大河ドラマ「おんな城主 直虎」、第50回「石を継ぐ者」を観ました。今回は、いよいよ最終回です。
明智光秀(光石研さん)は織田信長(市川海老蔵さん)に謀反を起こし、暗殺に成功。世に言う「本能寺の変」です。徳川家康(阿部サダヲさん)は、無事に三河に戻り、空城拾いに徹します。おとわは堺に残り、自分にできることはないかと、成り行きを見守ります。
サブタイトルの「石を継ぐ者」の元ネタは「星を継ぐ者」というハードSF小説です。1977年に発表、イギリス出身のジェイムズ・P・ホーガンのデビュー作。月面で発見された死体は、現在の人間とほぼ同じ形であるにもかかわらず、5万年前に死亡したと判明。世界中の第一線の科学者が、知識を結集させてその謎に挑みます。これを機会に是非。
前回の第49回「本能寺が変」を見逃した方は、是非こちらをどうぞ。
それでは、第50回「石を継ぐ者」(最終回)のあらすじと感想です。
龍雲丸との別れ
おとわ(柴咲コウさん)は堺にいましたが、明智が京を捨て状況が変わったことをきっかけに、井伊谷に戻ることに。龍雲丸(柳楽優弥さん)は「このあと南蛮の船に乗らないかと言われておりまして。共に行きますか?」と、おとわを誘います。しかしおとわは「餞別じゃ」と言って、水色の水筒を渡します。龍雲丸は、おとわはついてこないと来ないと分かっていたのでしょう。「頭、われより先に死ぬなよ」「そっちもな」そう言って2人は、再び別れました。
家康は、羽柴秀吉から要請がきてから、何食わぬ顔で弔い合戦に出陣。京都に着くと、すでに明智は討たれた後でした。家康は「かくなる上は、甲斐・信濃の織田様方を助けに参ってよろしゅうございますか」と、甲斐・信濃に侵攻する口実を得ます。
今川氏真(尾上松也さん)は明智が討たれたという報を聞いて、浜松に駆けつけます。「あれは謀反に加担した証拠になりかねぬであろう」と、明智の息子の自然をどうにかせねばと万千代(菅田将暉さん)に相談します。
井伊谷は、子捨ての里
万千代は龍潭寺に、自然を貰い受けにきますが、おとわは「この子を葬り去るつもりか」と、渡しません。強引に取り戻そうとする万千代に、傑山(市原隼人さん)は「若はどうやって生き延びてきたのか、答えられよ」と、矢をつがえて凄みます。
さらに家康の母・於大の方(栗原小巻さん)や、織田方の軍まで押し寄せ、自然を渡すよう要求しますが、おとわは「この子は亡き信長様のお子じゃ」と、大嘘をつきます。かつて奥山(田中美央さん)と中野(矢本悠馬さん)の活躍で、信長から拝領された茶碗と、信長の花押入りの書状を見せると、織田軍は引き下がり、自然の命を守ることができました。
自然はしばらくして出家し「悦岫」(えっしゅう)という僧名を与えられます。
直虎、安らかに眠る
おとわは咳が止まらず、井伊谷の領主・近藤に頭をさげたところでそのまま倒れ込みます。昊天の見立てでは、風邪をこじらせたのだろう、しばらく休めば良くなるとのこと。
咳が治まらないおとわ。夜中、笛の音に誘われて井戸端に行くと、少年の姿の直親こと亀之丞、政次こと鶴丸の姿が。気がつくとおとわも少女の姿に。2人は、みなのいる世界に一緒に行こうと誘います。しかしおとわは「やじゃー!われにはまだここでやらねばならぬことがー!!」と暴れますが、亀之丞は「おとわがおれの志を継いでくれたように、次は誰かが、おとわの志を継いでくれる」と諭します。
そこになんと少年の姿の龍雲丸が「おーい、行くならおれも連れてってくれよ」と、現れました。鶴丸が「では皆様、参りますぞ」と、4人で手をつないで井戸を囲み、覗き込みながら「いざ!!」…。
翌朝、おとわは井戸端で発見され、安らかな顔で亡くなっていました。
そしてどこかの浜では、座礁した船と共に、いつかおとわが無くして龍雲丸が拾った赤い水筒と、先日餞別として渡した水色の水筒が、紐が絡まり2つ繋がって打ち上げられていました。おそらく龍雲丸も…。
石を継ぐ者、直政誕生
万千代のもとに、おとわの訃報が届きます。浜松城を訪れた南渓和尚は、万千代に白い碁石を渡し「井伊の魂じゃ。なんじゃと思う、それは」と問いかけます。「民には竜宮小僧のようにありかしとし、泥にまみれることを厭わず、戦わずして生きる道を探る…」と、答える万千代。「殿は小さな国でそれをやった。そなたはそれを、この日の本を舞台にやるのじゃ」と言い残し、南渓和尚は去っていきました。
おとわの意志を継いだ万千代は「潰れた家の前髪だからこそできる和睦を、ご覧に入れまする」と、北条との和睦交渉役を願い出ます。万千代は、甲斐・信濃の国衆から、臣従を誓う証書を集めてから交渉に臨み、スムーズに和睦を成功させました。
褒美として、万千代は元服を許されます。家康から授かった元服名は、井伊の通り字の「直」と、小野の通り字の「政」を合わせた「直政」。「新しき井伊は、この方々から始まったのだと、井伊直政、この名と行いを通して、伝えていく所存にございます」と、感極まって口上を述べました。
さらに手柄の褒美として、松下、近藤、鈴木、菅沼ら、さらに武田の赤備えの武士たちも配下に。赤備え軍を配備された直政は、老練な元武田の武士たちになめられまいと、自ら一番槍として勇猛果敢に戦い「井伊の赤鬼」の通り名で呼ばれることとなります。
最後のシーン。碁を討つ直虎。碁盤に2人の男性(おそらく直親と政次)が白黒の碁石で作った「完」という文字で、締められました。
最後に
個人的な感想として…。戦国時代の小さな領国が舞台となることで、大国に翻弄され、裏切られ…そんな運命に挑むという、新しい形の戦国ドラマだったと感じました。昨年の真田丸も強力な大名ではなかったので、大国を相手にお家をつなごうと渡り歩く、そういった要素がありましたね。
直虎の相手として、直親、政次、龍雲丸と3人の男性がでてきました。しかしいい雰囲気になっても鈍いというか、結局男性にはもたれかからず、1人で国事に奮闘する姿は、どこかもどかしい感じもしました。小道具としての碁石や水筒が効果的で、それらの伏線回収もあって、1年通して見た人にだけ楽しめるところも面白かったです。最後に子役の3人を、もう一度見ることができたのも、嬉しかったですね。
大河ドラマといえば雄大で荘厳な…というイメージが強いですが、「おんな城主 直虎」はコメディ要素(サブタイトルからして)や、萌え要素も多々あり、新しい時代の大河ドラマになっていました。昔からの大河ファンも、新しい大河ファンもどちらも、楽しめる物語だったと思います!
[br num=”1″]