12月31日に行われる日本の年中行事のひとつ、除夜の鐘。
除夜の鐘と言えば108回、煩悩の数だけ撞くと言われています。
NHKの紅白歌合戦が終わり、ゆく年くる年が始まり「ゴーン」という音がすると、「あぁ、今年も、もう終わりなんだなぁ」と思う方もおられることでしょう。
除夜の鐘の「除夜」って何?
「除」という漢字は「のぞく」と読みますよね?
つまり一年の最後の日に、古いものを捨てて新しいものを迎えるという意味があり、12月31日の大晦日を「除夜」というようになったそうです。
108回の由来、煩悩の意味は?
除夜の鐘は108回と言われていますが、この108回という回数にはどんな由来があるのでしょう?
この回数の理由には複数の説があるようです。
- 人間の煩悩の数を指したもの
- 一年間をあらわしたもの
- 四苦八苦をあらわしたもの
その中でも最も有名のものは「人間の煩悩の数」ではないでしょうか。
煩悩とは、人間の心の奥から湧き出てくる怒りや欲望や心の乱れのことを意味します。
人間の欲望は全て6つの感覚器官【眼(げん)・耳(に)・鼻(び)・舌(ぜつ)・身(しん)・意(い)】からもたらされます。この6つの感覚器官が感じる状態には、【好(こう)・平(へい)・悪(あく)】の3つの状態があり、これで6×3=18種類です。この18種類それぞれに【浄(じょう:きれい)・染(せん:きたない)の2種類があり、18×2=36種類。この36種類を前世・今世・来世の三世に当てはめ36×3=108種類となる訳です。大変な数です。
一年間をあらわしたものという説は、一年の月数12に、二十四節気(にじゅうしせっき)24と七十二候(しちじゅうにこう)72を足すと108になるというものです。二十四節気とはカレンダーでおなじみの「立夏・大暑・立秋・大雪」などです。七十二候は二十四節気を約5日ずつ3つ(初候・次候・末候)に分けたものです。
四苦八苦をあらわしたものという説は、四苦八苦を数字にして4×9+8×9=108というものです。
足したり掛けたり、本当に大変です。たくさんという意味もあるそうで、必ずしも108回撞くわけではなく、お寺によっては200回以上も撞くところもあるそうですよ。
実は除夜の鐘、108回のうち107回は大晦日のうちに、残りの1回は元旦に撞きます。
108つの煩悩を全て綺麗にお祓いして新しい年を迎えるというものです。日本人らしい物の考え方ですよね。
最後に
お寺の梵鐘(ぼんしょう)は普段、朝晩の時報として使われていたり、法要の開始をお知らせする際に使われていたりします。
そしてこの梵鐘の音には、苦しみや悩みを断ち切る力があると考えられています。
そういえば、鐘の音を聞くと、厳かな気持ちになり、なぜか心が穏やかになる気がしませんか?
今年は、お寺で年越しするのもいいかもしれませんね。
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