキモ類でしたら、水に漂わせておくのが基本の育て方。夏場は水が茹ってしまわないように、冬は凍結してしまわないように気をつけましょう。環境が合わないと短くなって、やがて枯れてしまいます。初心者におすすめなのはオオバナイトタヌキモで、かなり丈夫でどんどん増えます。
最後に
食虫植物「ウトリクラリア」の仲間についてお話をしてきましたが、いかがでしたか?葉っぱで虫を捕まえる印象が強い食虫植物ですが、根っこで捕まえる仲間もいるなんて驚きですね!
うさぎ苔やクリオネのように、可愛らしい花を咲かせるものは女性にも人気。また、水中で生きるタヌキモ類はアクアリスト達にも愛されており、ボトルの中で育てている人もいるようです。
虫を食べているなんて想像もつかないような可愛らしいウトリクラリア。
育てやすい品種も多いですので、あなたも挑戦してみませんか?