日本人にとって、梅干しは馴染みのある保存食の一つで、子供のころに母親が作ってくれた、おにぎりやお弁当に使われた定番食材です。
特に和歌山県産のものは「紀州の梅干し」として有名ですが、主な産地はみなべ町や田辺市などです。
その中でも「南高梅」と呼ばれる品種の梅干しは、最高級品として全国で広く知られています。
梅干しって、どのような食材?
梅干しとは、梅の果実を塩漬けした後に天日干ししたものをいます。
ただ、塩漬けした後、天日干ししないものを「梅漬け」といって、梅干しとは別の食べ物とされています。
最近は、知る人が少なくなりましたが、実は青いままの梅の実には青酸配合体であるアミグダリンという成分が含まれています。これを食べると胃酸内の酵素で加水分解され、猛毒の「シアン化水素(俗にいう青酸)」を生成します。特に種の中身である「仁(じん)」と呼ばれる部分に多く含有され、沢山食べると「青酸中毒」に陥る場合があります。
原産地の中国では塩漬けにすることで「毒素を消す」ことを発見し、それが日本に伝来したものです。
最近市販されている梅干しは、減塩した商品が多く、「調味梅干し」として販売されていますが、保存性が落ちるため賞味期限が短縮されています。
ちなみに、JAS法では、伝統的な梅干しの塩分は「22.1%」で、調味梅干しの塩分は「7.6%」ですから、はっきりと表示するよう義務付けられています。
梅干しの栄養とは?
梅干しの栄養って、どれ位あるのかご存知ですか?
梅は、昔から身体に良い食べ物とされてきましたが、一体どんな栄養素が含まれているのか見ましょう。
クエン酸
- 疲労回復作用(クエン酸回路を生成し、エネルギー代謝を高める)
- 抗酸化作用(キレート作用によって、ミネラルの吸収を助ける)
- 殺菌効果(腐敗菌の増殖を抑える)
食物繊維
- 水溶性食物繊維(腹もちが良くなり、肥満防止に役立つ)
- 不溶性食物繊維(腸の働きを助け、便秘予防・改善の効果がある)
カリウム
- 筋肉の働きを促進(ナトリウムと共に神経伝達物質を正常に保つ)
- 老廃物の排泄(腎臓の老廃物の排泄を促進する)
ナトリウム
- 筋肉の働きを促進(カリウムと共に神経伝達や筋肉を正常に保つ)
- 消化液の分泌を促進(食べ物の消化・吸収を助ける)
- 体液のpHバランスを調整(マグネシウムやカルシウムと共に体液のpHを保持する)
梅干しには、どのような効能がある
日本の伝統食である梅には、身体に対して良い効果を与えてくれる食材と言われています。
何といっても一番の特徴は、色々な有機酸、ミネラル、ビタミンが多く含まれていることです。梅には一体どのような効能があるのでしょうか。
豊富なミネラルが含まれている
カリウムはリンゴの4倍、鉄は6倍も含まれており、更にマグネシウムや亜鉛も含まれています。
ミネラルが不足すると身体のバランスを崩し、様々な病気を惹き起こすといわれています。
疲労回復効果や老廃物が溜まるのを抑える
梅に含まれるクエン酸やリンゴ酸などの有機酸は、糖の代謝を活性化させ食物の栄養をエネルギーに転換する働きを担っています。
また、疲労回復だけでなく腰痛や肩こりなどを緩和し、老化防止のも役立っています。
唾液の分泌を増進させる
食欲を増進する働きがあります。
クエン酸は、消化酵素の分泌も促し消化を助け、更に微量成分の「ピクリン酸」は腸の働きを活性化させ便通を改善します。
食事のバランスを整える
代表的なアルカリ性食品であり、他の酸性食品を中和して身体を弱アルカリ性に保ちます。
また、アルカリ性食品には血液やリンパの流れを良くする働きがあり、抵抗力や免疫力を高め病気し難い身体を造ります。
肝機能を強化する
ビルリビン酸という含有成分が肝機能を強化し、血流を改善し血液をサラサラにしコレステロールの蓄積を防止し、血液中の酸素や栄養分の供給をスムーズに保ちます。
最後に
最近、店頭で見掛る梅干しには伝統的製法のものが少なくなり、いわゆる「調味梅干し」が主流になっています。
単なる、嗜好品として食べる場合は別として、健康のためにと思って食べる方には昔ながらの梅干しをお勧めします。
昔は、女性が妊娠すると梅干し(すっぱいもの)が欲しくなるという話を良く聞きました。外国の研究によれば、妊婦が「ピクルス」をほしがるという事例は珍しくないことのようです。つまり、妊娠すると血液中のミネラルが薄められることで、必然的に補給しようとする本能が働くためと考えられているそうです。
夏場は汗をかいて塩分やミネラルの補給が必要です。
これから貴方も健康保持のため、昔ながらの伝統的な梅干し党になってみてはいかがでしょうか?
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